吉田山の桜は、3月初旬から4月半ばまで、さまざまな種類が咲きます。ここでは、桜はすべて3月にまとめました。
幽斎桜
江戸時代に吉田神社の銘桜として愛でられた一重咲きの枝垂桜が、長い歴史の中で絶滅していました。吉田山では絶滅していました。ところが、細川幽斎が天正8(1580)年〜慶長4(1599)年の頃に吉田から舞鶴にもたらした桜が瑠璃寺境内に樹齢400歳でまだ生きています。その縁で舞鶴市のその地域は「吉田」と呼ばれるようになりました。
私たちの会は、2014年から瑠璃寺と交流を始め、細川本家からこの桜に「幽斎」の名を使うことに同意していただき、幽斎が植えた桜の子孫である幼木を貰い受け大元宮石垣下に移植しました。今では立派な木になりました。
幽斎桜
幽斎桜の花
舞鶴の瑠璃寺の幽斎桜と花
幽斎桜の花
最近の枝垂桜は八重咲きが多いですが、これは、一重咲きの可憐な花姿です
吉田神社本宮前の開運桜
開運桜の花
吉田山に自生する山桜
ソメイヨシノの花と樹洞に発芽した紅葉
紅枝垂れ桜
下の写真は、紅枝垂桜の台木は江戸彼岸桜です。紅枝垂桜のそばに根吹きで江戸彼岸桜が育ち、開花したものでました。幕末に江戸の染井村で誕生し、近代以降、もっともポピュラーな桜となったソメイヨシノの両親は、江戸彼岸と大島桜です。江戸彼岸桜は、美しい花の色、葉っぱより先に花だけ開花する素質をソメイヨシノに与えました。
紅枝垂れ桜
紅枝垂桜
平安神宮神苑の紅枝垂桜
紅枝垂れ桜の花 京都を代表する桜です
幕末の国学者・本居宣長が61歳の自画像に添えた歌「敷島の大和心を人とはば 朝日に匂ふ 山桜花」はあまりにも有名ですね。
山桜
大元宮前の山桜は吉田山で一番最初か二番目に開花します
関西に自生する、花と同時に出る若葉が赤いのが特徴の野生の桜です。さくらの語源は、「さ」穀物の霊(穀霊)の「くら」依代であると言われます。山中に山桜の白っぽい花が咲くと農事歴がスタートする目印となったからだと考えられています。
実生で育った山桜(15年目に開花しました)
竹中稲荷参道のソメイヨシノ
大島桜
伊豆地方に自生する桜で、ソメイヨシノの片親です。大きな白い花は香りが強く、花と同時に青々とした若葉が出ます。この青葉を塩漬けにしたものが、桜餅の葉っぱです。
蜂須賀桜 毎年3月の初め、吉田山で最初に開花する桜です。
蜂須賀桜は、徳島城御殿にあった桜を最後の藩主・蜂須賀茂韻が藩士原田一平の屋敷に移植し守り育てられた樹齢250年の桜です。寒緋桜と山桜の雑種で寒桜の系統とされ、花色濃く、早咲きです。同地の武家屋敷の会がこの桜を保護育成し、植樹、広報され、吉田山公園にも3本移植されています。
陽光
愛媛県で作出された園芸品種で、花の色が艶やかで大きく華やかない桜です。
霞桜 4月の終わり、吉田山の桜の掉尾を飾ります。
野生の桜で花弁の形がくっきりしていますが、花は小さい桜です。吉田山には薄紅色の花が咲くものが数本自生していますが、竹中稲荷境内には樹齢100年はゆうに超える純白の霞桜の大木があり、その周辺に幼木が何本もあります。吉田山に桜をたずねてくる観光局も途絶えたころに、季節外れの小雪が舞うように咲く姿は幻想的です。