ご挨拶 / Greetings

 ゼブラフィッシュ・メダカ創薬研究会は,2015年に第1回大会が開催されて以来,ゼブラフィッシュやメダカ等の魚類を用いた疾患モデル構築,創薬を視野に入れた基礎研究,薬理作用や化合物スクリーニングの研究成果,等の報告・議論を行い,魚類モデルの疾患研究や創薬研究への活用を促進してまいりました。魚類モデルは医薬品開発だけでなく,化粧品や食品・サプリの開発,環境調査においても,動物福祉の観点から哺乳動物を代替する動物実験の評価系として期待が高まっています。本研究会では,企業に在籍される研究者の産業活用を意識した研究成果も多く報告されています。さらに,ゼブラフィッシュやメダカの飼育装置や観察機器,関連解析機器の需要拡大にもつながり,ますますの発展が期待されています。

 今回の研究会では,魚類を用いた疾患モデル,創薬,毒性試験等の現状と課題について,産官学それぞれの立場から創造的議論をする場を提供し,その一環として英国エクスター大学の竹園文博士に招待講演1をいただきます。竹園博士はPREMIERプロジェクトhttps://www.imi.europa.eu/projects-results/project-factsheets/premierという大学と企業を巻き込んだ欧州の学際的コンソーシアムのメンバーでもあり,医薬品の環境影響の管理やSDGsへの貢献に取り組まれています。PREMIERプロジェクトにはアストラゼネカを中心に,ロッシュ,バイエル,ノバルティスなど世界的に著名な製薬企業が参画しており,国内ではなかなか聞けない話を伺えると期待しています。さらに招待講演2として、株式会社アークメディスン(https://alchemedicine.com/)の田中圭悟CEOに、独自の創薬合成技術を用いた新薬候補化合物の合成→薬理試験→安全性試験→製薬企業への導出の一連の流れを、ベンチャー企業の重要性・面白さも含めてお話いただきます。

 講演・発表の言語は,専門外の人にもわかりやすいように日本語を基本とします。竹園博士や田中CEOも含め,参加者同士が親睦を深める場もご用意しております。また,疾患や創薬に関係ない話やまとまっていない話でも気楽に紹介・議論できるよう,オンライン化しないポスター発表の場も設ける予定です。次世代育成に向けて,若手研究者を対象とした優秀発表賞も準備しています。

 多くの皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。


第9回ゼブラフィッシュ・メダカ創薬研究会

運営委員代表 小林 麻己人