配属希望の方へ(学部・大学院)

基本理念:「For future generations」
当研究室は野生動物の生態に迫る研究を行っており、野生動物保全のための研究は行っていません。
しかし近年、野生動物と地球環境問題は切っても切れない関係となっており、野生動物の生態研究そのものが保全に寄与したり、保全の必要性を明らかにする事例も出てきました。美しくも逞しく生きる野生動物の姿は未来の子供たちにとっても宝であり、私たちの代で終わりにしてはなりません。
「For future generations」当研究室に所属する学生さんには、より良い社会のため、より良い地球のため、より良い未来のため、社会人になってからも『科学的知見を基に』野生動物保全や地球環境問題に粘り強く対峙し、社会を動かす人になってもらいたいと考えています。研究室は、科学的・論理的思考力の基礎を築く場だと考えています。

研究哲学:「100を知って1を語る」
当研究室では「渋く」「謙虚に」研究に邁進する学生を歓迎します。回収できない大風呂敷を広げるような研究や、アピールばかりで中身のない研究はなるべく避けるよう心がけています。「100を知って1を語る」「私は素人なのでわかりませんが…」と言いながら話してみるととても詳しい。そんなカッコイイ研究室を目指しています。

研究スタイル
自分自身で取得したデータを使った研究に取り組むことを推奨しています。既存データを用いたメタ解析やレビューよりも、自分の身体を動かしてデータを得る研究を好みます。未熟さゆえに不完全なデータになることもあるでしょう。それでも、自身で観察したり分析したりすることの楽しさ・苦労を知ってもらいたいと考えています。

野生動物が大好きな方・追いかけたい方、研究活動に没頭して自身を成長させたい方は、ぜひ一緒に研究を行いましょう。全力でサポートします。

教員について
研究内容については個人ページを参考にしてください。どのように研究を進めてきたかについては「はじめてのフィールドワーク ③日本の鳥類編」をご覧いただくと参考になると思います。
また、当研究室では学部生のゼミ配属・大学院進学共に積極的な勧誘は行わない方針で運営しています。自身の研究室をごり押しせず、希望の研究内容に応じて他の研究室を推薦できる教員が良い教員だと考えています。研究室配属はその後の人生をも左右する非常に大切な問題です。自分の行いたい研究を実現できる環境か・受けたい教育を受けられるかを吟味した上で当研究室で研究活動を行いたいと思った方の配属・進学は喜んでお受けいたします。
問い合わせを受けた際には学生さんの行いたい研究内容等を提示していただいたうえで当研究室のメリット・デメリットを提示します。

◆学部2年生へ

 当研究室の特徴は野生動物そのものを直接的に扱う研究を行うところにあります。観察や捕獲などを通してデータを収集・解析し、その生態に迫ります。野生動物が好きで、野生動物を扱った研究を行いたいという強い志のある方であれば誰でも歓迎します。卒業研究にあたっては長期間のフィールドワークやデータ解析作業が必要になります。3年生のうちにゼミ以外のすべての単位を取得し終えることが、研究生活を充実させるポイントになると思います。特に2年生までは「フル単」目指して頑張ってください。

 野生動物の調査はペットや家畜、実験動物を用いた研究とは異なります。野生下で暮らしている生き物を扱う特性上、高い動物倫理意識・専門知識が必要とされます。捕獲やサンプリングに必要な国や自治体の許可を得るには相応の知識・経験が必要です。自身の安全かつ野生動物に配慮した形で観察・捕獲や組織採取を行うために動物たちの季節性や生活リズムをよく理解し、それに合わせることが求められることもあります。人間本位の考えでは上手くいかないのが野生動物研究の大変さであり、こちらの予想を裏切るような生態を解明・発見できることが面白さでもあります。

 当研究室では、学生さん自身に研究対象種・内容を決めてもらうため、基本的には研究対象にできない動物種・内容はありません。ただし、大学から支給される教育・研究費には限りがあるため、好きな動物種を好きなだけ追いかけることは金銭的に叶わないことは十分にあり得ます。また、科学的意義の低い内容の研究計画には改善を求めます。「やりたいことを何でも自由にでき、更に研究にかかるお金も全て大学が出してくれる」ということは、(昨今どの研究室でも)ありませんのでご注意ください。研究費が不足する場合、学生さん自身で研究費を獲得してもらうことも可能です。とはいえ、現状では教員として学生さんがやりたい研究を思いっきり出来るように、教員が外部資金を獲得するなどして金銭的バックアップはしています。配属後、3年生の間に何度かアンケートをとり面談を行います。どのようなテーマで卒論に取り組むか、その際によく相談して決めましょう。

 人間の思い通りに動いてくれるわけではない野生動物に真正面から向き合い、教員・先輩・同期の学生たちと切磋琢磨する中で、論理的・科学的思考能力や情報収集・分析・発信力、行動力、野生動物に関する知識は自然と身に付きます。これらの能力や知識は社会に出てからも必ず役に立ちます。卒論を通して成長したい!という熱い気持ちをもった学生さんをお待ちしています!

