私達について

急速な都市化や人口縮小が進むに伴い、今や人と野生動物との関係は多様かつ複雑化しています。

山間地域では、拡大造林による餌資源の増加や人間活動の停滞などによって鳥獣害が深刻化する一方、街では人と野生動物の生活圏の境界が曖昧になることで多様な軋轢が生じています。

人と野生動物が共存する社会を作るには、私たちはこれから何をしていけば良いのでしょうか?

野生動物や環境について、どのような手法を用いて、どのような点を明らかにする必要があるのでしょうか?

また、私たちは野生動物や環境について科学的に理解するだけで十分なのでしょうか?


野生動物の保全・管理をする上で重要であるとされる「野生動物・環境・人間」に関する幅広い知識を身につけ、今後、分野・立場横断的に保全管理について議論できるよう、本会は若手の皆さんに情報の共有と議論ができるプラットホームを提供することを目指します。


主に学部生から若手研究者向けですが、野生動物の保全管理に興味のある方や、幅広い視点を取り入れたいと思う方も歓迎します。

野生動物の保全管理における研究視点

野生動物

獣害対策や保全を考える上で、対象とする野生生物がどのような生態をもち、どのくらいの数がどう分布し、どんな影響を受けるのか、まず把握する必要があります。

獣医学・遺伝学・生態学・行動生態学・数理生物学・進化生物学など、多様な学問分野から多様な手法を用いてアプローチできます。

環境

野生動物の保全管理に向けて、他の自然資源利用とどのように調整を行い、生息環境を整備するのか?

野生動物の生息環境を考える上で、林業、農業やその他の自然資源利用との関係調整を図る必要があります。当会では、林業経済・林政学や農業経済・農政学、環境経済学のほか、グリーンインフラ的視点を取り込むことで、この問題に取り組んでいきます。

人間事象とガバナンス

野生動物の保全管理は、誰が実行し、誰が影響を受け、誰が方向を決めていくのか。そもそも誰のためなのか?

保全管理を進める上では、私たち「人間」のことを深く知る必要もあります。Human dimensions of wildlife managements (HD)もしくは保全社会科学に包括されますが、心理学・文化人類学・科学技術コミュニケーションなど、人間側面の中でも重要な視点がたくさん存在します。このようなアプローチにより野生動物に関わる人々の意識や社会動態を抽出していく必要があります。

同時に、当会では生態学/社会科学的エビデンスの抽出にとどまらずガバナンス論や政策過程論を中心としたアプローチを手掛かりに、政策転換やガバナンスの構築に向けた理論生成を図っていきます。

活動内容

スラックでの活動

自然科学から人文・社会科学の研究者、実務者や行政職員まで、多様な分野の専門家にセミナーをお願いします。

野生動物の保全・管理に関する理論や手法は実に多様です。1研究室・1所属機関で全てを学ぶことは困難を極めるでしょう。

多様な学問分野の勉強会を開催することで視野を広げるとともに、学部や修士学生の方には研究内容や計画発表を行なってもらうことで、研究をより良く磨いてもらうことを目指します。

*発表の心理的ハードルを低くしつつも、建設的な議論をできる場にしたいと思っています。言葉選びや意見の仕方にはご注意願います。


  フィールド視察会

    不定期ではありますが、参加者の調査地や現場の視察が企画できたらいいなと考えています。

*本会「野生動物の保全管理に関するユースプラットフォーム 」は、「野生生物と社会」学会の青年部会企画「他分野のアプローチに触れる若手研究座談会 -野生動物管理の学際的議論にむけて-」を発端に、髙畑優(総研大)及び古賀達也(京大院)の呼びかけにより始動しました。企画は多様な参加者間での議論と交流の場の提供が企画目的でしたが、実際に提供できたのはオンサイトの参加者に限られてしまいました。そこで、オンライン参加者の研究や経験談、お互いを知る機会を設けることを目的に設立しました。興味を持っていただいた方はぜひ参加いただけると嬉しく思います(「野生生物と社会」学会とは独立の活動です)。