5月はBuddhi(ブッディ)をテーマにクラスをしています。

ブッディは知性を持った心の働きのことで、今ある状況をよく観察し、平静心を持って自分と周囲にとって一番良い決断のできる「賢い」心です。

ヨーガ哲学によるとブッディの下にはManas(マナス)というもう一つの心の働きがあって、マナスも物事を知覚したり認識したり、体に行動を起こすように指令する大切な役割を担ってはいますが、ブッディほどの知性がないためについつい考えることなく欲望のままに動いてしまうのだそうです。

ブッディとマナスの違いを例えるとこんな感じでしょうか。

例1:ケーキ

食べたくなったからすぐ食べる(マナスの働き)。

食べたくなったけれど、今は健康のために糖分を控えているので、体が砂糖を欲しているのを感じているがとりあえず我慢してみる(ブッディの働き)。


例2:後ろの車からクラクションを鳴らされた

嫌な気持ちになったのでもっと長くクラクションを慣らし返した(マナスの働き)。

嫌な気持ちになったけれど、相手はもしかして鳴らす理由があったのかも知れないと自分の行動を落ち着いて振り返ってみた。(ブッディの働き)


ウパニシャッド(ヨーガ哲学の元になった聖典)の人間馬車説によると、人間の体は馬車、その馬車を動かす感覚や行動は馬に例えられます。マナスは感覚や行動の馬に繋がれた手綱で、ブッディはその手綱を握る御者とされています。手綱は御者がきちんと引いていないと感覚や行動に引っ張られてあっちこっち行ってしまってなかなか目的に辿り着けない、、、手綱をうまく操るのが御者のブッディの仕事なんですね。

ヨーガではこのブッディを自分の中から引き出して、体と心をうまく統合することを目指しています。ヨーガのユニークな所は、この揺れ動きやすいマナスを無理やり押さえつけて制御するのではなく、マナスの動きを観察し、体の動きや呼吸を通して穏やかになだめて統合していくという方法をとっていることだと思います。

具体的な例で言うと、、、あるポーズをしている時に体に辛い部分が出てきたとします。その辛さがあるのでそのポーズから早く出たいと思っている自分(マナス)に気づきます。やめたいのはその辛さがが自分にとって良くないものだからか、それともただしんどいことを避けたいだけだからなのかを判断します(ブッディ)。自分の体に良くない辛さである時は無理をしないのが賢明です。ですが自分にとって良い結果をもたらす辛さと判断したときはもう少し頑張ってみることが賢明な場合もありますね。この微妙な判断ができるのがブッディです。

マットの上ではマナスが頑張りすぎている時もよくあります。もっと綺麗なポーズをとりたい、もっと頑張りたいと体のキャパシティーや感覚を無視する場合です。この場合もマナスの動きに気づき、体とマナスをなるべく同じ方向に向かせてあげられるのがブッディです。

ポーズをしてる時にこんなに色々考えてる余裕ないがな〜!って思うこと私もあります。ですが、まずは心の余裕がもてるくらい安定して快適なポーズをすることが練習の一部だと思っています。それから体の感覚、マナスの動きをじっくりと観察してみること。


そして忘れたくないのは体もマナスも自分を成り立たせてくれている大切な一部だということ。いっつも私のために頑張ってくれてありがとうね〜という温かい気持ちをもって練習をするのもおすすめです^^。