祇園祭の屏風祭で屏風とともにヒオウギアヤメを飾っている商家。祭花として流通しているのは「ダルマ」と呼ばれる矮性種です。下が野生種で、「ダルマ」に対して「鶴首」とも呼ばれます。
ヒオウギアヤメの種子「うばたま」
京都の銘菓 烏羽玉
ヒオウギアメ(檜扇菖蒲)
学名 Iris domestica 古名 射干・夜干別名 別
アヤメ科アヤメ属
祇園祭の期間、京都で魔除けに飾られる祭り花です。その葉っぱのつき方が、現在も宮中や社寺で用いられる檜扇に似ているアヤメ科の植物であるために「檜扇菖蒲」
と言います。古名は、射干、夜干と言われました。烏扇、烏玉と言う別名は漆黒の種子を「うばたま 烏羽玉、老玉」(ぬばたま)と呼び、和歌で黒髪や夜、闇など黒いものにかかる枕詞に使われたことに因みます。茶髪が市民権を得て「黒髪」の価値が下落してしまった現代社会においては、形容詞としての「うばたま」「ぬばたま」という言葉は見かけなくなりましたので、万葉集から磐姫皇后の歌をご紹介しておきましょう。
居明かして 君をば待たむ ぬばたまの我が黒髪に 霜は降るとも
枕詞としての「うばたま」「ぬばたま」は「古典語」になってしまいましたが、京都の和菓子「烏羽玉」は健在です。黒糖で炊き上げた漉餡玉を寒天でコーティングし、罌粟粒をトッピングした「烏羽玉」は、なるほど、ヒオウギアヤメの種子を思わせます。
左の写真は、ヒオウギアヤメよりひとまわり小さいヒメヒオウギズイセンCrocosmia x crocosmiifloraです。
ネジバナ ラン科ネジバナ属 Spiranthes sinensis var. amoena
ネジバナ(捩花)、モジズリ(綟摺、盤龍参)は、日本に自生する蘭で、芝生のような背丈の低い草地に混じって生えます。10〜40cmくらいの花茎に小さな花が綺麗な螺旋形を描きます。よく見るとその小さな花はカトレアと似たれっきとした蘭の花です。白花も稀にあります。螺旋の巻きは左巻き、右巻きが1対1くらいの割合だそうです。
百人一首中に河原左大臣がよんだ歌をご存知ですか?身を捩る恋心の歌です。
陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れそめにし われならなくに
洋蘭の女王と称えられるカトレア
オニユリ