野生生物は、気候変動や人間活動などの環境の変化に伴って、集団の減少や交雑などの集団動態を経験します。その結果、環境の変化に適応したり、生息域を移動したりして、現在に至ります。この過程や、結果として生じた遺伝的多様性が、私の研究における興味の対象です。
これらを明らかにすることは、進化や生態といった基礎科学と、生物多様性の保全といった応用科学の両方に貢献します。私の研究では、特にゲノム解析を駆使して、生物の集団史や遺伝的多様性を明らかにすることを目指しています。
北半球に広く生息するヒグマは、近縁種と交雑する、氷期に孤立して以来他の個体群と交流がないなど、地域によって複雑な歴史を辿ったことが示唆されています。
そこで本研究では、生物の全遺伝情報であるゲノムを調べることで、ヒグマのの複雑な歴史を解明することを目指しています。
【Key Words】分散, 交雑, 分布拡大&縮小
【研究開始時期】2019年-
【代表的な研究成果】
Endo et al. (2021) Genome Biology and Evolution
Kotani et al. (2025) Zoological Science
日本のハクビシンは、海外から日本に持ち込まれた外来種と考えられていますが、いつ・どこに持ち込まれたのか、持ち込まれた後どのように分布を拡大させたのか、詳しいことは分かっていません。
そこでミトコンドリアDNAや核ゲノム解析によって、日本でハクビシンがどのように分布を拡げたのかを明らかにしようとしています。
【Key Words】拡散, 文献記録, 外来種
【研究開始時期】2018年-
【代表的な研究成果】
Endo et al. (2020) Mammal study
Komatsu et al. (2026) Zoological Science
多くの場合、生物種が異なっても、遺伝解析技術を応用することは可能です。
上記の研究で培った知識・技術を駆使し、さまざまな生物の遺伝解析、ゲノム解析にも取り組んでいます。
【これまで取り扱ったことのある生物種一覧】
ツキノワグマ, アカギツネ, ニホンイタチ, シベリアイタチ, 外来リス類, イトヨ
近年札幌市では、人の生活圏にヒグマが出没する問題が深刻化しています。また、問題の解決にあたっては、多様な市民の価値観を十分に考慮する必要があります。
そこで無作為抽出によって選定された市民が社会問題について討論する"ミニ・パブリックス"の手法を取り入れ、札幌市民とヒグマの関係性について検証しています。
【代表的な研究成果】
遠藤ほか (2022) HUSCUP
北海道幌延町問寒別地区におけるヒグマのデントコーン食害の実態 (2017)
自動撮影カメラを用いた北海道天塩研究林のヒグマの生態 (2017)
食痕によるヒグマのエゾシカ利用評価方法の検討とエゾシカ利用割合の年次変化 (2016)