ペター・バヤーニッチをめぐって
概要
セルビアの哲学者ペター・バヤーニッチは、「勝利する精神(victorious mind)」という概念を、ヨーロッパ近代が生み出した本質的な産物として展開している。
バヤーニッチによれば、「勝利」は単なる主権や社会闘争の問題にとどまるものではなく、「メタ制度的プロトコル」として理解されるべきものである。制度以前の段階において、対立(antagonism)は主体と客体の関係を規定する超越論的原理として捉えられる。一方、制度的・メタ制度的段階においては、対立はあらゆる社会的アクター間の関係に内在するものとして特徴づけられる。
近代的な「社会」という理念そのものは、直接的な社会的・軍事的衝突に先行する、さまざまな対立構造に基づいて成立している。「勝利する精神」は、制度を変容させ、法を書き換え(主権の意味において)、〈勝者〉と〈敗者〉を峻別し、絶対的勝利のプロジェクトを統御する超制度的アクターとして位置づけられている。
バヤーニッチは、現在の制度的危機の状況において、破壊的かつ差別的なものとしての「勝利する精神」を乗り越える必要性を提起している。
プロフィール
ペター・バヤーニッチは、ミラディン・ジヴォティッチやジャック・デリダらの指導のもと、ベオグラードとパリで哲学を学び、2003年にパリ第10大学(ナンテール校)で博士号を取得。
2011年から2019年までベオグラード大学哲学・社会理論研究所の所長を務め、現在はリエカを拠点に民主的関与東南欧研究所、倫理・法・応用哲学センター、および東南欧高等研究センターを率いている。
これまで世界各国の主要大学で客員研究員・客員教授を歴任し、現在は早稲田大学高等研究所の客員研究員およびヨーロッパ大学院大学の哲学教授を務めている。
スケジュール
2026年6月12日
16:15 – 16:20 開会
16:20 – 16:50 長坂真澄
16:50 – 17:20 Abudjana H. E. Babiker
17:20 – 17:40 休憩
17:40 – 18:10 エヴゲーニィ・ブリノフ
18:10 – 18:40 ペター・バヤーニッチ
18:40 – 19:40 質疑応答
19:40 – 19:45 閉会
講師
ベオグラード大学教授
ディスカッサント
エヴゲーニィ・ブリノフ / Abudjana H. E. Babiker / 長坂真澄
日時
2026年6月12日(金)16:15~19:45
会場
早稲田大学 早稲田キャンパス 26号館 地下 多目的講義室
対象
入場無料・どなたでもご参加いただけます
言語
英語(通訳なし)
主催
早稲田大学高等研究所 (WIAS)
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