心構えと準備 (スワさん)

Post date: 2014/08/25 8:15:38

トライアスロンに向けたトレーニングの一環として最近は香港トレールを集中的に走っています。ご存知の方もいるかと思いますが、このコースはビクトリアピークを出発点として大浪灣までの50キロが全行程となっていて、このうち前半の約20キロ、つまり、湾仔ギャップ近辺までを縦走するのが週末のルーティーンとなっています。

基本、山の中なのでこの猛暑でも直射日光が遮られるエリアは多いのですが、舗装されていない道が大層を占めるので足元には細心の注意を払いながら慎重に走る必要があります。また、高低差があるため同じ距離でも平坦なところよりはスタミナの消耗が激しいのは言うまでもありません。

このような環境で走っていると、どこからともなく現れた湧き水が山肌をつたって清流となって勢いづいていくさまや、その姿は見えないけれども、普段はあまり接する機会のない野鳥のさえずりは、スタミナの消耗を緩和してくれる一種の清涼剤のように感じます。これは、イヤフォンで大音量の音楽を聴きながら走っていては決して味わえない感覚です。

先日いつものコースを走っていると前方に私とほぼ同じペースで走っている若者を見つけました。そこで、前半は彼をペースメーカーに、そして後半は彼を追い越すことを目標に走ることにしました。

さて実際はと言うと、私がスピードを上げると彼もさらにスピードを上げ、私は引き離される。負けじとついていこうとしてもなかなか差は縮まらない。彼を抜くチャンスをうかがい、いくたびもトライするもののその都度彼もギアが入り加速していく。これらを繰り返えすこと約2時間半。最終的には彼の方が先に湾仔ギャップに到着し、さらに次のコースに向けて颯爽と去っていき、私はここでギブアップとなりました。

ところが、自分のタイムをみると自己ベストを10分以上も更新していたのです。陳腐な言い方になってしまいますが、彼を目標にした結果が普段よりも早いペースでの走りにつながったのだと思います。追いつけなかった悔しさは残ったものの「ささやか」な達成感が湧いてきたのでした。

ところで、我らがJ'sはアジアもチャイナもここのところ優勝から遠ざかっていて、それまでの追われる立場がいまは追う立場になっている。でも断トツで強いチームがあるわけでもなく、潜在的な力は僅差でないでしょうか。

J'sが再び栄冠を勝ち取るためには、まずはチームとして追いかける相手を定め、そこには絶対に負けない、という目標を共有することだと思います。これは「心構え」と言えるかも知れません。

また、個々のレベルアップのために、通常の全体練習が終わった後に各個人がプラスαの練習を習慣づけてはどうでしょうか。シンプルにシューティングでもいいですし、自分の強みに一層磨きをかけるスキルでもいいでしょう。苦手なプレイの反復練習でも構わないと思います。このプラスαは「準備」としましょう。

ハードな全体練習の後で疲れ果てている中、ほんの少しの時間を捻出して「もうひと踏ん張り」できるための準備をすること。本番で勝敗を分けるのは、集中力を持続しつつ、土壇場でどれだけ踏ん張れるか。これは相手と紙一重。だから、日ごろからそのための免疫をたくさん蓄えておくことです。そして、もっとも大事なのは各自が準備したことを、仮に自信がなくとも、普段の全体練習などで試してみることだと思います。この集積がチーム全体の大きな力になるはずです。

先日のトレールランでは私に(即席の)心構えはあったけれども、彼よりも早く走るための準備はまだまだ不足していました。苦しいときにこそもっと踏ん張れるだけの走り込みを続けるのみです。

さて、そんな私のことよりも皆さんには本番において、決して「ささやか」でなく、是非とも「大きな」達成感を味わってほしい、と願うばかりです。

諏訪