県事研では、「事務職員に必要となるスキルと知識 要素」を重視した研修を考え実施していきます。そして、研修と実践の往還を通して会員のスキルアップを促進します。また、「奈良県市町村立小中学校事務職員の資質向上に関する指標」より、【学校事務職員に必要な素養】【専門領域における業務遂行】【特別な配慮や支援を必要とする児童生徒への対応】【ICT や情報・教育データの利活用】という分野に対応した研修を企画し、自らの使命と職責、学校事務職員としての専門性と知識を高めていくことを目的としています。
令和7年度 第2回研修会
期日 令和8年1月16日(金)
会場 奈良県立教育研究所にて参集・GoogleMeetによるハイブリッド開催
第1講座 演題 「共同学校事務室による事務機能の強化と人材育成」
講師 愛知教育大学 教授 風岡 治 氏
風岡先生より、業務改善・働き方改革について、共同学校事務室の観点からご講演いただきました。
事務職員の職務規定が「事務に従事する」から「事務をつかさどる」へと変わったことに始まり、事務職員に求められることは変化してきました。これからの事務職員には、総務・財務の専門職として、自らの仕事に責任を持って判断し、主体的に動くことが求められます。
共同学校事務室・共同実施の役割として、1,事務の効率化・標準化 2,専門性の発揮・人材育成 3,学校経営参画の強化 4,地域連携・学校間連携のハブ機能 5,柔軟な人員配置と危機対応力 6,ICTの活用・業務改革の先進拠点 を挙げられました。
校務運営参画の視点では、共同学校事務室=学校経営を支える専門チームと捉えます。これまでは「バックオフィス(後方支援)」というイメージが強かった事務室ですが、これからは予算や学校安全、教育環境の整備など、実務面から学校を支え、企画・提案を行う「ミドルオフィス」としての役割が期待されています。
共同実施や共同学校事務室は、事務の効率化やミス防止に大きな成果を上げてきました。また、他地域の様々な事例を教えていただくことで、共同学校事務室のメリットを具体的に考えることができました。一方で、事務の集約による負担増や、関係各所との調整など、新たな大変さも見えてきています。 そこで大切になるのが、「集まる意味」を問い直すことです。
集まる意味が大きいのは、共同で考え、判断し、創造するような業務です。一方で、集まらない意味が大きいのは、学校現場に寄り添い、支援や参画をする業務や、デジタルで完結できるような業務です。この意味を考え、組織設計することが、校務運営参画型の共同事務室を機能させる鍵となります。
また、「まじめな雑談」という印象的な言葉もありました。まじめな雑談ができる状態で、さまざまな相談やさりげないアドバイスが飛び交っているのが、人が育つ職場と言われています。日々の経験、コミュニケーションが、若手の育成につながっています。さらに、トライアンドエラーを繰り返しながら連携・協働を深めていくことで、組織の力になる職員へと成長していきます。
最後に先生から、教育・経営活動にイニシアチブを発揮しうる人材として、ますますの活躍を期待していますという力強い言葉をいただきました。
第2講座 演題 「事務実践」
実践報告者 香芝市立下田小学校 梅川綾さん
奥田遥さん
生駒市立大瀬中学校 加藤勇介さん
生駒市立生駒台小学校 吉田満里子さん
学校事務職員同士、仲間の実践を知ることでお互いの学びを深めるために、3校4名の方々より実践報告がありました。
梅川さん・奥田さんからは、Google Workspaceへの移行をきっかけに、Geminiを活用して学校事務の効率化を図った実践事例の報告をしていただきました。Geminiに相談することで専門知識がなくてもGAS(Google Apps Script)を生成し、独自の業務システムを構築した具体的な事例を紹介されました。これまでの事務処理が大幅に効率化されたり、教職員向けの情報サイトを作成したりと、「新しい校務のカタチ」の実現が紹介されました。
加藤さんからは、Geminiを電子レンジにたとえ、高度な機能を完璧に使いこなそうとするのではなく、600Wで3分を使いこなせれば十分という、手軽に活用することから始める提案をしていただきました。「愚痴」を入力し「公文書」に変換する様子を実際に見せていただき、ブレイクアウトルームでは、操作してみる時間を持ちました。
