書簡2題

今日小生当番

御前参仕候処、無拠

御用有之、不参候間

可然御申上可給候

扨叉宇田江御預ケ

金計算書差

出候、御一覧之上、乍御

面働、御写取御返シ

願度候、三條江も一見

為致候心得ニ候、何れ

明後日拝上万々可申入候

二月廿五日

具視

宮内卿輔

御中

昨日御達、愚妻義

両皇后ゟ被為召候御旨

謹承仕候、然處生憎

臥褥罷在、明日出仕

相整兼申候仕合、誠ニ折角之

思召ニ対し恐入、残壊

之至ニ奉存候得共、前様無拠

御理申上候条、可然御 *ことわり=断

取成御上申給度候

此段御答如此候也

二月十九日

実美

宮内卿殿

現代文訳

昨日ご連絡、愚妻への

皇后、皇太后からのご招待を

謹んで承りました。 ところがあいにく

病気で臥せっております。 誠に折角の

ご招待なのに申訳なく残念で

なりませんが、このような状況で止むを得ず

お断り申上げますので其旨お伝え下さい。

本件ご返事このような事です。

2月19日

実美

宮内卿殿

三條実美: 1837-1891、

太政大臣 1871-1885 現代の総理大臣

宮内卿: 現代の宮内庁長官

現代文訳

今日小生は当番で参上する事になっていますが、

止むを得ない用事のため、参上しませんので

よろしく申上げて下さい。

ところで宇田への預け金計算書を提出します。

ご一覧の上、面倒をかけますが写し取お返し

願います。 三條にも見せる積りです。 いずれ

明後日参上して詳細説明します。

2月15日

具視

岩倉具視 1825-1883

右大臣1871-1883

宮内卿 宮内長官、 宮内輔 次官

出典:個人