身体活動

AI によって身体活動パターンから翌日のメンタルヘルスを予測し、

望ましい身体活動を推奨するアプリを提供します

働く人の身体活動とメンタルヘルスのためのアプリ「ASHARE (アスハレ)」は、労働者の身体活動促進とメンタルヘルス不調の予防のために作られたアプリです。個人の身体活動のパターンや、働き方の情報から、人工知能の技術を利用して、翌日の抑うつ・不安を予測します。このアプリでは、ユーザーのスマートフォンに記録された身体活動データや性別・年齢、就業状況などの情報から、翌日の気分を「晴れ」「曇り」「雨」の3段階で予測します。また、ASHAREは、予測された結果に応じて、望ましい身体活動パターンに関するコメントを提供します。

また、利用者の基本属性 (年齢・性別など) や就業状況 (職種・雇用形態など)、および好きな身体活動の種類などから、似たような特徴を持つ労働者のデータを共有します。特に抑うつ・不安が低い状態を維持できているユーザーを「ベストパフォーマー」として集計し、その身体活動パターンが参照できます。


身体活動の維持・促進は、働く人の抑うつ・不安の一次予防に対して最もお勧めできるアプローチのひとつです。しかし、働く人に身体活動をお勧めすると、「既に仕事や家事・育児で嫌というほどやっている」「仕事で疲れて他の時間に動く気がしない」「買い物など家事はするが、メンタルヘルスに効いているという感覚はない」「通勤は満員電車だとむしろかなりのストレスになる」「身体を動かすアドバイスだけでなく、休むアドバイスもしてほしい」など、様々なご意見をいただきます。忙しい毎日の中で身体活動をメンタルヘルスの予防に役立てていただくためには、単純に活動時間を増やすよう勧めるだけでは不十分です。

そこで、この介入では、深層学習の技術を活用したスマートフォンアプリケーションを利用します。アプリケーションは、みなさまの勤務形態やスマートフォンの身体活動に関するデータから、翌日の抑うつ気分を予測して、働く人のメンタルヘルス予防に役立つアドバイスを提示します。また、利用者の働き方、嗜好 (運動好きかどうか)、活動パターン等から、似たような特徴を持つ労働者のデータを共有し、習慣の維持・改善を支援します。


アプリケーションの予測性能と分類性能について

現時点で、アプリケーションの深層学習アルゴリズムは、身体活動パターンと働き方の情報から、翌日の抑うつ気分の分散の50%以上を予測できています。また、抑うつ気分の重症度を90%以上の精度で分類できます。

・予測値と実測値の相関係数:0.738 (R2 = 0.545)

・重症度の分類精度: 90.8% (網掛け部分の割合)

・重み付きκ係数: 0.970 (非常に良い)


図. ASHAREの抑うつ気分の予測性能 (横軸が予測値、縦軸が実測値) 

表. ASHAREの抑うつ気分重症度分類性能