CSV活動は難しいことではなく、システムを実際に使うユーザがシステムに対する要求が適切にシステムで動作することを文書で示すだけです。一番の問題は、システムがわからないからとサプライヤーにすべてを丸投げすることです。システムを使うのはサプライヤーではないです。ユーザである皆様がシステムを使うのであって、システムはユーザの要求通りに動作して欲しいはずです。しかし、その要求があいまいだっら、システムが稼働したとたん、ユーザはこんなはずではなかったとなります。だからと言って、サプライヤーにバグだと文句を言うのは筋違いです。
一番わかりやすい例を挙げます。もしユーザである皆さんが電子天秤を使いたいとします。その時、最大10gでいいから、mg単位まで測定したいと考えたとします。それを口頭で10g測定したいからそれができる電子天秤を欲しいとサプライヤーさんに伝えます。サプライヤーさんはユーザのことを考え、気を利かせて安い方がいいと0.1g単位で表示できる電子天秤を持ってきます。0.001gまで測定できなければ業務で使えません。
このケースの場合、誰が悪いのでしょうか?やはり、発注者であるユーザの責任となりますが、もし、要求事項それが文書で残されていたら、サプライーさんの責任であることは明確です。
この例でおわかりように、CSV活動はユーザである皆様が責任をもってする活動であり、それを外部がサポートするのがCSV支援となります。ユーザの要求を取りまとめ、文書化するのは忙しくてできないから丸投げしたい気持ちはわかりますが、最低限、ユーザとしての要求はユーザが決めなくてはなりません。
一つわかりやすい例を話します。業務を経験がわからない、もしくは電子化をどうしたらいいかわからないところに全面的にシステム導入支援をお願いしても、適切な支援は難しいでしょう。
SOPに書かれた一部の作業(例えば、測定機器から出てくるデータを記録に記載する)をコンピュータ処理に置き換え、機器からデータが適切にシステムに取り込まれる工程のCSV活動することで、担当者は安心して作業をコンピュータに任せることができます。さらに、CSV活動をしたことで、システムで処理されたデータは適正であると言えます。すなわち、SOPで書かれた作業をシステムに置き換えるためシステムが適切に動作していることを示すCSV活動で、その結果、データの適正性(データの完全性:DI)対応ができると言えます。(図ー1参照)
図-1 SOP,CSVとデータの完全性
そのデータは電子で扱われるため、厚労省ER/ES(米国では21CFR Part11)対応が必須ですが、データが正しく取り込またのであれば、その電子データを適切に管理(保管、処理、出力さらに適切な修正処理)するのは当然のことです。ただし、これも難しい表現のガイドラインに従うと言うより、会社として要求事項(ID,パスワード等のルール、監査証跡他)を決めておけばいいことです。
さらにシステムが稼働して、業務をシステムに任せたとしてもそれでCSV活動は終わりではないです。(図-2参照)
システム導入の検討時と稼働してシステムを利用していくとさらにシステムに対する要求が出てきます。稼働後も業務の改善に合わせシステムを改善することも必須となります。
図-2 容易な業務改善とシステムの変更がよりよいDI対応となる