市民フォーラム詳細

市民フォーラム 第1部

13:15 ~ 16:45

開会挨拶 大会実行委員長 塚口 博司 (立命館大学理工学部名誉教授)

開催地代表挨拶 草津市長 橋川 渉さん

祝辞 国土交通省 大臣官房技術審議官 渡邉 浩司さん

祝辞 新交通システム推進議員連盟会長・衆議院議員 逢沢 一郎さん


①基調講演
諸富 徹 さん (京都大学大学院経済学研究科/地球環境学堂教授)
  「持続可能な都市/地域発展と地域公共交通が果たすべき役割」
【講演趣旨】
本講演では、人口減少下で持続可能な都市/地域の発展を図るには何が必要かを論じ、コンパクト化、地域公共交通の充実、中心市街地活性化、温暖化防止、住民の暮らしやすさの向上が相互に連関し合っていることを明らかにする。また、地域公共交通を支える財源調達のあり方を論じるとともに、講演者が会長を務める滋賀県税制審議会での議論も紹介する。

②特別講演
三日月 大造 さん(滋賀県知事 )
  「公共交通がつくる幸せ 〜健康しがへの挑戦〜」

③特別報告
宇都宮 浄人 さん(人と環境にやさしい交通をめざす協議会)
  「地域公共交通の制度改革の方向性~官民の役割分担再考」
(制度財源検討会中間報告)

【報告要旨】
自由競争と独立採算を基本とする日本独特の地域公共交通制度を見直すべく、我々は2019年3月から「地域公共交通の制度財源検討会」を開始した。本報告では、13回を数える検討会の議論を踏まえ、地方都市や大都市周辺部に焦点を当てて、現時点で得られている知見と今後の政策の方向性について、そのポイントをお話する。


④報告リレー 15:20~16:45 (7グループ×7分)
 「滋賀の特性を活かす三方よしの交通まちづくり~表話・裏話」
(1)「近江鉄道 持続可能な鉄道と地域共生へ」
山田 和昭さん(近江鉄道株式会社 構造改革推進部部長)
 
【概 要】
滋賀県湖東地区を南北に貫く全長60キロ、126年の歴史を重ねた近江鉄道線。現在、鉄道路線の維持に向けて、滋賀県・5市5町と上下分離方式の詳細検討が進んでいます。本報告ではこれまでの経緯とともに、地域と鉄道の協力体制に向けて近江鉄道における「みらいファクトリー」などの活動をご紹介いたします。


(2)「学生よし、地域よし、近江鉄道よし!の三方よし実現に向けて〜大学生の視点から〜」
びわこ学院大学地域調査プロジェクトチーム
 
【概 要】
近年、近江鉄道は利用者が減少し、廃線の危機に立たされている。この問題は、沿線にある大学に通う私たちにとっても喫緊かつ重大な問題となっている。私たちはこの問題を解決すべく、産官学と連携しながら地域住民と共に近江鉄道の活用による地域活性化について模索を続けてきた。本報告は、それらの活動で得られた情報を分析して、近江鉄道を「線」として、「面」に広がる沿線地域が抱える諸問題を明らかにし、学生の視点から打開策について提案するものである。

「びわこ学院大学地域調査プロジェクトチーム」紹介
2017年5月、教育福祉学部 逄 軍(パン ジュィン)ゼミを中心とした学生有志たちによって結成された。沿線にある大学として通学に必要不可欠な近江鉄道を維持するための利用促進と地域活性化を目的としている。チーム結成以来、「近江鉄道の活用による地域活性化」と「地域公共交通を維持確保していくためのモビリティ・マネジメント」などの研究プロジェクト、「『学生よし・地域よし・近江鉄道よし』の三方よし通学プランについてのアンケート調査」、「近江鉄道『万葉あかね線』の利用に関するアンケート調査」、「近江鉄道・近江鉄道バス・ちょこっとバスの全路線動態調査」などの調査研究に従事してきた。また解体の危機に面していた貴重な産業遺産である日本最古級の電気機関車ED314を救うためにクラウドファンディングを実施、700万円超の資金を集めてその保存に成功した。現在、その活用を模索中である。
これらの調査研究の成果を「地域鉄道活性化フォーラム」、「近江鉄道線活性化地域フォーラム」などの場で研究発表し、「環びわ湖大学地域交流フェスタ2018」ベストポスター賞、「近江鉄道・信楽高原鐡道沿線盛り上げ活動表彰」優秀賞を受賞した。その活動は新聞や雑誌などのメディアにも取り上げられて、テレビやラジオにも出演している。

