平成26年度(2014)

平成26年度 経営工学セミナーのご案内

主査 宮田 秀典(キュービック) 副査 椎原 正次(大阪工業大学)

○第2回(共催:日本経営システム学会関西支部)

日 時:平成27年2月14日(土) 14:00~17:00

場 所:関西学院大学 大阪梅田キャンパス(K.G. ハブスクエア大阪)アプローズタワー14階 1408教室

〒530-0013 大阪府大阪市北区茶屋町19-19

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<講演1>

テーマ:「円安の時代の中小企業経営への提言 ー大企業と中小企業経営、ディジタルとアナログの世界を経験してー」

講演者:株式会社キシマ 代表取締役社長 亀田 昌宏 氏

(概要)

昨今の急激な円安の定着により企業経営は新たな局面を迎えている。円安により輸出型の大企業はリーマンショック以前の利益創出が実現しており、この利益がワインタワーのように下へ下へと降りてくるかどうかというポイントが日本経済の復活に極めて重要になってきた。実際に中小企業を経営している立場からは、この急激な変化が本当に実現されるかどうかは死活問題である。待ちの姿勢ではなく自らが経営手法、ターゲットを変えなければならないときに来ていると認識している。これまで大企業に25年勤め半導体事業の幅広い経験をした後、中小企業経営者になったことで中小企業の脆弱さとともにその競争力も認識した。さらにディジタル世界とインテリア関連というアナログ世界の両方の経験から、今後の中小企業の生き残り方についていくつかの提言をしたい。また半導体世界のように日本の産業が力を失っていく一つの大きな原因について経験したことを通して今後の産業再生への提案を行う。

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<講演2>

テーマ:「ナショナルレジリエンス実現に寄与する環境優良車のイノベーション普及戦略」

講演者:立命館大学大学院テクノロジー・マネジメント研究科 教授  石田 修一 氏

(概要)

近年の日本は巨大地震など数々の国家的危機に直面してきた。国家の存亡に直結する危機を乗り超えるためには、強靭化(レジリエンス)をオールジャパンで実現することが強く求められている。一方、シェールガス革命によって天然ガスが石油に代わる代替的エネルギーの候補に上り、重量の大きい貨物を運搬する自動車においては電気自動車ではなく天然ガス自動車が流通システムの効率化に貢献する存在であると認識されている。しかし、政府は乗用車については電気自動車から燃料電池自動車へ政策の焦点を移してきているものの、トヨタに代表される民間企業が政府に水素インフラの整備を強く求めているが、多くの取り組みは天然ガスとの相乗効果を狙ったものではない。そこで、本講演ではイノベーション普及戦略の考えかたに基づき、既存の天然ガスインフラを活用することでナショナルレジリエンスを実現するための技術戦略のありかたについて考察する。

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○第1回(共催:日本経営システム学会関西支部)

日 時:平成26年10月11日(土) 14:00~17:00

場 所:大阪工業大学 うめきたナレッジセンター グランフロント大阪 ナレッジキャピタル タワーC 9階

〒530-0011 大阪市北区大深町3-1 Tel:06-6359-1159

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<講演1>

テーマ:「BOP(Base of the Economic Pyramid)における携帯電話の役割と進化」

講演者:関西学院大学大学院 経営戦略研究科 教授 西本 凌 氏

(概要)

国内においては1985年のいわゆる通信の自由化・民営化により、通信事業者(キャリア)間の競争が促進され、30年弱が経過した。これまで日本を含む多くの先進国では、ポストペイド、SIMロック、データ定額等がほぼ常識となり各国独自の進化・発展をとげているが、一人当たり年間所得3000ドル以下のBOP、約40億人の市場では、通信・携帯電話がどのように進化してきたのであろうか。リバースイノベーションという語が経営にも定着するほどにBOPに注目が集まるが、“意外と知らないBOPにおける携帯電話の役割と現状”を俯瞰する。ネット事業者のフリーミアム戦略、先進国とBOPの課金・決済手段、OTT(Over The Top)の出現と影響、MNOとMVNOの関係性をにらみながら、今後のさらなる進化のゆくすえを考察、議論したい。

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<講演2>

テーマ:「内示情報と生産計画 ―レジリエンスに優れた内示生産システムの設計にむけてー」

講演者:県立広島大学 名誉教授 上野 信行 氏

(概要)

生産内示は,日本の製造業界における問題解決志向の協調的な企業間連携である。下流の企業(メーカー)が上流の企業(サプライヤー)に対して,生産開始に先立って「内示情報」を提示し生産準備を開始させ,生産実施直前に「確定注文情報」を伝達する仕組みであり、顧客ニーズの多様性とリードタイムの短縮を両立させている。しかし,内示情報には,あいまい性があることから,取り扱いが容易でないといわれる。そこで,本講演では,生産に先立って入手できる内示情報を生産計画に活用する理論とノウハウを述べる。自動車産業を事例に,内示変動メカニズム,内示の性質,見込み生産システムとの違い、EXCELをベースに内示情報を用いて生産計画を立てる方法を説明する。背景にある数理モデルの考え方,生産情報システム構築の留意点、内示生産システムのバリエーションやレジリエンス(回復力)向上の為に潜在的なリスクを顕示的に表現する評価尺度についても触れる。

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