血圧が下がり過ぎて起こるめまい
血圧が急に下がった時に「めまい」がよく起こります。血圧が下ると、そのせいで脳に必要な血液が届かなくなるからです。脳循環障害にもっとも鋭敏に反応するのが脳にある前庭器官であり、そのため血圧が下がりすぎると、めまいが起こるのです。
血圧の薬の効き過ぎで、血圧が下がってふらついていることもある
高血圧症で降圧薬(血圧の薬)を服用中の患者さんが「最近どうもフラフラする」、「めまい」がするといって来院された場合、血圧の下がりすぎが原因であることが少なくありません。血圧の薬が効きすぎて血圧が下がり過ぎた場合、脳循環障害を起こすことがあるからです。
血圧が高いのを心配しても、血圧の下がりすぎを心配する人は案外少ないようです。しかし、下がりすぎは上がりすぎと同じくらい怖いのです。たとえば血圧が200/100mmHgぐらいに上がって、それで2~3時間しても、普通の人はケロッとしていて痛くもかゆくもないはずです。
ところが血圧が下がり過ぎた場合には、フラフラして立っていられなくなる方もありますし、ひどい時には気を失って倒れる人もあります。普段より大幅に血圧が低下したとき、最初に出る症状はフラフラ感です。血圧が低くなりすぎると重要臓器に流れる血流量が減ってしまいます。脳には自動調節能と呼ばれる安全装置が備わっていて、少しぐらい血圧が下がっても脳へ流れる血流量が減らない仕組みになっています。しかし、それを越えて、血圧があまりにも低くなると、脳の血流量が減って血液不足となってしまいます。すると平衡中枢がうまく働かなくなって、フラフラ感が出現するわけです。
なお血圧が下がり過ぎた時に「立ちくらみ」もよく起こります。これは起立性低血圧などによって脳血流量が一時的に減るために起こる瞬間的な「めまい」なのです。
一般に血圧は寒い冬に高くなり、暑い夏には下がることが多いのです。同じ量のお薬を飲んでおられても、季節によっては、あるいは体の具合によっては、高くなったり、逆に低くなったりすることもあります。
そこで、高くなったら、血圧の薬を増やしたり、低くなったら減らす必要があることもあるのです。血圧の薬を飲んでいるから大丈夫だと、血圧のチエックを怠る方もありますが、知らないうちに上がっている場合も、逆に下がり過ぎていることもないとは言えません。時々、血圧を測って、丁度良いところにあるかどうかをチエックすることが大切です。
なにも血圧の薬が悪いという話を申し上げているわけではありません。高血圧を放置すると、脳や心臓、腎臓が障害され、いろいろな病気を引き起こすことが多く、健康で長生きするため、高い人では血圧の薬を飲んで下げる必要があります。要は、高すぎず、低すぎず ちょうど良いところにコントロールすることが大切です。
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