平成30年6月~9月 毎月1回(全4回)
① 6月8日(金)18:30~20:30 山形市総合福祉センター(山形市城西町2-2-22)
② 7月13日(金)18:45~20:45 山形市総合福祉センター
④ 8月 10日(金)18:45~20:45 山形市総合福祉センター
⑤9月 7日(金)18:45~20:45 山形市総合福祉センター
「実践するドラッカー〈行動編〉」〔上田 惇生(監修) 佐藤 等(編著)・ダイヤモンド社/1,620円(税込)〕
ドラッカー教授自身も行った「時間管理のコツ」のほか、意思決定・決断の要諦、目標管理の方法、計画と実践の秘訣など、成果をあげる人の行動習慣を具体的に紹介。ドラッカー教授の教えを毎日の仕事に活かす、プロフェッショナルのワークブック。
テーマ:実践するドラッカー行動編 第1章 時間が成果を決める
出席者:12名
内容:読書会の進め方などの説明の後、IさんとKさんからプレゼンしていただきました。
lさんは、会社の経営者として大変時間を大切にしておられ、知らぬ間に相手の時間を奪っていないかにも気をつけているというお話をされていました。
具体的には、定期的なミーティングによる会話は思いつきで話さない、朝1 0時までに作業指示をする、Gメールまたはラインの活用、をしているとのことでした。
また、「看護婦なのに書類管理に追われる」という悪い事例を参考にして、セールスの成果を上げるには、接客数をどう増やすかが必要であり、そのためには仕事を人に任せ、自分しかできない仕事に集中することが大切であることを再認識した、とおっしゃっていました。
kさんは、3人ずつ組みになって話し合うスタイルで進めていただきました。
「・時間泥棒の手から時間を奪還する自衛手段をとり、自由になる時間をとり戻すこと。(4~5頁)」「・時間の入りと出に無頓着でいられるのは、今日時間を浪費しようが、明日にはまた同じだけ、しかも懐を痛めることもなく手に入るから。しかし、人生の総時間を考えると、本当は、時間は無尽蔵ではありません。(10~11頁)」という文章を課題図書から引用した上で、自分にとって緊急ではないが重要であることを、どのような基準で決めているかについて、それぞれのグループで話し合いました。
テーマ:実践するドラッカー行動編 第2章 意思決定が未来をつくる
出席者:11名
内容:Y社の3名の方々とGさんからプレゼンしていただきました。
〇Y社では、大切にしている言葉がいくつかあり、その中で「決めるの私」という言葉があるとのこと。
Y社のKさんは、若い時は意思決定することを恐れていたが、失敗経験をした分、学ぶものも多いことを実感し、意思決定することを恐れなくなったとのこと。決める勇気が大切とのお話がありました。
Y社のHaさんは、走りながら解決策を考えることを心掛けているとのこと。
Y社のHiさんは、一人でできることには限界がある。団体としてまとまったほうが強いと最近実感しているとのこと。
また、PDCAサイクルをしっかり回すことも大切だと考えており、Y社では定期的にミーティングが開かれ、ベクトルを一つの方向に合わせるようにしているとのこと。
この発表のあと、参加者から、「責任を避ける人、責任を取らされたくないと思っている人は、周りにもいる。GTNS(ごまかす、とぼける、にげる、すり替える)と言っている。こういう人とは、腹を割って話し合うことが大切。」「自分も意思決定を怖がっていた時期がある。しかし、「師生同学」(先生も生徒も一緒に学んでいるということ)という言葉を教えてもらい、ともに学ぶという姿勢で意思決定ができるようになった。」「意思決定することを避けるのは、意思決定することで、痛い目にあった経験や周りの人で痛い目にあった人がいたという事情があるのではないか?意思決定することで、成果をあげ自己成長することができたという経験や周りの人でそういう人がいれば、積極的に意思決定するようになるのではないか。」「ドラッカーは、一人一人が考え、意思決定し、責任を持つ社会を作ることで、ヒットラーのような全体主義がもたらす悲劇が二度と起きない社会を作ろうとしてマネジメントなどを研究してきた」といった意見がありました。
〇Gさんは、〔行動の始まりには全て意思決定がある⇔ 行動の質は意思決定の質によって決まる〕というテーマで発表をしていただきました。
取るべき行動は「1 “理想の未来"を実際に描き、 “未来への架け橋"を明確にする、2まず一歩を踏み出す、3自らの行動を検証する」
明日のための意思決定「1「明日をつるために、今日、何をすべきか」を決める 2未来に向かう出発点は「いま、ここ」の一瞬しかない 3 “意思決定を明日に延ばす行為"は、 “明日の自分の死"を意味する 4意思決定を避けることが正しかつた試しはない」
正しい意思決定を行うための正しい手順「1共通の理解を得る、2対立する意見を誘い出す環境を作る、3競合する選択肢の中から1つを選択する」
【Gさんの意見交換テーマ(身近な具体例の紹介)】
1 仕事や地域活動などで、反対意見を取り入れて成功(または失敗)した例
Gさんは、いつも職場にいろいろと意見を言いに来る人がいて、あえてその人にある協議会の委員になってもらったら、協議会で議論を深めることができたという経験を紹介していただきました。
「反対意見があると、感情的になってしまうことがあったが、ドラッカーの「反対意見を誘い出す」必要性を学んでからは、反対意見を聞いてイライラすることがなくなり、前向きに聞くことができるようになった。」「反対する人は自分のためを思って反対してくれる。反対意見を拒否するのではなく、意見をよく聞き、反対する人が納得するように丁寧に説明することが必要」「トップが反対意見を受け入れてくれるかどうかで、そこで働く人の幸福度が変わってくると思う。」「以前、あるイベントの実行委員長を任されたことがあった。その時に尊敬する先輩から「お前の自由にやっていい。間違ったらその時に修正すればいい。」と言ってもらったおかげで、大変進めやすかった。」という意見、がありました。