ゼミ登録期間以外の時期であっても、研究室見学は可能です。興味のある方はいつでも教員までご連絡ください。

ページ下部にQ&Aを載せています。参考にしてください。

他大学から進学希望の方へ

 早稲田大学・野生動物生態学研究室では他大学からの進学者の受け入れを積極的に行っています。進学希望の方はお気軽にお問い合わせください。修士課程・博士課程ともに他大学からの進学の場合は大学院の一般入試を受けていただく必要があります(入試情報はこちら)。進学希望者は受入教員との事前面談が必須となっています。出願前に必ず教員に連絡を入れるようお願いします。社会人学生の受け入れも行っておりますので事前にご相談ください。

 当研究室において研究できる対象種は多岐に渡りますが、基本的には教員のプロジェクト研究の内容をそのまま学生さんに肩代わりさせることはありません。特に修士以上については、学生さん個人がやりたい研究をやってもらうことを最優先に考えています。資金的・教育的バックアップはかなり大きいです。テーマ的に支援が受けにくい内容の研究を行っている方や自身でやりたいテーマがある程度決まっている方も歓迎します。また、当研究室では科学と野生動物、地域社会に誠実な研究を目指しています。繁殖期のごく一部だけのデータで繁殖成績や食性を語る。準備・練習不足のままGPSを装着する。自身の研究に必要な期間のみ調査地に滞在し、繁殖開始時期等の確認を他人に任せる。などの行為は原則

 なお、大学院から当研究室に進学を希望する方については、進学前であっても当研究室の調査活動に参加していただくことや、ゼミ見学をしてしてもらうことが可能です。研究に(大学受験時の)偏差値は関係ありません。当研究室に興味のある方はいつでもご連絡ください。

 早稲田大学は各種奨学金制度も充実しています。金銭面で不安のある方は相談に乗ることも可能です。大学が制度として用意しているものについてはこちらをご覧いただくか、奨学課に直接電話でお尋ねください。

 尚、進学希望者多数の場合は受け入れを制限する場合がありますのでご了承ください。

受験生の方

 早稲田大学・野生動物生態学研究室に興味をもっていただき、ありがとうございます。当研究室に興味があるということは、少なからず野生動物に興味のある方であると思います。当研究室では、野生動物の生態に関する研究を行っています。「あの動物は何でこんな行動をするのだろう?」、「どうしたらあの動物を守ることができるのだろう?」といった疑問に対して、科学的アプローチをもって解明を目指しています。

 当研究室での研究活動を希望している方は、まずは早稲田大学・人間科学部への進学を目指してください。人間科学部は研究室配属に際し学科横断型の配属が可能となっているため、人間科学部のどの学科に入学しても当研究室へ配属希望を出すことができます(入試情報はこちら)。他大学を卒業後、人間科学学術院の一般試験を受けて当研究室で研究活動を行うことも可能です(大学院入試情報はこちら)。

※eスクールの場合は原則オンラインでの指導になるため、研究活動に制限が生じる場合があります。

ポスドク・学振PD等の受け入れ希望の方

2021年4月現在、公式にはポスドクの募集は行っていません。当研究室に興味のある方は個別にお問い合わせください。年度によっては助手や助教として雇用できる場合もあります。

自身でファンドを背負ってきてくれるポスドクの方(学振PDなど)は大歓迎です。

ボランティア・研究室に出入り希望の方へ

 当研究室では野生動物調査のボランティアを随時募集しています。
 カモメ類研究のピークである4月中旬~6月末までの間、長期でボランティアに参加できる方については旅費交通費はこちら負担で活動してもらうことも可能です。時期や予算状況によって募集状況は変わりますので、興味のある方はお気軽にお問合せください。学歴不問。学部生や専門学校生、留学生の方も歓迎しています。

 また、進学を悩んでいる方や研究に熱意のある方の研究室への出入りを歓迎します。必ず事前に教員に連絡の上、当研究室とどのような関わり方をしたいのか教えてください。

過去のボランティア派遣校・機関
 日本大学、バルセロナ大学、帯広畜産大学、東京コミュニケーションアート専門学校、北海道大学、ジェームズクック大学、よこはま動物園ズーラシア、

