今まで行ってきた研究や現在取り組んでいる研究、興味のある研究について簡単に紹介します
これまで行ってきた研究
23GHz(Kバンド)で放射される分子輝線です。
最大の特徴は、温度をはじめとする星間ガスの物理量を
少ない仮定で導出できることです。
分子雲内の高密度ガスの調査に適しています。
天文学では、通常、天体を観測した時の「強度分布の形状」
をもとに物理現象について議論を行うことが主流です。
一方で、分布の形状とはつまり「人の目」を介する手法の為、
完全に主観が入らないとは言い切れません。
そこで、天体の密度分布の特徴を
定量的に表すことができないかと考えられた手法が「GDH」です。
横軸を密度、縦軸を割合としたヒストグラムを描くことで、
「どのぐらいの密度が天体のどの程度の割合を占めるのか」
という情報を定量的に評価し、
分子雲を特徴づけることができます。
分子雲は、内部で階層的な構造を持つと考えられています。
例えば、星がまさに生まれようとしている密度が非常に高い領域を「分子雲コア」
その分子雲コアが生まれている高密度な領域の「フィラメント」などが代表的です。
現在は、星が生まれる直前の描像がALMAなどにより解き明かされており、
注目されています。
一方で、この高密度な領域がどのようにして形成したかを調べるためには、
これらの構造のみに注目せずに、複数の観測データの情報を用いて、
より希薄なガスから分子雲を包括的に調べる必要があります。
現在行っている研究・興味のあるテーマ
銀河の広範囲を観測したデータを用いた統計的な研究に興味があります。
現在は、CO・NH3・赤外線の観測データを用いて、
個々の分子雲の物理状態・進化段階を調べ、分子雲進化過程を解き明かそうとしています。
credit: Andre et al. 2010
星が生まれる環境は
どのようにして
作られる?
作られるまでに
どれぐらいの時間が
かかる?
credit: Keown et al. 2019, Nakamura et al. 2019
天の川銀河には
どのぐらい進化の進んだ分子雲が
どのぐらい存在している?
進化に要する時間は?
Credit: NASA/JPL-Caltech/R. Hurt (SSC/Caltech)
分子ガスの少ない
銀河系外縁部領域での
星形成過程
NH3-GDH
人間の「目」に
頼らずに
統計的に物理状態を
調べる