Scala ひと巡り : 型依存クロージャの自動構築 (Automatic Type-Dependent Closure Construction)

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Scala では、メソッドのパラメータにパラメータなしの関数名を与えることができます。そのようなメソッドが呼ばれる時、パラメータなしの関数名に対する実際のパ ラメータは評価されず、代わりにパラメータなしの関数が渡されます。これは対応するパラメータの計算をカプセル化します(いわゆる、名前呼出し評価)。

次のコードはこのメカニズムを示します:

object TargetTest1 extends Application { def whileLoop(cond: => Boolean)(body: => Unit): Unit = if (cond) { body whileLoop(cond)(body) } var i = 10 whileLoop (i > 0) { println(i) i -= 1 } }

関数 whileLoop は、2 つのパラメータ cond と body をとります。関数の適用時、実際のパラメータは評価されません。しかしその代わりに、whileLoop の本体中で形式上のパラメータが使われる毎に、暗黙のうちに生成されるパラメータなしの関数が評価されます。このように、このメソッド whileLoop は、再帰的な実装方式の Java ライクな while-loop を実装します。

中置/後置演算子 [27] とこのメカニズムを結びつけて、(洗練された構文を用いた)より複雑な文を作れます。

次は loop-unless 文の実装です:

object TargetTest2 extends Application { def loop(body: => Unit): LoopUnlessCond = new LoopUnlessCond(body) protected class LoopUnlessCond(body: => Unit) { def unless(cond: => Boolean) { body if (!cond) unless(cond) } } var i = 10 loop { println("i = " + i) i -= 1 } unless (i == 0) }

loop 関数はただループの本体を受けつけるだけであり、そして(この本体オブジェクトをカプセル化する)クラス LoopUnlessCond のインスタンスを返します。本体がまだ評価されないことに注意してください。クラス LoopUnlessCond はメソッド unless を持っており、それを中置演算子として使用できます。このように、新たなループ : loop { < stats > } unless ( < cond > ) の、極めて自然な構文を作れます:

次は、TargetTest2 を実行したときの出力です:

i = 10 i = 9 i = 8 i = 7 i = 6 i = 5 i = 4 i = 3 i = 2 i = 1