世界線C
「アイツはこの体を捨てたんだ。」
20黒塗年、この世界線の暮日無音は日常を送っていた。
まだ9歳の彼女。フォルテと一緒に小学校からの帰り道。
なにかが左足をかすめる。フォルテはとっさにバリアを張る。
路地から姿を現した、成長した暮日のようないでたちの人物。
手にはメガホンのようなものを持っている。そして静かに話し始める。
「この体を捨てた… オリジナルの暮日。」
「お前の捨てたこの体は粼上音として、お前を消すために行動する。」
メガホンをフェルテたちに向け、本来なら電源スイッチがついているであろう場所の引き金を引く。
メガホンから光線が放たれる。バリアで防ぐことはできたが長く持たせることはできないだろう。
フォルテはバリアの前方に複数爆発を起こし、煙幕の要領で暮日を連れて逃げた。
逃げても逃げても、執拗に狙われる日々。
5年間の月日が流れた。二人は粼と闘いながら成長した。
フォルテは世界線Aのことをこの世界、【世界線C】の暮日にすべて話した。
彼女は変わってしまった。粼はもちろんのこと、この世界線の人外すべてを倒すと。
勉強などしている暇はなかった。ただ、戦いの中。
似た立場の人間の仲間と、人外を倒す。
これがこの世界線の日常になってしまった。