2 社内ルールや個人の習慣として実施しているフィードバックの例
Y社では、毎日、本日いらっしゃるお客様を想定して、ロールプレイングを行い、お客様がお帰りになったあと、振り返りを行っているとのこと。これにより、事前に想定していたことと違っていたこと、想定通りだったことを確認することができ、知識として蓄積される仕組みになっているとのこと。
また、Y社では定期的に面談を行っており、個人と会社全体の計画の進捗などを確認し、一人一人の理解を深めるようにしているとのこと。
Y社は、フィードバックを組織として取り入れていることに賞賛の声が多かったが、Y社のI社長は、「自分の意見だけで会社を運営してきた時期があったが、だれもついてきて来なくなり、部下が考えるチャンスをつぶすことになるため、社員が自由に仕事ができるように方針転換した結果、業績が上がるようになった。しかし、最近、自由であることが、モラルの低下・ルールの不遵守という方向につながってきていると感じることがある。社員みんなの意見を聞くことはいいが、その場を取り繕う意思決定がなされ、目的から外れてしまうという課題がある。会社の目的に立ち返ることが大切。」とのお話がありました。
テーマ:実践するドラッカー行動編 第3章 目標が成長を促す 第4章計画が実現性を高める
出席者:11名
内容:TさんとNTさんからプレゼンしていただきました。
〇Tさんは今年からドラッカー学会に入会し、大変熱心にドラッカーのことを学ばれており、自分の所属する組織においてドラッカーの手法を実践しようと試行錯誤しながら取り組まれていらっしゃいます。現在では、フィードバック分析のために毎月1回振り返りを行っておられます(編集長の教訓)。
Tさんからは、「成長」って何だろう?という問いがあり、「できないことができるようになるだけでなく、判断ができるようになり、責任を取ることができるようになることだと思う。」「人間は年を取ればできることができなくなるので「成長」という言葉には限界がある。「成熟」という言葉に言い換えると年をとっても追求していくことができるのではないか」「「目標とビジョンを追求することは、老いることなく成熟するコツ」という言葉が参考になる」「導入、成長、成熟、衰退というプロダクトライフサイクルが参考になるのではないか」といった意見がありました。
〇NTさんは、今年初参加です。NTさんからは、参加者のみなさんはどのように目標や計画を立てているかという問いかけがあり、「短期、中期、長期の目標をそれぞれ掲げている」「行動計画を作る勉強会に参加したことがある。自分がワクワクできる目標にすることが大切ではないか」「目標、計画を作らなければという悲壮感をもって取り組むのではなく、小さなことでもいいので自分のいいところを生かすことを考えたほうがいいのではないか」「やるべきことを全部ピックアップすると、その中で優先順位や短期的課題か長期的課題かといったことが見えてくる。そこから目標が見えてくることもある。」「技術職は10年で一人前、30年で人に教えられるようになる。」「業務がタイトになればなるほど、業務の仕組みとして、チェックポイントを設ける、定期的ミーティングで情報共有するということを組み込むことが重要」といった意見がありました。
テーマ:実践するドラッカー行動編 第5章 生涯を通して学ぶ
出席者:11名
内容:今年の読書会の最終回。Kさん、Uさん、Tさんからプレゼンしていただきました。
〇Kさんは、公務員を定年退職後、民間の会社に勤務し、趣味も楽しまれ、パワフルな生活を送られている方です。人を通して学ぶ、本を通して学ぶという言葉について、まさにそのとおりだと感じたとのこと。人を通して学ぶためには、社会にかかわりを持つ、仕事を通して学ぶ、趣味を通じて学ぶというきっかけが大切だと考えているとのこと。また、本を通して学ぶという点については、毎年、芥川賞、直木賞、本屋大賞の本を読むようにしているとのこと。
Kさんは、「何をもって憶えられたいか」というドラッカーの問いかけに衝撃を受けたというお話があり、参加者の皆さんから、何をもって憶えられたいか発言してもらいました。
〇Uさんからは、行動編全体を通して、気になった個所を発表してもらいました。「未来の自分に投資する」では、人生90年時代の到来を見据えてライフデザインを見直す必要があるといったお話がありました。「非生産的な活動を排除する」では、時間管理、意思決定の5段階サイクル、優先劣後順位が大切だというお話がありました。「機会をつかむ準備をしておく」では、古いものを捨て新しいものを入れるスペースを空けておくこと、スキル・タイミング・モチベーションというなどが大切だと考えているとのおはなしがありました。「人は目標達成を好む」では、資源、ご縁、自分にしかできないことを考えることが必要だと考えているとのお話がありました。
〇Tさんは、不動産会社の代表取締役をされている方です。ドラッカーの言葉から感じたことを発表してくださいました。ご自身でも様々な言葉を創造されており、それを紹介していただきました。「想像から創造そしてRealに」、「小得大損」(目先の小さい得にとらわれると大損する)、「日々当たり前のことは何もない。この世に驚くべきことは何もない。」などなど。Tさんも「何をもって憶えられたいか」というドラッカーの問いかけに「この様な崇高、端的で、且つ直截な問いかけはなかなかない。身震いすらする問いかけではないか」という感想を述べられ、自分の答えを発表していただきました。
〇最後に読書会を通して、最も心に残った言葉を参加者の方から発表していただきました。ドラッカー教授の言葉と同じくらい、参加者の言葉が勉強になったという発言が多く、まさに読書会の醍醐味だと実感しました。