平坦な地面や台地・低地が広がる平野には、人口や産業が集中しています。その地盤を構成する地層が、「どのような構成物」で、「いつの時代」に、「どのような環境」で形成されたのかを明らかにすることで、建物の立地評価や防災・減災に資する地質情報の提供を目的にしています。現在は、徳島平野(羽田ほか,2022GSJ速報)、和歌山平野、西三河平野(羽田ほか,2022 地質調査研究報告)と徳島県の徳島平野で研究を進めています。
沿岸・沿海域の地層には陸と海の両方の情報が記録されています。しかし、沿岸・沿海域の地層の形成年代を決定することは、困難な場合が多いです。そこで、これらの地層の形成年代を決める新たな方法として、礫の定置年代を決定する手法を開発しています。
紀伊水道周辺の平野部には最終氷期最大期以降に堆積した沖積層が分布しています。また、紀伊水道海底下には、陸上に分布する沖積層と同時期に堆積した完新統が分布します。陸上に分布する沖積層と海底下の完新統の堆積環境や堆積後の続成作用の違いを、「岩石磁気学」的な観点から明らかにすることを目的にしています。
紀伊水道海底から採取する予定の堆積物コア、および徳島平野・和歌山平野・淡路島吹上低地から採取した(orする予定の)ボーリングコア試料を用いて、研究を行っています。
約300万年前の温暖な時代「中期鮮新世温暖期」は現在と同程度のCO2濃度、現在より暖かい気温などで特徴づけられます。そのため、約100年後の気候のアナログ(類似物)として注目されています。しかし、北半球の気候に大きく寄与する「黒潮」が、当時の気候にどのような影響を及ぼしていたのかは不明なままです。
そこで、房総半島の海成堆積物に含まれる微生物の化石「有孔虫化石」の化学分析と花粉化石の解析、古地磁気分析を駆使することで、当時の黒潮と陸上植生の変化の関係性を明らかにすることを目的に研究を行っています。(ご質問、共同研究なども大歓迎です!)
地磁気極性の逆転は、過去は何度も発生していたことが明らかになっています。また、将来にも起きる可能性があります。しかし、地磁気逆転のメカニズムは不明です。
そこで、房総半島の海成堆積物に残された地磁気の化石「残留磁化」を分析することで、過去の地磁気逆転時の地磁気の方位・強度の変化を復元しています。これら地磁気逆転記録を比較し、それぞれの逆転イベントの固有の特徴と似ている点を見出すことで、地磁気逆転のメカニズム解明や予測に資する地質情報を提供することが目的です。
現在までに、77万3千年前の松山-ブルン境界(Haneda et al., 2020 PEPS、論文はこちら)、333万年前のマンモス逆磁極亜期下部境界(Haneda & Okada, 2022 GJI、論文はこちら)における地磁気方位・強度の時間変化を報告しました。現在は、100万7千年前のハラミヨ正磁極亜期下部境界、320万7千年前のマンモス逆磁極亜期上部境界、358万年前のギルバート-ガウス境界を対象に研究を進めています。(ご質問、共同研究なども大歓迎です!)
大分県姫島村に分布する第四紀沿岸堆積層の古地磁気層序
和歌山県新宮市に分布する熊野酸性岩類の残留磁化分析による斜面崩壊履歴の検討
完新世における東南極の氷床変動と古海洋