吉田さんからは、学校内の「眠っている資産」を活かし、事務職員が教育環境デザイナーとして教育目標の実現を支える実践を報告していただきました。事務職員が主体となって課題発見・連携・行動を積み重ねることで、ハード面から「自分らしく学ぶ」という教育方針を支える重要性が説かれました。最終的には、事務の枠を超えて学校全体の資産を活性化させ、教員や子どもたちがよりよく活動できる場をデザインすることを提案されました。
そして、これらの実践報告を受けて行ったブレイクアウトルームでは、学校事務職員同士の交流を通し、各学校の実情や課題を共有し更に学びを深めることができました。
3校の実践は、高度なスキルが重要なのではなく、「ここを便利にしたい」「学校を良くしたい」という現場の想いを形にする姿勢が、事務職員の可能性を広げることだと改めて実感いたしました。
今後もこのようなつながりの輪を広げていくことを考えています。
令和7年度 第1回研修会
期日 令和7年7月7日(月)
会場 奈良県立教育研究所
演題 「学校事務職員に期待すること」
講師 奈良県教育委員会 教育長 大石 健一 氏
第1回研修会として、奈良県教育委員会教育長 大石健一様より「学校事務職員に期待すること」と題してご講話いただきました。
■学校事務職員は「学校経営の一員」
学校において、学校事務職員は総務・財務などに精通した「唯一の専門職」であり、単なる事務作業の担い手ではなく、
学校経営に関わるパートナーとして位置づけられています。校長のビジョンを理解し実現に向けて提案を行い、主体的・積
極的に校務運営に参画してください。
■主体性と提案力が求められる時代
「これは無理です」ではなく、「こうすれば実現できるのでは」という視点を持ち、現場に即した建設的な提案を行う力が
求められています。教職員は予算や法令に不慣れな部分もあるため、そこを補完するのが学校事務職員の役割であると考え
ています。
■子ども・教職員・学校全体を見る広い視野を
子どもと直接関わる機会は少なくとも、見守りや声かけ、教職員との円滑なコミュニケーションなど、教員や管理職が気
付かない視点で、学校運営の改善やマネジメントに貢献することが大切です。学校を俯瞰的に見る「もう一つの眼」として
の存在が期待されています。
■専門性と人間力の両立を
法令・財務に関する知識をしっかり身につけ、必要な場面ではきちんと意見を述べること。それと同時に、子どもたちや
教職員にとって安心できる存在として信頼関係を築くことが大切です。
■最後に
教育長からは「自分が子どもだったら通いたい学校」「自分が保護者なら通わせたい学校」を一緒に作っていく存在であっ
てほしい、そして、事務職員一人ひとりの力が、これからの学校を支えていく原動力になること期待しますとお話いただき
ました。
講話をいただき、「チーム学校」の一員として、どのような役割を果たすことが必要か、改めて見直す機会となりました。
「総務・財務に通じる唯一の専門職」として子どもの学びの環境整備に主体的・積極的に参画していくために、研究会でも取
組を進めていきたいと考えます。
令和6年度 第1回研修会
期日 令和6年7月5日(金)
会場 橿原文化会館 小ホール
演題 「学校事務職員は片づけの発信者 」
ー片づけから始める学校の働き方改革ー
講師 収育士 伊藤 寛子氏
伊藤先生から、単なる片づけではなく学校の教育環境を良くしていくという教育環境整備としての片づけを、どのように考えどうすれば改善につながるのか、その考え方と方法について教えていただきました。片づけの効果は、ものを探す時間や在庫管理に費やす時間が減ることで時間のゆとりがうまれること、物品の重複購入をなくし有効利用できることでお金のゆとりがうまれること、そして学校にとって片づけを行う最大の効果は「安全」であり、学校を安全にすることであるとお話しいただきました。
片づけの手順は「出す」「分ける」「しまう」というこの順番が大切であること、また、片づかないことを人のせいにするのではなく、片づく仕組みを作ることが重要であり、そのためのポイントを教えていただきました。
