脊椎動物において過去に異質倍数化が生じ、脊椎動物の多様化に重要な役割を果たしたことが示唆されています。しかし、いつ、どのような交雑に起源し、維持され、再二倍体化が進行するのかに関しては明らかではりません。シマドジョウ属は交雑による進化的帰結として異質倍数化を含む多様なパターンが知られており、交雑が異なる進化的帰結をもたらす条件の解明に適した材料といえます。多倍数性種の起源と維持、生態適応といった「シマドジョウ問題」に取り組んでいきます。
淡水魚は地理的障壁によって移動分散が制限され、地域集団間で分化しやすいという特徴があります。分子遺伝標識を用いて系統や遺伝的特徴を明らかにし、地理的な分布との対応を調べることで、分布域形成史を推定することができます。こうした系統地理的なアプローチにより、生活史と分化パターンの関連、固有種・集団の起源、種間・集団間の交雑、魚類相の形成史について明らかにしたいと考えています。
淡水魚の多くは絶滅のリスクが増大しており、保全のためには生態的特性の情報が不可欠です。また、種間で生態や行動を定量的に比較することは、その種群の進化を明らかにする上で重要な知見をもたらすことがあります。近年分類学的な整理がされ、多くの種で生態に関する情報が不足しているシマドジョウ属について、野外観察や採捕だけでなく、PITタグを活用した生態研究に取り組んでいます。
日々フィールドに出たり、博物館の標本庫を覗いてみたりしますと、思わぬ発見を得ることがあります。こうした発見はその生き物の分布域や生態に関する知見蓄積、希少種保全や外来種防除に役に立つことがあります。そのため、引用・参照できる形で記録に残すことが重要です。これまでに、生活史に関する新知見、分布拡大中の回遊魚や外来種などに関して論文化し報告してきました。