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岩下 靖孝 Yasutaka Iwashita 准教授 iwashita (あっと) cc.kyoto-su.ac.jp

2022年度

佐藤大華 B4 卒論題目:異方性自己駆動粒子の特異な運動

自ら運動する粒子(自己駆動粒子)からなる系はアクティブマターと呼ばれ、熱運動粒子からなる平衡系とは質的に異なる挙動を示す。我々は形状に大きな異方性を持つ自己駆動粒子を作成し、その挙動の形状依存性を調べた。小さな障害物と衝突した際の運動について、自己駆動力の起源となる溶液中の塩(イオン)濃度などの条件を変えて観察したところ、振動や回転といった様々な運動モードが現れることを発見した。また、幾つかの異なる形状の粒子について、形状に依存した特徴的な運動を観測できた。

2021年度

脇健斗 B4 卒論題目:流動場下の異方形状粒子

粒子形状が分散系の力学物性(粘弾性)に及ぼす影響の解明を目指した。まず、フォトリソグラフィで作成した任意形状粒子分散系の流動状態を3 次元的に観察するために、粒子への蛍光付与に取り組んだ。2 種類の蛍光色素を用いた適切な作成条件を見出し、十分な蛍光強度を持つ粒子の作成に成功した。次に作成した粒子を水系の溶媒に分散し、流動場下で高速度カメラによる高時間分解能での観察に成功した。そして試料セル底面に沈んだ様々な形状の粒子が、形状に依存した特有の流動状態を示すことを見出した。

小川純平 B4 卒論題目:両親媒性粉体の多量作成と評価

親水面と疎水面を併せ持つ両親媒性の粉体粒子の作成に取り組んだ。まず油滴表面を粉体粒子が密に被覆したエマルション液滴の作成において、昨年度の約5倍の粒子による、より均一な充填構造の実現に成功した。さらに両親媒性を強めるため、アルカリ処理によって親水化した粒子を用いたところ、エマルション状態が相反転する界面活性剤濃度が変化し、粒子表面の親水化が確認できた。最後に、両親媒性化に必須な粒子の部分的表面修飾に取り組んだ。昨年度は成功したが、今回はなぜか均一に修飾されてしまった。この原因は不明である。

2020年度

東野捺泉 B4 卒論題目:コロイダルガラス形成のための異方性相互作用の制御

モノマー粒子のガラス化後、粒子間に選択的に引力を誘起しダイマー化する事ができれば、一般的なものよりもはるかに高密度(安定)なコロイダルガラスを形成できると予想されている。本研究では、このアイデアを実現すべく、異方性相互作用を持つパッチ粒子を用い、粒子間引力による結合を制御できる実験系の確立を目的とした。疎水性または親水性パッチ粒子系で相分離誘起相互作用による結合制御の実験を行い、親水性パッチ粒子系においてパッチ間結合の制御に成功した。

田中康博 B4 卒論題目:両親媒性粉体粒子の大量作成-エマルション化の研究-

両親媒性を持つ砂(粉体)粒子は興味深い挙動を示すと予想されるが、研究例は殆どない。そこで本研究では制御された両親媒性を持つ粉体粒子を多量に作成することを目指した。粒子作成にはPickering emulsion(PE)という粒子で安定化された油滴が水に分散された系を用いるため、まず粉体粒子でPEを作成することに取り組んだ。様々な作成手法に取り組んだ結果、回転子と固定の撹拌翼を組み合わせて撹拌することにより、多量のPE液滴を形成することに成功した。

瀬戸さやか B4 卒論題目:両親媒性粉体粒子の大量作成-両親媒性化-

熱運動が無視できる大きさの粒子系を粉体と呼ぶ。粉体は液体をわずかに加えるだけで挙動が大きく変化するが、もし粉体粒子が両親媒性を持てば、両親媒性分子系のような多様な構造を示すなどさらなる変化が期待できる。しかしこのような実験例はほとんどない。そこでエマルションを利用した両親媒性粉体の多量作成を実現するため、特にガラス粒子の両親媒性化に取り組んだ。ガラス基板の表面処理の結果から、粒子表面も親水化・疎水化できたと推測される。また界面活性剤を用いて、粒子の親水-疎水面比を制御できることも確認した。

中西大智 B4 卒論題目:流動場下の異方形状粒子~粒子作成とレオ顕微鏡の構築~

高分子溶液は、高分子の複雑な絡み合いによって特徴的な粘弾性を示す。しかし、単純な形状を持つ固体粒子の絡み合い効果が粘弾性に与える影響は未解明である。そこで本研究では、フォトリソグラフィという手法を用いて、絡み合う形状の粒子の作成に取り組んだ。特にデザインした形状の粒子を正確に、多量に作成することを目的とした。実験の結果、フォトマスクと基板の密着度を上げる、露光エネルギーを調整する、遮光シートを用いることにより、ほぼすべての粒子をデザイン通りに作成することに成功した。