最古のAF一眼カメラCM

トレス資料:

トレス資料はYouTubeの「'79-99 カメラCM集vol.5 ペンタックス」(YouTube)や「CMですよ~45「PENTAX」」(YouTube)です。昔の記憶だけを頼りに映像を探すのに苦労したー。

前者は、中学生モデル時代の早見優や、リポビタンDのCMでブレイクする直前に仮面ライダーのオーディションなどに参加していた頃の渡辺裕之が確認できる貴重な資料です。

制作経緯:

レンズフレアやスミアといった、光学系や感光体の都合をCGアニメに持ち込む手法には若干懐疑的な立場だったのですが、前作で使ったモーションブラーが想像以上に効果的だったので、考えを改めたのです。

そんな折、ダサツマP氏のブログを眺めていたら、深度マップ画像による被写界深度の表現手法が解説されていました。

そういや昔、チェロ演奏がやたらかっちょええ、被写界深度を駆使しまくるカメラのTVCMがあったよなー、とかいうご先祖様の言葉を思い出したのですが、カメラのメーカーも放映時期もさっぱり解らない。そんな状態でYouTube上のトレス資料に巡り合ったのは本当に偶然としかいいようがないのです。なぜか1つ見つかると2つ目もすぐに見つかるんですが。

というわけで、チェロアクセサリをどう用意するつもりなのかあてのないまま、トレス動画の制作に取りかかることになりました。

PENTAX ME-F とは?:

「PENTAX ME-F」とは、1981年に旭光学工業から発表された、世界初のオートフォーカス一眼レフカメラです。

なんと鏡筒に乾電池4本を入れる必要があるという、ヘビーなレンズだったそうです。

「AF内蔵の交換レンズ」だけなら別社カメラのコンポーネントとしてもう少し早く市販されていたそうですし、実質的には1985年の「ミノルタα7000」をAF一眼の元祖ととらえる方も多いでしょうが、まあ大目に見てね。

AFコンパクトカメラはもう少し前の1970年代には既に商品化されており、井上順がコニカのTVCMで「シャッター押すだけ!」とか宣伝していました。

「12人のチェリストたち」とは?:

「12人のチェリスト達」(Die 12 Cellisten der Berliner Philharmoniker)とは、ベルリン・フィルハーモニー交響楽団のチェロ奏者だけで演奏活動を行うアンサンブルグループの名前です。

カラヤン全盛期のベルリンフィルで、チェロパートだけ別口の営業を始めたのが始まりだそうです。日本公演も何度か行われており、CDも発売されています。

日本では「12人のスーパーチェロ軍団」の名で営業していた頃もあったそうなのですが、流石に「軍団」はないよねー。

私、いやご先祖様の記憶にある限り、ベルリンフィルが日本のTVCMに出演したのはこれが最初で最後だと思うのですが。(カラヤン単体の出演ならなんかあったかも…)

モデルの選択理由:

腰を90度曲げ、股に大きな物を挟むという体勢を続けるため、とりあえずミクさん以外のスカートキャラは除外となりました。ロングスカート姿の女性がチェロを弾く姿はとても魅力的なのですが、楽器や椅子を貫通しないようスカートの剛体を抜いたりする作業は結構大変ですので…。NostalogicロングスカートタイプのMEIKOさん使いたかったー。

(余談:ザビーネ・マイヤー事件で揺れたベルリンフィルですが、今ではチェロセクションにも複数の女性団員が所属しているようです。)

椅子に座る際に邪魔な物が付いていないかも考慮の対象となりました。アリスの背中の突起物やG子のスカートは、必要に応じて自由に取り外しできるので、とても便利!

苦労したところ:

    • 実写動画から精密なマスクを抜く技術がないので、富竹ジロウさんとカメラボディとの合成は適当です。色調補正をいろいろいじって背景を純白にトバすとこまではできたのですが。カメラボディの背後にジロウさん持って行きたかった…。

    • 望遠レンズをパンさせながら連続10人のチェロ奏者を次々と合焦させていくシーンですが、視野角やカメラ距離をどう工夫してもトレス元動画みたいな構図になりません。しかたがないのでレールカメラがチェロ奏者の前を走り抜けていくような構図になってしまいました。遠くからの画を10000px四方ぐらいでレンダリングしてデジタルズームすればよかったのかなあ…。

    • Google3Dから引っ張ってきたTraize氏のチェロモデルが12万頂点もありました。xからmqoに変換するツールですらパンクしてしまいましたので、 PMDEditorを使ってUVをくずさないよう手作業で頂点を削減することに。PMDEditorの内部構造が、65000頂点を超えるデータを扱える仕様で助かったー。

使用モデル:

    • 初音ミク ver.2.3 (モデラ:あにまさ氏)

    • 富竹ジロウ ver1.2 (モデラ:アノマロかりんとう氏)

    • レイやん ver.2010 (モデラ:黒胡椒氏)

