自転車旅行5.13 カステリョ・デ・ラ・プラナ⇒アルコセブレ

5月13日(晴れ)

from Castello de la Plana to Alcosseble

◆地中海沿いの道

カステリョの街からは昨日歩いた旧市街のクロン通りを走り抜け、自転車道が設けられたCV-1520をひたすら東に進み、カステリョンの港で左折しCV-1501を進むと紺碧の地中海が見えてくる。やっと地中海が目の前に広がる。バレンシアからバルセロナを選んだ理由のひとつは地中海を眺めながら走りたいとの想いだったが、バレンシアからここまでは想定とは違って海岸沿いに走ることもなかったのでやっと目にした広がる海には感慨無量、強い日差しも気にならず爽やかな風が吹き抜け心地良く走れる。海岸沿いの道は完璧に整備され街路沿いにはヤシの木が植えられている。車道と歩道の間の自転車道は緑のペイントでカラーリングされ舗装面も滑らかで極めて走り易い。何より贅沢なのは右手に地中海、前方にシエラ・デ・イルタ国立公園の山々を見ながら走れることで、まさに至福のひと時であった。

地中海を眺めながらのんびり走るのは至福のひと時であった。

◆ヨーロッパの沖縄

地中海沿いの街はリゾート気分が存分に味わえる。海岸に面した道沿いにはレストラン、バルやホテルなどが至るところにあり真新しいマンションが林立しており、更に新築中のマンションも多くある。また、リゾート顧客用にはマンションやホテルだけでなくキャンピングカー用の宿営地、ロッジ、ペンションなど多様な宿泊施設があり、予算や好みに応じて自分にあったスタイルで長期滞在できるようになっているようだ。

それにしても「スペインの人達はこんなにリゾートに来るものか?」と疑問に思えたがレストランのメニューを見てすぐに理解できた。海岸沿いにあるどのレストランの前にあるメニュー看板にはスペイン語だけでなく英語、フランス語、ドイツ語に加えてイタリヤ語、ロシア語といった4~6か国語で表示されている。

また、地元の人と話して納得できたのはリゾートマンションの買い手の多くはスペイン人ではなくヨーロッパ各国の人達で、特にイギリス人が多いとのことであった。

すなわちEU全体を一つの国として見立てた場合、雨も少なく年中温暖で風光明媚なスペインという県にどんよりとして寒い冬のイギリス県始めEU各県から移り住んで来たり、一定期間滞在するのである。

海岸沿いにあるマンション一階にあるカフェのメニューももちろん多国籍な言語で書かれている。

多くの観光客が時間を忘れてゆっくりくつろいでいる。

◆歴史を感じさせる切通しの道

海浜リゾートの街ベニカシムを過ぎると道は海沿いに右に大きくカーブする。自転車は海岸沿いの車道を外れ坂道を上がって行くと、ノミで手掘りした跡がある岩の切通しが現れる。丘を削り山を掘って作られた道は見え隠れする地中海を見ながらトーレコロメラに至っている。トーレコロメラは16世紀にベルベル人の海賊を監視するために作られた塔のようである。海に面して一段高い小山の上に築かれたその姿からは歴史を感じさせてくれる。全く予期していないことに加えて、その時には何のための構造物か分からなかったので、走りながら往時の様子をいろいろと想像させてくれるものだった。

切通しの道は歴史のロマンを感じさせてくれる。また山の上にはベルベル人の海賊を監視したトーレコロメナの塔もある。

トライアスロンの催しにも遭遇

◆オフシーズンにつきホテルは休業ばかり!

この日の泊りは翌日の行程を決めるために情報集めが必要だったのでシエラ・デイルタ自然公園の手前の街アルコセブレと予め決めていた。その理由はこの街であれば自然公園の中を走るコース、自動車道N340沿いの一般道を探して走るコースとこの二つが無理だったら少し道を戻るが鉄道で移動する方法を選ぶこともできるという選択の幅にあった。もちろん自然公園の中を行きたいのであるが自転車での通行が可能か否か分からず地元での情報を足して判断したかった。また、この街には数多くのリゾートホテルがあることを調べていたので、宿探しにも好適との見込みもあった。

しかし、見込みは全く外れていた。確かに至る所にホテルは林立しているが、何軒訪ねても総てホテルがオフシーズンにつき休業になっている。当てが外れてちょっと心穏やかでなくなる。そこでコーヒーブレークにしながら、ホテル情報も得ようと考えて岬の突端にあるレストランに入る。スタッフに宿泊情報を確認すると、親切なオーナーが出てきて色々情報を集めてくれる。一軒だけ営業しているというので向かうとそこも休み、大ピンチである!!

どうしたら良いか?と思いつつ道の先を見ると大きな建物が見える。ホテルかもしれないと進むと道沿いのプールから子供たちの歓声が聞こえて来る。営業中のホテルだ!受付に行くと空室もあると言う。宿泊費を確認すると驚くことに夕食と朝食の二食を付けるのが条件で費用もべらぼうに高いが断ることなどできず泊まるしかなかった。(走行距離 75km)

自転車に優しい標識を発見!少なくとも1.5m空けて通過しろと!

標識だけでは解決は出来ないと思うが日本でも採用してもらいたい標識である。

自転車旅行5.14 アルコセブレ⇒モンツィア・マル