レディースアンドジェントルメン。
コンビニにしか出来ないことがあることをご存知だろうか?
それは間違いない。コンビニは至るところにあるから、いざ困った時に頼りになる。
では、オリジナリティはないというのか?
そうだ。各コンビニは色々と独自の商品を開発しては差別化を図っているし、素晴らしい商品も多い。
私もからあげクンが大好きだ。
しかしそれだけではない。やはり、この星のコンビニの価値は未だ埋もれてしまっているようだ。
コンビニ人間*、とでも言っておこうか。
コンビニの数ある価値の中でも、今回は特にセブンイレブンのマルチコピー機についての話だ。
マルチコピー機は大抵どのコンビニにも置いているが、コンビニによって機種が違い、操作や機能も多少異なる。
なぜローソンやファミリーマートではなくセブンなのか、その理由は今日の話を最後まで聞けば自ずと分かるだろう。
ちなみに、私はセブンから一銭たりとも受け取ってはいない。
事の始まりは、私の知り合いが困っていたからだった。
私たちの住むこの星では、近頃厄介なウイルスが蔓延し、外出の自粛を強制されてから随分経った。
自宅で過ごすことに疲れを感じ始めていた彼は、ある日、「本を作れ」という神の啓示を受けたという。しかし、家にプリンターはなく、外注するにはお金も時間もかかる。
彼は今すぐ、そして安価に本を作らなければならなかったのだ。
私たちホモ・サピエンス・コンビニエンスは彼ら人類、つまりホモ・サピエンス・サピエンスとホモ・サピエンスを共通の祖先とした現生人類の一種だ。
どちらも高度に発達した文明を築き上げたが、彼らがここまでコンビニのことを理解していないことは驚きだった。
そして彼に、コンビニに置いてあるマルチコピー機を使えば安価かつ簡単に本が作れることを教えた。
すると彼は感動してこう言った。
「人類の多くはきっと、この事実を知らない!コンビニ出版の可能性をもっと広く伝えなければいけない!」
コンビニ出版の話の前に、本作りについて多少説明をした方が良いだろうな。
本といっても様々な形や製本の方法があるが、セブンのマルチコピー機は「中綴じ」と呼ばれる製本方法で特に力を発揮する。
中綴じとは、おそらく最も簡易的な製本方法であり、複数枚の紙を重ねて半分に折り、ホッチキスで留めるだけだ。
しかし、一枚の紙と本の状態とでは見え方が異なるため、それに合わせて各ページを正しい順序で配置しなければならない。
これが「面付け」と呼ばれる作業で、我らコンビニエンスは別名「3M」と呼んでいる。
・めんどくさい
・ミスったら凹む
・もうやりたくない
の頭文字をとって3Mだ。
この作業を完全に自動化してくれるのがマルチコピー機だ。
具体的なデータ作りとマルチコピー機の使い方については、セブンが公式サイトを用意して細かく説明してくれている。
http://www.doujinshi-print.com/
ちなみにこのサイトを見れば、セブンが如何にマルチコピー機と本作りに力を入れているのかがよく分かって面白い。ダウンロードして出来具合を見ることができるサンプルを漫画家の方が書いてくれているが、ウェブで「セブン 小冊子印刷」などで検索しても情報は簡単に手に入る。
手作りの本の代表格は「同人誌」だが、これはコミケでの販売が主な目的であり、知り合いの彼が住む日本では漫画・アニメ産業が盛んなため情報の蓄積が非常に多い。イラストベースで一度に大量に刷るため、モノクロ印刷が主流のようだ。
一方、「ZINE」は手作りの本という点では同じだが、漫画のように物語性のあるものは少なく、写真やイラスト、文章を多用し、紙の材質や製本方法にまでこだわったものが多い。そのため、紙から用意して自宅のプリンターで刷り、丁寧に一冊を仕上げる。
同人誌かZINEかに限らず、キンコーズなどの印刷サービスを利用する場合もあるが、値段もそれ相応で、自由度は比較的低い。
話が逸れたが、要するに本を作る人や方法は実に多様であるということだ。
そんな中で、実物を作りながら考えたい人や知り合いの彼のように、早く安く作りたい人にうってつけの方法が、セブンイレブンのマルチコピー機を使った本作りである。
まあそう焦るな。
データ作りについては公式サイトを見てほしいが、結論から言うとパソコンさえあればデータは誰でも作れる。本にしたいイラストや写真などの素材さえあれば、それを順番通り並べるだけであとはマルチコピー機が勝手に大きさを整えてくれる。専用のソフトウェアがあれば、ページのデザインなどにもこだわることが出来る。様々なニーズに合わせた使い方ができるのは、まさにマルチコピー機といったところだ。
印刷されて出てくるのは複数枚の紙であり、最後のホッチキス留めは自分でやる必要がある。キンコーズにはホッチキス留めまでやって本の状態で出てくるプリンターもあるが、私はそこを敢えてやらないのがセブンのマルチコピー機のオツなポイントだと思っている。
なぜかと言うと、費用を抑えるためにモノクロで刷るが表紙だけはカラーで刷りたい場合などはそれらを別々に印刷する必要がある。また、ホッチキスではなく穴を開けて糸で縫うという製本方法で仕上げたい場合には、留められては逆に手間が増える。
つまり、ホッチキス留めをしないことで本作りの自由度を高めているのだ。そして何より、最後は自分の手で本を完成させる喜びを提供してくれているのである。
では実際に、知り合いの彼が本を作った手順を追っていく。
これはA5サイズ、見開きでA4となる場合だが、サイズが変わっても作業工程は基本的に変わらない。
本文部分
折ってパラパラするだけで本っぽくはなる。しかし、それは心を持たない人間のようなものだ。
表紙部分
人を見かけで判断してはいけない。しかしそれは、外見を疎かにしても良い理由にはならない。
ドッキング
ダイソーは何でも綴じられる万能型。ノーマルは180度開くタイプなら使える。中綴じ用は中綴じ以外にも使える。
誕生
縁無し印刷のため表紙を別にしたものはA5とB5の2冊。表紙と本文を一緒にしたものはカラーとモノクロのB5が2冊。
私は始めに、セブンにオリジナリティはあるかと問うた。そしてお前たちは無いと言った。最後に、セブンにあるマルチコピー機最大の秘密を教えよう。
自宅にあるプリンターはおろか、外部の印刷サービスをもってしても手に入れることが出来ないセブンのマルチコピーが持つ価値はずばり、「紙」だ。
セブンのマルチコピー機に使われている紙はマルチコピー機のためだけに開発された専用用紙なのだ。
つまり、どれだけ高級な紙を用意し、高機能なプリンターを自宅に用意したところで、セブン・クオリティは決して得ることは出来ない。
そう、クールジャパンなどと言っている場合ではないのだ。
世はまさに、クールセブン、メイド・イン・セブンの時代なのだから。