県事研では、「事務職員に必要となるスキルと知識 要素」を重視した研修を考え実施していきます。そして、研修と実践の往還を通して会員のスキルアップを促進します。また、「奈良県市町村立小中学校事務職員の資質向上に関する指標」より、【学校事務職員に必要な素養】【専門領域における業務遂行】【特別な配慮や支援を必要とする児童生徒への対応】【ICT や情報・教育データの利活用】という分野に対応した研修を企画し、自らの使命と職責、学校事務職員としての専門性と知識を高めていくことを目的としています。
第1回研修会
期日 令和6年7月5日(金)
会場 橿原文化会館 小ホール
演題 「学校事務職員は片づけの発信者 」
ー片づけから始める学校の働き方改革ー
講師 収育士 伊藤 寛子氏
伊藤先生から、単なる片づけではなく学校の教育環境を良くしていくという教育環境整備としての片づけを、どのように考えどうすれば改善につながるのか、その考え方と方法について教えていただきました。片づけの効果は、ものを探す時間や在庫管理に費やす時間が減ることで時間のゆとりがうまれること、物品の重複購入をなくし有効利用できることでお金のゆとりがうまれること、そして学校にとって片づけを行う最大の効果は「安全」であり、学校を安全にすることであるとお話しいただきました。
片づけの手順は「出す」「分ける」「しまう」というこの順番が大切であること、また、片づかないことを人のせいにするのではなく、片づく仕組みを作ることが重要であり、そのためのポイントを教えていただきました。
そして、県内の学校で行った片づけの取組へアドバイスをいただいた様子や、実践事例を多数ご紹介いただくことで、実際に自校でもやってみようと多くの会員の「やる気スイッチ」を押していただきました。
第2回研修会
期日 令和 7 年 1 月 17 日(金) 受付12時45分 開始13時15分
Google Meet によるオンライン開催
第1講座 演題 「大阪教育大学附属池田小学校における学校安全の取組み」
講師 大阪教育大学附属池田小学校 校長 眞田 巧氏
眞田先生より、同校の学校安全の取組を通した、危機管理、学校の安全管理についてご講演いただきました。
はじめに、事件当時の学校体制や教職員の対応を振り返り、組織的な対応の問題点や通報と情報共有の重要性などの課題を示されました。そしてこの経験から今につなぎ同校で積み上げている学校安全への取組を、「安全管理」「安全教育」「安全連携」の3つの柱でご説明いただきました。安全管理では、同校は防犯カメラ・警報ブザーの設置など設備面でのセキュリティを強化しています。しかし最後は、IDカードの確認を徹底するなど設備に頼らない「人の目による監視」を重視しています。そして安全教育では、特別の教育課程「安全科」で、子どもたちが安全について考える機会を増やし、自分で判断し行動できる力を育てています。また、自分の命だけではなく周りの人の命を大切にできる子どもの育成に努めています。安全連携では、学校と警察・消防・自治会・PTAで構成する「学校安全管理委員会」を設置し、情報の共有、安全連携の体制を充実させ子どもの見守りを強化しています。そして、同校の不審者対応訓練の様子を動画視聴しました。訓練は実践的な方法で実施し、臨機応変に対応する力を養っています。班で動くことで個人ではなく組織として動きを確認し、また、訓練後の反省では成功事例と失敗や課題を共有し次へと積み重ねています。
最後に、今年度6月8日に行われた「祈りと誓いの集い」での眞田先生のメッセージを聞きました。「世の中全体として子どもたちを守り支える取組を継続していくためには、ぜひこの6月8日を学校安全について全国で考えていただく機会にしていただき、本校の事件を他人事ではなく自分事として捉え、それぞれの学校安全の体制を振り返り、改善に努めていただきたいと考えています。」そして、引き続き学校が安全で安心して学べる場所であるよう、これからも努力を続けていきたいとお話しいただきました。
先生のお話からは、このような事件を二度と起こさないという決意や、経験を今後につなぐという思いが伝わり胸に迫る思いがしました。今回の講演は、私たち学校事務職員としてできることは何か、改めて見直し考える機会となりました。
※「大阪教育大学附属池田小学校HP」では避難訓練の様子や学校安全の手引が紹介されています
第2講座 演題 「事務実践」
実践報告者 奈良市立朱雀小学校 石田礼子さん
五條市立牧野小学校 尾﨑彩芽さん
奈良市立都跡小学校 松井奈々さん
学校事務職員同士、仲間の実践を知ることでお互いの学びを深めるために、3名の方々より実践報告がありました。
石田さんからは、「教育環境の整備と居場所づくり」について実践報告がありました。教室に居づらい子どもが落ち着いて過ごせるスペースを作るための取組や、児童の居場所を把握するための工夫についてお話しいただきました。
尾﨑さんからは、「学校徴収金の効率化」として、現金徴収における帳簿の不一致や煩雑さを解消するための仕組みづくりについて、また「教員業務支援員の活用促進」では、教職員と支援員との間に立ち、業務のマッチングのための工夫について実践報告がありました。
松井さんからは、「情報の一元化・見える化」として、実際に活用している学校のサイトを見せていただきました。算数セットを学校管理するために寄付を活用した取組やキャンバを活用したペーパーレスな学校だよりの発信と、コミュニケーションツールとしての事務だよりの発行について実践報告がありました。
そして、これら実践報告を受けて行ったブレイクアウトルームでは、学校事務職員同士の交流を通し、各学校の様子や課題を共有し更に学びを深めることができました。今後もこのようなつながりの輪を広げていくことを考えています。