    • Lat式改変リン Ver.20100805 (モデラ:ulaP氏他)

    • でで式KENタンクトップ ver1.1 (モデラ:でで氏他)

    • でで式黒ハク ver1.0.2 (モデラ:でで氏他)

    • のっぽハクさん ver.1.3e (モデラ:Nagala氏他)

    • G子 Ver3.00 (モデラ:そうろうP氏)

    • 門を開く者アリス ver.100909_2 (モデラ:かこみき氏)

    • グレイフォックス (モデラ:◆ByNEETW0zI氏)

    • おばさん Ver0.9 (モデラ:mato氏)

    • 千早パンゴシ 10/09/17 (モデラ:よんP氏他)

    • Bruce ver.1.1 (モデラ:全員4番P氏)

※グレイフォックスモデルは「ちびハクの人」が配布しているものを使わせて頂きました。

使用アクセサリ:

楽曲情報:

本編で演奏される30秒間の曲は、たぶんCM用に書き起こされたオリジナルではないかと。詳細がわかる方からの情報お待ちしております。

エンディングに流れる曲はビートルズの"Eleanor Rigby"です。クラシック風の演奏に合わせたポップソングとして1966年に英国でリリースされました。カラオケ音源が「ザ・ビートルズ・アンソロジー2」で公開されるまでに、30年の月日が費やされました。

弦楽八重奏ですが、実は弦楽四重奏の多重録音だそうです。ビートルズがコンサート演奏の都合を無視したレコーディングを始めるようになったのはこの頃からだそうな。なるほどね。

弦楽8本のうちチェロパートはたったの二人(残りはヴァイオリンとヴィオラ?)らしいので、チェロが目立つよう若干イコライザをいじってます。

当初、エンディングの曲にはコダーイの無伴奏チェロソナタ8番(ウィスキーのCMで有名なあれ)とかを予定していたのですが、あまりにも本編と雰囲気が異なりすぎるので却下となりました。

制作Tips:

高品質動画の公開で何度かお世話になったZoomeが、いつのまにか有料サービスに切り替わってしまいました。そんなわけで今回は最初からYouTubeのHDアップロードを目標に制作を始めています。

MMDでレンダリングするときは全て1280×960pxサイズの60fpsで出力しました。合成やピンぼけ処理を行う前の段階で、MVToolsによるモーションブラー処理を施したりしています。ピンぼけとモーションブラー、どちらを先に行うべきかはよく判断できていないのですが…。MVToolsがアルファ情報付き動画も処理できるようになるといいなぁ。

ピンぼけ処理にはNiVEの「ブラー(ぼかし)」エフェクトを、合成にはNiVEのキーイングやMMDのアルファチャンネル出力などをいろいろ組み合わせています。

さて、10人をなめながら焦点が移っていくシーンです。もーね、これだけのためにこの動画作ったと言っても過言ではないっ。ここはダサツマPのサイトで教わった被写界深度マップを作って、NiVEの「ブラー(合成)」エフェクトでボケを制御しています。

簡単に説明します。モノクロな被写界深度マップ動画で輝度の濃淡を表現してあげると、別動画のボケ味が輝度の濃淡に応じて強弱付くのです。

※ ↓ カメラ移動に合わせて濃淡が移動する白黒動画を作っているところ。(作業のため被写界深度マップ動画を半透明にして元動画に被せています)

ニコニコ動画でのエコモードでの見え方などをテストしつつ、ボケ範囲や濃淡グラデーションなどのパラメータ操作を繰り返す作業が結構面倒でした。

ちょうど制作期間に前後して公開された、極北PによるMME用DOF(被写界深度)エフェクトにも大変興味がありましたが、MMEの使い方自身まだよく解らないところもあったので、今回は利用を見送ることとなりました。

弦楽奏者独特のギコギコ感を大事にするため、キーフレーム間の曲線補間はあまり使わないようにしています。

今回モーションブラー処理で用いたAvisynthスクリプト:

AVISource("d:\Document\mainpart.avi")

super=MSuper()

backward_vectors = MAnalyse(super, isb = true,search=4,delta=1)

forward_vectors = MAnalyse(super, isb = false,search=6,delta=1)

MFlowBlur(super, backward_vectors, forward_vectors, blur=100)

ニコニコ動画(一般会員)用x264エンコードオプション

--preset Medium --bitrate 520 --pass 3 --stats ".\x264.stats" --aq-mode 2 --b-adapt 2 --weightp 0 --direct auto --subme 9 --trellis 2 --output nul

YouTube(HD)用x264エンコードオプション

--preset Medium --bitrate 3100 --pass 3 --stats ".\x264.stats" --aq-mode 2 --bframes 0 --b-adapt 2 --weightp 0 --direct auto --subme 9 --trellis 2 --output nul

過去の栄光:

データ配布(ZIP):

流石に今回は流用してもらえそうなものがないので、配布なしです。

楽器モデルに興味のある方は、Google3Dギャラリーを探してみてね。