研究室配属に関するQ&A

Q. 野生動物の調査経験がないが、問題ないですか?
A. 問題ありません。現在在籍している学生さんも、配属前に野生動物の調査経験のある人はほとんどいません。

Q. 推奨科目の単位を落としてしまったが、配属希望出せますか?
A. 配属希望を出すことは可能です。

Q. 指導教員の担当科目を落としたが、配属希望を出せますか?
A. 配属希望を出すことは可能です。

Q. 配属の選考でGPA(Grade Point Average)は重視されますか?
A. ほとんど重視していません。GPAよりも取得済みの単位数を重視します(卒業研究でのフィールドワークに際し、4年次に講義が残っていないことが望ましいため)。配属希望者多数で取得済み単位数が同程度の場合に参考することはあります。

Q. 就活やサークル活動との両立は可能ですか?
A. 就活と研究の両立は可能です。これまでも就職希望の学生さんは複数在籍しています。両立には細かいスケジュール管理と適切な研究計画の設定が必要になりますが、計画的に就活スケジュールを立て、早めに教員と一緒に研究計画を立てましょう。ただし、就活に加えてサークル活動やアルバイト、ボランティア活動なども行っている場合、全てを3年生までと同じように行いながらさらに研究や就活を行うのは少し難しいかもしれません。

Q. 野外での活動が苦手でもできる研究はありますか?
A. あります。野外調査やそれに伴う集団生活が難しい方、ラボワーク(研究室内作業)の方が得意な方はそれぞれの状況に応じた研究テーマを教員と一緒に考えていきます。

Q. この研究室は理系ですか文系ですか?
A. 扱うテーマは理系です。しかし、文系出身の学生も多数在籍しており、文系出身であっても研究活動に支障は一切ありません。

Q. 先生の研究対象以外の生き物を研究することは可能ですか?
A. 可能です。ただし、教員の主たる研究対象種以外の動物を研究するには、強い志と行動力が求められます。「どうしてもこの生き物がやりたい!」という気持ちを持って自分から行動してくれる方は大歓迎です。

Q. 社会学的なテーマに取り組むことは可能ですか?
A. 当研究室は野生動物そのものを研究することをメインに据えています。野生動物研究の副産物として社会問題の解決につながる知見が得られることはありますが、はじめから社会問題の解決を目指す研究は行いません。社会学的なテーマを扱いたい方にはマッチしないかもしれません。

Q. どのような会社に就職できますか?
A. 野生動物に関する就職先は人気が高いため、学部卒の場合は研究内容に直接的な関連が低い会社に就職することが多いです。修士卒の場合は、環境やデータ解析に関するコンサルタントや野生動物の保全政策に関わる仕事に就く人もいます。2022年までの主な内定先は以下の通りです。
[環境関連]
農林水産省、神奈川県、千葉県、日本工営、国際航業
[その他]
横浜市、りそな銀行、三菱UFJ銀行、東京電力、ゴールドクレスト、日本消防検定協会、ニトリ、東芝デベロップメントエンジニアリング、ヤンマー、日本新聞協会

Q. 修士課程への進学率はどのくらいですか
A. 年によりますが、毎年おおよそ2-3割程度の学生さんが修士課程に進学します。

Q. フィールド調査に関して、学生個人はどのくらい金銭的負担がありますか?
A. 交通費・研究物品等の購入費に関しては、研究遂行上の妥当性がある場合・決められた期日までに申告があった場合に限り満額支給しています。ただし、食費などの生活費は私費負担となります。金銭面で不安のある方は早めにしっかり研究計画を立て、教員に相談・申告するようにしてください。

Q. 卒論は何文字求められますか?
A. 当研究室では論文作成に際して文字数の定めはありません。事実を積み上げ、その中から言えることのみを簡潔に述べる力を身につけることを目標にしています。文字数が少なくても、論理的で正しい解釈ができているのであれば問題ありません。

Q. パソコンがMacです。問題ないですか
A. 当研究室で使用している専門的な調査機器およびデータ解析ソフトの多くはWindows用のため、Macの場合は利用できないことがあります。研究室には共用のデスクトップやラップトップパソコンを複数台設置していますので、これらを使ってください。

Q. 運転免許は必要ですか
A. 必須ではありませんが、プライベートで車を使って野生動物を観察しに行く人は多くいます。野生動物の生息地は僻地が多く公共交通機関が整っていないことが多いため、車の運転ができると便利です。

Q. バイオロギングの研究は行っていますか
A. GPSロガー等のバイオロギングを用いた研究はかなり多く行っていますが、ロガー装着を目的とした研究は行っていません。バイオロギングは野生動物に一定の負担をかけます。当研究室ではバイオロギングの使用は代替手段がない場合に限って認めており、仮説検証型の研究以外での使用は認めませんのでご留意ください。