5月18日 (日)15時開演 14時30分開場 Sunday, May 18th, 2025 15:00 Doors open 14:30
全ての演奏を公開しました。All performances are now open to the public.
私は、あなたの痛みを知っている
500年を越えてとどく、悲しみの歌
荻原哲 大阪大学名誉教授
ワンコイン市民コンサート実行委員会事務局代表
イングランドが流す涙──ダウランド、バード、パーセル、クィルター、ビートルズ。時を越えて紡がれてきた心の叫びは、今も私たちの心を震わせます。
14世紀イタリアに始まったルネサンスは、16世紀のイングランドへと広がり、「神と人」という構図を越えて、個人の内面に光が当てられるようになります。ダウランドやバードは、メランコリーを人間の本質と捉え、その静かな涙を音楽に託しました。
時を経て、パーセルは劇的な悲しみを、クィルターはルネッサンス的な細やかな情感を、そしてビートルズは時代を越えて共鳴する「涙のヒットソング」を生み出しました。様式も時代も異なる彼らの音楽には、イングランドに流れる「静かな涙」が共通して息づいています。その系譜を、今日、古楽アンサンブルが現代に響かせます。
なぜ音楽は“悲しみ”を通して人をつなぐのでしょうか? それは、悲しみこそがもっとも深く沈み、言葉では伝えきれない感情だからです。喜びは自然と誰かと分かち合える一方で、悲しみは多くの場合、心の底に静かに積もっていきます。
音楽はその沈黙に寄り添い、「私だけではなかった」という共鳴を与えてくれるのです。ダウランドやバードの音楽は、孤独や喪失、不安を音に変え、何世紀も経た今も、私たちの心に届いています。パーセル、クィルター、ビートルズ──それぞれの時代が奏でた“静かな涙”は、言葉や時代を超えて、現代の私たちにもそっと寄り添うのです。
「私は、あなたの痛みを知っている。」この言葉の主は、神ではありません。かつて誰かが流した、ひとしずくの涙――それが音楽を通して、私たちのもとに届くのです。
I know your pain. Songs of sorrow that reaches our heart beyond 500 years
Tears Flowing from England Dowland, Byrd, Purcell, Quilter, and the Beatles—Their cries of the heart, woven across time, still stir our souls today.
The Renaissance, which began in Italy in the 14th century, reached England by the 16th century, illuminating the depths of individual consciousness. Composers like John Dowland and William Byrd encapsulated the essence of human melancholy, translating silent tears into music. Henry Purcell later infused his compositions with profound dramatic sorrow, while Roger Quilter wove lingering poetic melodies. In the modern era, The Beatles crafted poignant ballads that resonate across generations. A common thread unites these diverse musical styles and eras: the "silent tears" flowing through England's musical heritage. An ancient music ensemble, featuring the lute, viola da gamba, baroque violin, and tenor, will revive this lineage, with Shakespeare serving as your guide throughout the performance.
辻 裕久 テノール
東京藝術大学音楽学部卒業。同大学院修了。英国王立音楽院大学院演奏家養成コース修了。声楽を小山由美、中村健、畑中良輔、嶺貞子、ケネス・ボウエン、イヴォン・ミントン、グラツィエラ・シュッティの各氏に師事、また、バロック声楽をポール・エスウッド、リュート歌曲をロバート・スペンサーの各氏に師事。1994年ダイアナ妃後援《メサイア》ソリストとしてロンドン・ロイヤルフェスティバルホールにデビュー。以来ヘンデル《セルセ》セルセ役、ロッシーニ《セヴィリヤの理髪師》伯爵役、《試金石》ジョコンド役他、オペラやオラトリオのソリスト、リサイタリストとして活躍。第32回フランシスコ・ヴィニアス国際声楽コンクール第3位並びに最優秀オラトリオ・リート歌手特別賞他。CDにベンジャミン・ブリテン歌曲集Ⅰ,Ⅱ(レコード芸術誌特選盤)、ヴォーン・ウィリアムズ歌曲集(朝日新聞・毎日新聞・音楽現代誌各推薦盤、レコード芸術誌特選盤)等。現在、東京大学教養学部、並びに東京藝術大学音楽学部各非常勤講師。
