県域で共同調達を行うことにより、学校間のデジタル格差を解消し、子供たちに均等な教育機会を提供することを目指す。すべての子供たちが必要なときに必要なデバイスを利用できるようにすることで、子供たちの学習を高度化することを目指す。県域共同調達を行うことによって期待できるメリットは以下のとおり。
① 入札に関わる作業をまとめて行うため、各自治体は大幅に作業工数を削減することができる。
② ICTに堪能な人員がいない自治体でも、県内の最高水準の仕様の機器を導入することができる。
③ スケールメリットを生かした調達が可能となり、県域特別価格での購入や県域特別サービスといった付随するサービスが期待できる。
④ 複数の自治体が同じ業者から機器を調達するため、業者はサポート体制を整備しやすくなる。また、自治体間でメンテナンスに関する情報共有を行うことで、不利益を被りにくくなる。
これらを実現するために、県教育委員会と各市町村教育委員会が連携する県域学校DX推進戦略連携協議会(以下「県域の協議会」)を設置して、デバイスの共同調達を計画する。
校務支援システムの県域共同調達によって、すべての教職員が同じ校務支援システムを使って効率的かつ円滑に業務を行える環境の構築を目指す。これにより、教員が児童生徒と向き合う時間を確保し、業務品質を向上させ、教育内容の高度化を目指す教職員を支えることが期待できる。県域のシステムであるため、異動により学校や地域が変わっても同じものを使うことが可能となり、異なるソフトの扱いを覚えるといったロスが生じない。県域共同調達を実施することで、各地域の特性を最大限に活用しながら、全体としての効率と情報共有の質を向上させることが期待できる。
このために、県教育委員会と各市町村教育委員会が連携する県域の協議会を設置して共同調達を計画する。県域の協議会のワーキンググループで導入の検討、仕様の検討を行い、県が代表で入札行為を行い、市町村による個別契約とする。その際、校務支援システムの役割について精査、県域公用アカウントの活用促進、どの自治体でも有効に使うことのできるという点についても十分に配慮する。
教育の情報化を推進し、すべての教職員と子供たちがクラウドサービス及びコンテンツにアクセスし、自由で多様な学習や業務を行うことを目指す。学校や地域によるクラウドサービス及びコンテンツの提供や利用の格差を解消し、子供たちの学習機会の公平性を確保することが重要である。県域共同調達により、クラウドサービス及びコンテンツの種類や質を拡充する。県域の協議会においてクラウド活用についての協議を行うことで、教育の情報化を推進することを目指す。
また、義務教育段階のデバイス導入に加え、県域公用アカウントを小学生、中学生、高校生、大学生、教職員が利用することが可能となっている。同一ドメインでの公用アカウントの導入は、教育データの利活用を促進し、これからも教育の質を向上させる中心的な役割を果たすことになる。児童生徒はあたかも大きな校庭で遊ぶように、安全な範囲で友達と交流し、自由にデジタルの世界の在り方について体験的に学ぶことができるだけでなく、県内での転校、進学時も同じアカウントを使い続けることができる。緊急時には、アカウントを即時利用停止にする、必要に応じて一斉連絡に活用するなど、セキュリティ確保の面でも強固な運用体制となっている。
県域で端末の共同調達を行う場合、全自治体が国費の趣旨を十分に理解し、ネットワークやデバイスを最大限に有効活用するために、共同調達のメリットを十分検討した上で調達を行う。
国費について、令和5年度文部科学省補正予算事業別資料集「GIGAスクール構想の推進~1人1台端末の着実な更新~」によると、端末の補助基準額は5.5万円、予備機15%以内、補助率3分の2、児童生徒全員分の端末が補助対象となっている。前回の調達に比べ、充実した内容になっているが、現在確保できている額は7割となっている。次の補助金の審査内容について文部科学省は現在検討中だが、デバイスの活用をより一層促進するといった方針に変わりはないとのことであった。全児童生徒及び教職員に適正にデバイス整備を行い、日々活用するべく行動していることが補助金を満額で受給するうえで重要である。
調達に当たっては、各市町村に協議を行った上で、県域で調達範囲(学年、学校等)を決定する。国の基金造成の補助を受けながら、県として基金を造成し、市町村のデバイス調達の需要、希望OS、オプションなどを調査しながら県域の協議会で共通仕様書を作成し、基金により小学校1年生~中学校3年生を対象としたデバイスを調達する。
また、ネットワーク、デバイス、ブラウザベースで活用する各種コンテンツの利用のための研修を強化し、すでに十分活用が進んでいる学校は、実践等を積極的に共有し、活用が進みにくい学校は、教職員にその理由を丁寧にヒアリングした上で、過剰なフィルタリングやルールにより学校や家庭での活用が阻害されていないかを精査しなければならない。教員は、自らの力量を高めるために、新しい学びのスタイルに果敢にチャレンジし、積極的に研修に参加する意思をもてるように、教育委員会や管理職は、本人の希望に応じて研修に参加する機会の確保に努めること。また、教育委員会や管理職は、管理のためではなく教員が子供たちにとって学ぶ手本になるために、教員研修の参加率やデバイスやコンテンツの活用率などを把握することが望ましい。県教育委員会は、よりよい教育環境を作りたいという教職員の前向きな思いと子供たちの今と未来の学習環境を精一杯保障しようとする市町村教育委員会を後押しし、責任をもって活用を推進するものとする。