そして、県内の学校で行った片づけの取組へアドバイスをいただいた様子や、実践事例を多数ご紹介いただくことで、実際に自校でもやってみようと多くの会員の「やる気スイッチ」を押していただきました。
令和6年度 第2回研修会
期日 令和 7 年 1 月 17 日(金) 受付12時45分 開始13時15分
Google Meet によるオンライン開催
第1講座 演題 「大阪教育大学附属池田小学校における学校安全の取組み」
講師 大阪教育大学附属池田小学校 校長 眞田 巧氏
眞田先生より、同校の学校安全の取組を通した、危機管理、学校の安全管理についてご講演いただきました。
はじめに、事件当時の学校体制や教職員の対応を振り返り、組織的な対応の問題点や通報と情報共有の重要性などの課題を示されました。そしてこの経験から今につなぎ同校で積み上げている学校安全への取組を、「安全管理」「安全教育」「安全連携」の3つの柱でご説明いただきました。安全管理では、同校は防犯カメラ・警報ブザーの設置など設備面でのセキュリティを強化しています。しかし最後は、IDカードの確認を徹底するなど設備に頼らない「人の目による監視」を重視しています。そして安全教育では、特別の教育課程「安全科」で、子どもたちが安全について考える機会を増やし、自分で判断し行動できる力を育てています。また、自分の命だけではなく周りの人の命を大切にできる子どもの育成に努めています。安全連携では、学校と警察・消防・自治会・PTAで構成する「学校安全管理委員会」を設置し、情報の共有、安全連携の体制を充実させ子どもの見守りを強化しています。そして、同校の不審者対応訓練の様子を動画視聴しました。訓練は実践的な方法で実施し、臨機応変に対応する力を養っています。班で動くことで個人ではなく組織として動きを確認し、また、訓練後の反省では成功事例と失敗や課題を共有し次へと積み重ねています。
最後に、今年度6月8日に行われた「祈りと誓いの集い」での眞田先生のメッセージを聞きました。「世の中全体として子どもたちを守り支える取組を継続していくためには、ぜひこの6月8日を学校安全について全国で考えていただく機会にしていただき、本校の事件を他人事ではなく自分事として捉え、それぞれの学校安全の体制を振り返り、改善に努めていただきたいと考えています。」そして、引き続き学校が安全で安心して学べる場所であるよう、これからも努力を続けていきたいとお話しいただきました。
先生のお話からは、このような事件を二度と起こさないという決意や、経験を今後につなぐという思いが伝わり胸に迫る思いがしました。今回の講演は、私たち学校事務職員としてできることは何か、改めて見直し考える機会となりました。
※「大阪教育大学附属池田小学校HP」では避難訓練の様子や学校安全の手引が紹介されています
第2講座 演題 「事務実践」
実践報告者 奈良市立朱雀小学校 石田礼子さん
五條市立牧野小学校 尾﨑彩芽さん
奈良市立都跡小学校 松井奈々さん
学校事務職員同士、仲間の実践を知ることでお互いの学びを深めるために、3名の方々より実践報告がありました。
石田さんからは、「教育環境の整備と居場所づくり」について実践報告がありました。教室に居づらい子どもが落ち着いて過ごせるスペースを作るための取組や、児童の居場所を把握するための工夫についてお話しいただきました。
尾﨑さんからは、「学校徴収金の効率化」として、現金徴収における帳簿の不一致や煩雑さを解消するための仕組みづくりについて、また「教員業務支援員の活用促進」では、教職員と支援員との間に立ち、業務のマッチングのための工夫について実践報告がありました。
松井さんからは、「情報の一元化・見える化」として、実際に活用している学校のサイトを見せていただきました。算数セットを学校管理するために寄付を活用した取組やキャンバを活用したペーパーレスな学校だよりの発信と、コミュニケーションツールとしての事務だよりの発行について実践報告がありました。
そして、これら実践報告を受けて行ったブレイクアウトルームでは、学校事務職員同士の交流を通し、各学校の様子や課題を共有し更に学びを深めることができました。今後もこのようなつながりの輪を広げていくことを考えています。