61回まなばナイトレポート

自ら学ぶ生徒の育成を目指して

学習支援を目的とした授業づくり〜  

3年振りのまなばナイト@名古屋を開催することができました。第61回になる、今回のまなばナイトのテーマは、「自ら学ぶ生徒の育成を目指して〜学習支援を目的とした授業づくり〜 」として開催しました。スピーカーには、熊本大学大学院教授システム学専攻(GSIS)同窓生の加藤圭太さんをお迎えし、高等学校通信課程での授業設計のご苦労や工夫をお話しいただきながら、ワイガヤ(ワイワイガヤガヤの略です)から新たな学びを楽しんでいただきました。

 

開会は、熊本大学名誉教授でGSIS同窓会顧問、現在は武蔵野大学響学開発センター教授の鈴木克明先生のご挨拶と乾杯のご発声をいただきました。まなばナイトは、その名ととおり夜のひと時にちょっと一杯やりながら、学び合うというのが元々のコンセプトに従い、現地&web参加の皆さんとともに声高々な乾杯で始まりました。 

今回のスピーカーの加藤さんは、高校教諭で全日制高校から通信制高校に転勤された時期に鈴木克明先生著の「教材設計マニュアル」に出会ったことで、GSIS科目等履修を経て博士前期課程を修了された経緯をお持ちです。

話題では、通信制高校は原則として授業は行われず、学生の背景や経験も様々であることから、個々の生徒にあった自学学習の支援を目的とした「面接指導」の必要性を痛感されたとのお話しから始まりました。そして、着眼したのが個別化教授システム(PSI)であったとのことです。PSIは、完全習得学習を目指すことができるとともに、各自のペースに合わせた学習達成が可能で、講義は動機づけのために行うのみとして、基礎学力が多様化した中での加藤さんの専門である「数学科」の積み上げ式の課題には有効であるとお聞きできました。授業の工夫としては、どこでも学習可能にするためのweb教材を作成され、「学習目標を確認する」「解説を読む(動画を視聴する)」「公式を覚える」「例題の解答例を写す」「穴埋め問題を解く」「自分で解く」の6段階のスモールステップを取り入れて、課題分析の知的技能で作成する階層分析図も提示して、効果的・効率的・魅力的な学習が達成できるようにしていることがわかりました。結果的には、これらの教授設計で、幅広い学力層の生徒の試験において得点の向上に効果があったとご報告をいただきました。

続いて、参加者同士でのグループディスカッションに移り、①私が一番興味を引いた部分、②私の仕事で生かそうと思った具体策、③加藤圭太さんに聞きたいことをワイガヤしました。そこでは、学習歴が違う人に合理的である、学習の系統分析をきちんとされている、前提スキルが埋められていない中で進んでしまう内容もあると思う、生徒がわからないのは自分のせいだと今日思いを新たにした、課題分析図を見たら学習者にとって道のりがわかるから良いなどの意見をいただきました。

その後、鈴木克明先生からご助言をいただきました。まなばナイトがこうして、オンサイトで戻ってきたこと大変有り難く思います。まだ、医療現場は大変なようですが。通信制高校のニーズは高まっており、増えているのが現状にある。その中で、通信制高校に入って教員が話すだろうと思ってきたら、今回のようなやり方を体験することは、自分で勉強しなければいけないんだという気づきを与えられ、いい意味で学生はショックだと思う。(中略)GSISは、通信制ではないけれど、通信制より通信制っぽい大学であり、スクーリングもない。その人々が通信制高校の先生の苦労を知ることは、自分の孤独な学びと掛け合わすことができるのではないかと思います。宴会が普通にできる幸せと、現地に参加できなかった人々がオンラインで参加できた幸せですし、名古屋の集まりはGSIS同窓会としてもコアなグループの一つなので、これから引き続き頑張ってほしいとコメントを頂戴しました。

 


最後は、GSIS同窓生の豊場沢子さんからクローズの挨拶をいただき、集合写真を撮ってお開きとなりました。久しぶりのまなばナイト@名古屋は、金山総合駅前のカラオケ店のイベントホール貸切でしたが、鈴木先生のカラオケを一曲も聴けなかったために、○次会ではこのカラオケ店に戻ってきたのは置いといて。今回も多くの皆様にご参加いただき、本当にありが

とうございました。2023年12月3日(日)には、第7回人材育成事例検討会を名古屋市近郊で開催します。ぜひこちらにもお越しください。

 

(熊本大学大学院教授システム学専攻同窓生 大石 奨)