2023年度

第3回山口代数セミナー


日付: 11月11日(土), 12日(日)

場所: 山口大学理学部 14番教室


プログラム:

11日(土)

10:30--11:30 行田 康晃(東京大学)

Dynkin quivers and exchange quivers I

(昼食)

13:00--14:00 行田 康晃(東京大学)

Dynkin quivers and exchange quivers II

14:30--15:30 本間 孝拓(弓削商船高等専門学校)

準傾離散性の遺伝について I

16:00--17:00 本間 孝拓(弓削商船高等専門学校)

準傾離散性の遺伝について II

(懇親会)


12日(日)

10:30--12:00 木村 雄太(大阪公立大学)

Thick部分圏を用いた遺伝的代数の特徴づけ

(昼食)

13:30--14:30 酒井 嵐士(名古屋大学)

ねじれ類の束とICE閉部分圏を用いたt-構造の分類 I

15:00--16:00 酒井 嵐士(名古屋大学)

ねじれ類の束とICE閉部分圏を用いたt-構造の分類 II


アブストラクト(アルファベット順)

行田 康晃(東京大学)

・Dynkin quivers and exchange quivers

ディンキン図形(Dynkin graph)は、半単純リー代数の分類、有限表現型道代数の分類、有限型団代数の分類などにおいて共通して現れるグラフであり、今日の数学においては様々な分野を結びつける重要な考察対象として様々な研究者によって研究がなされている。

近年、このディンキン図形の各辺に向きの情報を追加したディンキン箙(Dynkin quiver)という概念についての研究が進められ、上記の3つの分類定理における相互関係の記述についての精密化が進んでいる。本講演ではそのような精密化の1つの結果として、Dynkin箙を1つ固定したときに、それとリー理論、多元環の表現論、団代数理論の道具をそれぞれ用いて構成される3つの交換箙(exchange quiver)と呼ばれる有向グラフが全て同じ形になることを説明する。

本間 孝拓(弓削商船高等専門学校)

・準傾離散性の遺伝について

準傾対象は三角圏の同値性やt-構造、τ傾理論を扱う上で、重要な役割を担っています。特に準傾離散性を満たすとき、t-離散性やτ傾有限性を導くため、非常に良い三角圏であると言えます。 より多くの準傾離散な三角圏を得るため、準傾離散性を遺伝するような状況を考察します。例えばIyama-Yang により準傾離散な三角圏のヴェルディエ商もまた準傾離散になることが示されています。本講演では充満部分圏の場合に同様に遺伝するか解説します。また自己入射的多元環に応用して得られた結果についても紹介します。なお本講演は東京学芸大学の相原琢磨氏との共同研究に基づきます。

木村 雄太(大阪公立大学)

・Thick部分圏を用いた遺伝的代数の特徴づけ

Aを有限次元代数とする. modAのwide部分圏のなす集合からD^b(modA)のthick部分圏のなす集合へ自然な単射Fが存在する. BruningはAが遺伝的代数の場合にFが全単射であることを示した. 本講演では弱い条件のもとで, Fが全射であるならばAが遺伝的であることを示す.

酒井 嵐士(名古屋大学)

・ねじれ類の束とICE閉部分圏を用いたt-構造の分類

t-構造は三角圏とアーベル圏を関連付ける重要な対象であり、多元環の表現論においてはKoenig-Yangによる準傾複体を用いた分類が知られている。一方、遺伝的アーベル圏に対してはStanley-van Roosmalenによるnarrow sequenceを用いた分類が知られており、この手法を一般の有限次元代数に対して適用することを考える。本講演ではt-構造とICE閉部分圏(像と余核と拡大をとる操作で閉じる部分圏)の関係、ねじれ類の束から定まる束論的な対象がt-構造を誘導することを紹介する。