高本一郎 リュート&アーリーギター
フランス国立ストラスブール音楽院にてリュートを学ぶ。国内外の著名な音楽家と共演を重ね、ヨーロッパ、アジア諸国で公演多数。’08年ルーヴル美術館にてソロ公演。フランス及び国内のTV・ラジオ番組出演、オペラ、バレエ、能狂言、歌舞伎、演劇、落語、講談、朗読劇の舞台に多数く参加。国内外の音楽祭、オーケストラ公演に度々招聘される。
NHK時代劇、映画音楽、CM音楽、アニメ番組、ジャズ&ポップスなどのレコーディングに演奏と作曲・編曲で携わる。リュートの新しい魅力を引き出すべく作曲活動にも専心。リリースしたCDやそのなかの楽曲は「レコード芸術」特選盤、フランス&英国のラジオ放送、フランスリュート協会推薦盤、ANA国際線機内オーディオ&AIR-DO機内テーマ曲、TOKYO-FMのラジオ番組テーマ曲に取り上げられるなど、国内外で高評を得る。
大阪音楽大学付属音楽院講師。『読売ギターコンクール』銀賞受賞。
蓑田真理 バロック・ヴァイオリン
堺市出身。 古典音楽から新作初演までバロックバイオリンとモダンバイ オリンを演奏する音楽家。2020年にはバロックバイオリン によるバッハ無伴奏バイオリンソナタとパルティータ全曲 CDを発売。 桐朋学園高校音楽科を経て桐朋学園大学弦楽器科卒業、同研 究科修了。 2022年イギリス王立音楽大学院古楽科修士課程終了。成績 優秀者に送られる奨学金を授与。
国際音楽連盟コンクール第2位。摂津音楽祭にて銀賞受賞。 大阪国際音楽コンクール第2位。堺市より優秀賞。 イギリスHandel Festival,ボリビア古楽音楽祭、アスペン音楽 祭、小澤征爾音楽塾、サイトウキネン青少年の為のオペラな ど国内外の音楽祭にモダン奏者、古楽奏者として出演。 日本センチュリー交響楽団、ちば室内管弦楽団と共演。ソ ロ、室内楽、オーケストラ客演首席等で幅広く活動中。 これまでに田辺良子、小谷公子、江藤アンジェラ、故.江藤 俊哉、加藤知子の各氏に師事。バロックバイオリン、古典奏 法を鈴木秀美、若松夏美、佐藤俊介、Catherine Martineの各 氏に師事。アンサンブル音坊主メンバー。 2024年合同会社ミノダミュージッククリエイティブを立ち 上げる。
頼田麗 ヴィオラ・ダ・ガンバ
相愛大学音楽学部卒業。ヴィオラ・ダ・ガンバ及び室内楽を平尾雅子氏に師事。ルガーノ・コンセルバトーリオにてV.ギエルミ氏に師事。バーゼル・スコラ・カントールムに入学、P.パンドルフォ氏のもとで研鑚を積み、ディプロム取得。ジョルディ・サヴァール氏、アントニー・ルーリー氏などのプロジェクトに参加。ヴィーラント・クイケン氏のマスターコースを受講。ドイツにて第4回テレマンコンクール、室内楽部門ファイナリスト及び「ベーレンライター賞」を受賞。兵庫県知事グランプリ賞を受賞。「プリンチピ・ヴェネツィアーニ」「アンサンブル・ポエジア・アモローザ」メンバー。相愛大学音楽学部非常勤講師。
相合谷由馬 ナレーション
群馬県出身。声優事務所『株式会社アル・シェア』に6年間所属し、現在はフリーランス。主に洋画の吹替やゲームへの出演で活躍。『シャーロック・ホームズの大追跡』マック役、『セイブ・ザ・ダイナソー』マイク役などをはじめ、幅広い役柄を演じている。
演奏曲
ジョン・ダウランド (1563-1626)
-流れよ俺の涙
-漆黒の闇にわが身をおいて
ウィリアム・バード (1540-1623)
-神様、私たちの喜びはなんと束の間のことなのでしょう
-おやすみ、愛しい我が子よ
ヘンリー・パーセル(1659-1695)
-私が埋葬されるとき
-ひとときの音楽
ロジャー・クィルター(1877-1953)
-三つのシェイクスピアの歌
ザ・ビートルズ (1960~)
-ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス
-レット・イット・ビー
-イエスタデー
-イン・マイ・ライフ
Program
John Dowland (1563-1626)
Flow My Tears
In Darkness Let Me Dwell
William Byrd (1540-1623)
O Lord, how vain are all our frail delights
Lullaby 'My sweet little baby’
Henry Purcell (1659-1695)
When I am laid in earth
Music for a While
Roger Quilter (1877-1953)
Three Shakespeare Songs
The Beatles (1960~)
While My Guitar Gently Weeps
Let It Be
Yesterday
In My Life