このweb siteは研究者 二宮 由樹 の活動を発信するためのものです。
RQ:ヒトはどのように(どうして),より良いものを求め,発見するのか?
ヒトがより良いものを求めることで,科学技術,芸術,製品開発,様々な分野が進歩してきました。ここでいう、”より良いもの”とは,合理的な判断,効率的な解決策,創造的な生成物などを指します.
そんな,人間の活動を支える”より良いものの探索・発見の心理メカニズム”について研究しています.
誰もが,ちょっといい選択ができる,ちょっといいものに気づける,ちょっと楽しくなる,そんな社会の実現につながればいいなと思っています.
わたしの研究
私たちは”経験則”を使用することで,限られた資源の中での合理性を実現しています.
しかし,経験則は必ず正しい答えを与えてくれるわけではないので,時に偏った判断(認知バイアス)につながります.
私は,自身の判断のバイアスに気づき,それを修正する認知プロセスを研究しています.
関連文献
二宮 由樹・藤木 大介(2020). バイアス課題に内省的に誤答をする人, 直観的に正答をする人の存在の検証. 認知科学, 27(3), 308-320. https://doi.org/10.11225/cs.2020.021
二宮 由樹・藤木 大介(2018). 連言錯誤課題の理解過程と代表性ヒューリスティックを用いた判断との関係. 認知科学, 25(4), 421-434. https://doi.org/10.11225/jcss.25.421
画像はOpenAI. (2023). ChatGPT [Large language model]. https://chat.openai.com で作成
私たちは,事前の知識をつかうことで,様々な問題をうまく解決することができます.
しかし,知識や経験があるがゆえに,それに固執してしまい,より効率的な解決策や創造的なアイデアに気づけなくなる場合があります.
私は,知識や経験への固着を脱却し,より良い代替案がどのように発見されるのかについて研究しています.
関連文献
Ninomiya, Y., Iwata, T., Terai, H. & Miwa, K. (2024). Effect of cognitive load and working memory capacity on the efficiency of discovering better alternatives: A survival analysis. Memory & Cognition, 52(1), 115-131. https://doi.org/10.3758/s13421-023-01448-w
二宮 由樹・岩田 知之・寺井 仁・三輪 和久(2023). 成功状況におけるより良い代替解法の発見と意図的探索の関係:マウストラッキングに基づく検討. 認知科学, 30(3), 217-231. https://doi.org/10.11225/cs.2023.011
Ninomiya, Y., Terai, H., & Miwa, K. (2022). Differences in the distribution of attention to trained procedure between finders and non-finders of the alternative better procedure. Frontiers in Psychology, 13, 1-14. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2022.934029
服部 エリーン 彩矢・二宮 由樹・三輪 和久 (2025). 観点発見過程を伴う生成物の創造性評価:静的評価から動的評価へ. 認知科学, 32(1).
画像はOpenAI. (2023). ChatGPT [Large language model]. https://chat.openai.com で作成
モビリティ(移動体・乗り物)は人間の社会生活に欠かせないものです.
乗り物の歴史は古く,馬や牛車などは古くからヒトの移動手段として使われてきました.しかし,近年では自動運転など,馬などが主たる手段だった時代からは考えつかないような技術が発展しています.
そのような高度な技術をどのように扱うのかを知ることは,人間の知を明らかにするてがかりになります.
私は,モビリティを利用するなかで行われる交渉や協調行動,相手の心的状態推定に関する研究を行っています.
関連文献
Ninomiya,Y., Matsubayashi, S., Miwa, K., Terai, H., Akai, N., Deguchi, D. & Murase, H. (2025). Functional differences in gaze based on roles in collision avoidance between wheelchair-type personal mobility vehicles. Transportation research part F: traffic psychology and behaviour, 112, 15-27. https://doi.org/10.1016/j.trf.2025.03.016
Matsubayashi, S., Miwa, K., Terai, H., & Ninomiya, Y. (2024). Index of braking behaviour in two dimensions within risk perception. Transportation Research Part F: Traffic Psychology and Behaviour, 102, 164–176. https://doi.org/10.1016/j.trf.2024.02.017
Matsubayashi, S., Miwa, K., Terai, H., Shimojo, A., & Ninomiya, Y. (2022). Self-Benefit and Others’ Benefit in Cooperative Behavior in Shared Space. Human Factors. https://doi.org/10.1177/0018720822112140
Shimojo, A., Ninomiya, Y., Miwa, K., Terai, H., Matsubayashi, S., Okuda, H., & Suzuki, T. (2022). How impressions of other drivers affect one’ s behavior when merging lanes. Transportation research part F: traffic psychology and behaviour, 89, 236-248. https://doi.org/10.1016/j.trf.2022.06.007
画像はOpenAI. (2023). ChatGPT [Large language model]. https://chat.openai.com で作成
日常生活における出会いは,偶然の出会いに満ちています.
たまたま入った喫茶店のコーヒーがおいしかった,無くしたイヤホンを探していたら5年前のメモが出てきてアイデアをひらめいた などなど
このような,偶然の価値ある出会いや発見のことをセレンディピティ(Serendipity)といいます.セレンディピティは,人類の科学的な発見や創造性において重要な役割を果たすといわれています.
一方で,AIやアルゴリズムによる個人最適化技術が進むことによって,このような偶然の出会いが減少していることが社会問題となっています.
私は,人間が”偶然性”という事象をどのように認識し,ときにどのように関わっているのか?に関する研究を行っています.
これにより,過剰な最適化によって生じる意見の偏りや社会的分断などの問題の解決や,偶然が生み出す創造的なアイデア発見のメカニズム解明につながると考えています.
関連文献
Ninomiya,Y., Sone, Y., Miwa, K., Sumi, Y., Nakanishi, R., Mitsuda, E., Sato, K. and Odashima, T. (2025). Determinants of users’ chance seeking behavior in search-based recommendation. In Proceedings of the Nineteenth ACM Conference on Recommender Systems (RecSys ’25), 564-569. https://doi.org/10.1145/3705328.3748019
二宮 由樹・曽根 悠太郎・三輪 和久・鷲見 優一郎・中西 亮輔・光田 英司・佐藤 浩司・小田島 正 (2025). 偶然性希求尺度の開発, 日本心理学会第89大会予稿集, 287.
曽根 悠太郎・二宮 由樹・三輪 和久・鷲見 優一郎・中西 亮輔・光田 英司・佐藤 浩司・小田島 正 (2025). 製品の快楽・功利次元と偶然性希求行動の関連 , 『日本認知科学会 第42回大会発表論文集』, 345-348.
画像はGemini 2.5 Flash. (2025). で作成