(3)「公共交通が生み出すハレ舞台の創出」
福井 美知子さん(電車と青春21文字プロジェクト 代表)
【概 要】
まちのシンボルである鉄道でまちに活力を与えたい-との思いで始まり今年で15回目となる青春21文字のメッセージの公募。21の駅があり、沿線に学校が多い青春ぽい通学路線である京阪石山坂本線が発祥。入口「交通」、切り口「文化・文芸」、出口「観光」を合言葉に、滋賀県発の独自文芸をまちづくりにつなげる。

(4)「湖南地域(大津・草津周辺)の交通事情」
畑中 則宏さん(おおつ交通まちづくり推進会 代表)
概 要
このエリアは、比較的鉄道のサービスが充実している一方で、過去に充実していた大津~草津を結ぶ幹線バス網の衰退、大津市内中心部のバスの便数が極僅かとなってしまった。その現況を、実例を交えながら紹介する。

「おおつ交通まちづくり推進会」紹介
大津市内~草津市内の公共交通の利用促進や駅前の活性化等をめざし、2019年2月より活動を始める。
これまで、交通まちづくりをテーマとした講演会やカフェ、路線バスを使った散策イベントに加え、今後は公共交通に関する情報提供ツールの作成や利用者目線の提案・提言をしていきたいと考えている。

(5)「自動運転バスと未来の交通システム with 電気バス」
大久保 園明さん(京阪バス株式会社)
【概 要】
将来の公共交通の維持と発展に自動運転技術は重要な要素である。また、SDGs・カーボンニュートラルの視点も重要である。
両テーマに関して、京阪バスと大津市によって過去3回実施した自動運転バスの実証実験から得られた課題と希望、そして、京阪バスの電気バスに関する取り組みを発表する。

(6)「ビワイチから始める自転車のまちづくり」
南村 多津恵さん(輪の国びわ湖推進協議会 運営委員、市民活動コーディネータ)
【概 要】
輪の国びわ湖はびわ湖一周サイクリング(ビワイチ)のPRを行っているが、めざすのは観光の推進ではない。ビワイチをきっかけに自転車のファンが増え、日常でも自転車を愛用する人が増えれば、自転車が使いやすく、健康的で環境に配慮した暮らしとまちが実現し、地域も活性化する。そのために市民が仕掛け、協働する活動と戦略を紹介する。

(7)「湖上交通のこれまでと、これから」
川戸 良幸さん(琵琶湖汽船株式会社 顧問)
【概 要】
太湖の昔より、地理的条件により、びわ湖は日本全土を結ぶ交通の要所で、二点間を結ぶ移動手段として、湖上交通が盛んであった。しかし、陸上交通の発展とともに、湖上交通を移動手段とする役割は、徐々に少なくなり現在に至る。これからは、移動手段として利活用しながらも、湖辺での親水性を高めた陸と湖との街づくり、湖上での体感・体験するニューツーリズム、びわ湖を活用する各事業体の連携など、湖上交流を推進させたい。


    コーディネーター  築地 達郎さん(ジャーナリスト、龍谷大学 社会学部 准教授)
    総合司会 辻 博子さん (しがローカルSDGs研究会 事務局長)

第1部開会挨拶 大会副実行委員長 逄 軍(パン・ジュイン/びわこ学院大学 教育福祉学部 教授)



市民フォーラム 第2部 〔交流ディスカッション〕

セッション1 17:00~17:40

ルーム1:滋賀の歴史と文化を交通からひもとく
コーディネーター:阿部 俊彦さん(立命館大学 理工学部 建築都市デザイン学科 准教授)
コメンテーター: 川戸 良幸さん(琵琶湖汽船株式会社 顧問)
【概 要】
琵琶湖を制するものは、天下を制する。びわ湖上と周辺は、湖上交通と地域の文化で歴史を積み重ねてきた。
湖上交通と神仏、湖上交通と木石鉄、湖上交通と魚米塩、湖上交通と公家武士、湖上交通と人物資など、時代時代に湖上交通と〇〇で歴史と文化が形成されて来た。
未来に向けて、交通と〇〇でどの様な歴史と文化・暮らし、そして街づくりが展開されるであろうか!!

