令和元(2019)年6月、学校教育の情報化の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、次代の社会を担う児童生徒の育成に資することを目的に、「学校教育の情報化の推進に関する法律」(令和元(2019)年法律第47号)が成立し、公布・施行された。令和4(2022)年12月に
は、同法第8条に定める「学校教育情報化推進計画」が策定された。
令和元(2019)年12月、文部科学省は「GIGAスクール実現推進本部」を設置し、教育の情報化をより強力に推進するために、高速大容量の通信ネットワークと1人1台デバイスとの一体的な整備を行い、これからの時代を生きる子供たちにふさわしい学びの実現をめざすGIGAスクール構想を掲げた。奈良県では、全国に先駆けて県域での共同調達を行うなど、これまでの教育実践をさらに充実させる環境づくりに取り組んだ。同構想は、令和5(2023)年度までの計画として進められてきたが、令和5(2023)年4月、同構想の現状と課題を整理し、第2期のICT環境整備方針策定をはじめ必要な施策を検討するため、中央教育審議会の初等中等教育分科会に「デジタル学習基盤特別委員会」が設置された。
令和5(2023)年6月、第4期「教育振興基本計画」が閣議決定された。総括的な基本方針及びめざすべき姿として「2040年以降の社会を見据えた持続可能な社会の創り手の育成」「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」が示され、以下の5つの基本的な方針が定められた。
① グローバル化する社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材の育成
② 誰一人取り残されず、全ての人の可能性を引き出す共生社会の実現に向けた教育の推進
③ 地域や家庭で共に学び支え合う社会の実現に向けた教育の推進
④ 教育デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
⑤ 計画の実効性確保のための基盤整備・対話
平成29(2017)年に小学校及び中学校、特別支援学校(小学部・中学部)、平成30(2018)年に高等学校、平成31(2019)年に特別支援学校(高等部)の学習指導要領の改訂が告示された。全ての校種に共通して、情報活用能力を、言語能力、問題発見・解決能力と同様に「学習の基盤となる資質・能力」と位置付け、学校のICT環境整備とICTを活用した学習活動の充実に配慮することが明記された。また、小学校及び特別支援学校(小学部)については、文字入力など基本的な操作を習得することやプログラミング的思考を育成することが示され、中学校については、技術・家庭科(技術分野)において、プログラミングや情報セキュリティに関する内容の充実が図られた。さらに、高等学校では、情報科において、新設された共通必履修科目「情報Ⅰ」により、全ての生徒がプログラミングのほか、ネットワーク(情報セキュリティを含む)やデータベースの基礎等について学習することに加え、選択科目である「情報Ⅱ」では、プログラミング等について更に発展的に学ぶことなどが盛り込まれた。
平成28(2016)年3月に第1期奈良県教育振興大綱が策定され「施策の方向性⑬意欲ある全ての者への学習機会の確保」において「②ICT事業の展開」として「他校との交流学習、協働学習を支援するICT活用事業の展開により、へき地・小規模校における教育の質の確保を図ります。」と示された。
また、令和3(2021)年3月に策定された第2期奈良県教育振興大綱では、「新たな教育のスタイル」として「社会がSociety 5.0と言われる超スマート社会へと移行しようとしている今、学習の基盤となるのは言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力であると言われており、新
たな教育課題に対応した学びの実現が必要です。これからの教育では、子供たちの発達段階に合わせ、ICTを活用し、情報活用能力を高めながら、課題を自ら見付けて解決し、未知の状況にも対応できる能力を養うことが大切になります。まさに、学び、考え、探究する力の育成が求められています。教員の役割も変化します。今まで、それぞれの経験をベースとした知識の教授が中心であったのが、これからは、コーディネーターやファシリテーターとして、子供たち一人ひとりの自らの学びを支える役割が求められます。ますます教員への期待が高まる一方、教員の長時間勤務の実態も見過ごしにはできません。教員が、自身の人間性や創造性を高め、子供たちに対して効果的な教育活動ができるよう保護者や地域の方々の理解を得ながら学校における働き方改革を進めることが必要です。子供、教職員、家庭、地域、社会、企業等、様々な立場の人々がネットワークでつながり、子供たちの資質・能力のはぐくみを支えます。」と示されている。