ルーム2:若者の視点から交通・まちづくりを考える
コーディネーター:田中 厳さん(おおつ交通まちづくり推進会)
コメンテーター: 学生参加者
【概 要】
滋賀県内で地域交通活性化や環境問題に取り組む学生からその取り組みについてご説明をいただいた上で、「使い手よし!担い手よし!世間よし!三方よし!」の滋賀の交通の実現に向けた方策を語り合います。


ルーム3:パース市の交通政策から、持続可能なまちづくりを学ぶ
コーディネーター:谷畑 淳一さん(しがローカルSDGs研究会 理事)
話題提供: マーティン P ホワイトさん
        (豪州 西オーストラリア州公共交通局 地方都市・スクールバスサービス トトランスパース・システム部部長)
逐次通訳: ディーガン美佐子さん(しがローカルSDGs研究会 理事)
【概 要】
観光地としても人気の高い西オーストラリアの州都パースでは、公共交通の利便性を高めることで、自動車利用を抑制する取り組みが進められています。電車やバス、フェリーなどは乗り降り自由な共通チケットで利用でき、市内中心部には無料の循環バスも走っています。その事例を学び、持続可能なまちづくりについて考えます。


ルーム4:京阪石坂線と沿線の魅力を探る
コーディネーター:木村 浩一さん(電車と青春21文字プロジェクト )
コメンテーター:大石橋 昌子さん、谷本 武弘さん、福井 美知子さん、前田 勝さん、村田 三千雄さん、矢野 圭昭さん

【概 要】
大津市中心部を背骨の様に走る京阪石坂線。単なる移動手段でなく、生活の色んな場面で登場し日常に色どりを添える身近な存在です。駅はじぶんちの玄関、誰もが自慢したくなるまちの資源。鉄道ファンだけでなく、地元を愛する人々が語る石坂線の魅力について気楽に語るコーナーです。

セッション2 17:50~18:30

ルーム5:ビワイチから自転車の日常利用につなげるには?
コーディネーター:佐々木 和之さん(輪の国びわ湖推進協議会 事務局長)
コメンテーター: 藤本 芳一さん(輪の国びわ湖推進協議会 会長)
【概 要】
最近全国的な人気を呼んでいる「びわ湖一周サイクリング」(ビワイチ)は、実は滋賀では学校行事や子供の冒険代わりに以前から行われてきました。
滋賀県では、駅から半径5km以内に人口の95%が住んでいます。しかし自転車の日常利用はそれほど多くありません。自転車の日常利用を促進する道を参加者と共に探ります。

ルーム6:地域の暮らしを支えるバス路線の存続について
コーディネーター:畑中 則宏さん(おおつ交通まちづくり推進会)
コメンテーター: 大久保 園明さん(京阪バス株式会社)
【概 要】
午後の報告リレー「湖南地域(大津・草津周辺)の交通事情」「自動運転バスと未来の都市システム」を踏まえ、LRT導入や幹線バスの充実、自動運転バスの可能性や電気バス導入など、望ましい湖南地域のモビリティについて語り合います。


ルーム7:ローカル鉄道の現状と存続について~近江鉄道を中心に~
コーディネーター:逄 軍さん(パン・ジュイン/びわこ学院大学 教育福祉学部 教授)
コメンテーター: 山田 和昭さん(近江鉄道株式会社 構造改革推進部部長)
【概 要】
ゆっくりガチャコン走り、乗ると心のホッとする。よそゆきでない生活・高校生の青春を乗せ、世代を通じ地域の想いが寄せられ地層のように積み重なるローカル電車。びわこ学院大学地域調査プロジェクトチームが近江鉄道沿線地域で写真展を開き、クラウドファンディングでED314電気機関車保存に走る。その熱意の源はどこに?そして生活の足を存続するはどうするか?

ルーム8:「私だけが知る滋賀の交通の魅力」~交通各社のPVから~
コーディネーター:築地 達郎さん(ジャーナリスト、龍谷大学 社会学部 准教授)

【概 要】
滋賀県の公共交通を担う交通各社は普段からさまざまなプロモーションビデオ(PV)を制作して、滋賀の交通の魅力を伝え続けています。当ルームでは各社のPVをみんなで楽しみながら、地域の魅力と交通の未来について語り合います。


市民フォーラム 第3部 〔記念講演会〕18:45 ~ 20:00
(共催:しがローカルSDGs研究会=略称:SL2)

藻谷 浩介さん (株式会社日本総合研究所 主席研究員)
「交通とまちづくりから持続可能な滋賀を考える」

【講演要旨】
昨年、肺炎による死者数は(新型コロナが重症化した方を含め)2万人も減り、交通事故の死者も600人減り、「老衰死」が1万人も増えました。用心して外出せず、心身の衰えた人が多かったのです。コロナ後を見据え目指すべきは、「死ぬまで安心して出歩ける滋賀」。カギは、車だけではなく公共交通「も」使えるまちづくりです。

コーディネーター:宇都宮 浄人さん(人と環境にやさしい交通をめざす協議会)
司会:池田 典子さん(しがローカルSDGs研究会)