都市史学会ワーキング・グループ
「都市における文化=空間構造から捉える全体史」
(略称:文化=空間構造論WG)
文化=空間構造に着目して、都市史研究の第三フェーズを探る
文化=空間構造に関わる共同研究の萌芽を育てる
個別に行われていた都市史研究が学際的共同研究として開花した1990年代を第一フェーズとするならば(高橋康夫・吉田伸之編『日本都市史入門』全3巻、都市史研究会の発足ほか)、伝統都市論を軸としつつ、日本・西洋・東洋へと展開を見せた2000年代が都市史の第二フェーズ(吉田伸之・伊藤毅編『伝統都市』全4巻)とみることができる。この流れのなかで、都市史学会が2013年に創設された。本WGでは、第三のフェーズを探るべく、都市の文化=空間構造に着目する。ここでの「文化」とは、かつてF・ブローデルが『物質文明・経済・資本主義』の中でその構成を示しつつも、近代世界システム論やグローバル・ヒストリーの中では十分に論じ切られていない文化構造論が念頭にある。複雑系の制度と実態の下で、この構造化が長期持続の中で進行する主要な舞台が都市であるとの仮説に立って、以下の4つの論点から、具体的な次元での研究を蓄積していきたい。
① 文化史研究における空間の重要性
文化史≠「文化」史、文化から社会史へ:人類学的アプローチ(共同体・儀礼研究など)
→「空間」に関する分析要素を含ませられないか。(人文系史学と建築史学との協働)
あわせて、日本での伝統都市論および身分的周縁論における社会=文化構造論に学びつつ、本WGでは空間的観点を重視し、
ヨーロッパからの議論と接合を図る。
② 都市文化史の空間把握:領域(面)とモニュメント(点)とインフラストラクチャ(装置)
領域・・・都市テロワール論研究(テロワール科研からの発展)
モニュメント・・・都市建築史としての宗教モニュメント論(大聖堂などからの発展)
インフラストラクチャ・・・広義の都市インフラ論(都市文化の下部構造としての技術・集団・ストック・権利関係)
③ 価値・評判(評価)・信用・心性を都市社会史に組み入れて分析する枠組
④ グローバル(帝国・文明/様式)とローカル(個別性/歴史拘束性)との関係性への視座
定期的な研究会の開催
研究会での論点の抽出と研究人脈の拡張を通じて、外部資金獲得戦略を練る
都市テロワール研究会
宗教モニュメント研究会
リヴィエラ研究会
歓待インフラストラクチャ―研究会
若手研究セミナーの開催
研究手法の継承・発展
都市史研究に関する豊富な学識経験者と現役世代との対話の場を設ける
国際的学術交流の発展
フランス・イタリアを中心に欧米の研究機関との連携をはかり、比較史の国際化を加速する
研究成果の公表・出版
研究集会(ラウンドテーブル・シンポジウム)を実施、論文集などの出版を目指す
サポーター:岩本馨(京都大学)・上杉和央(京都府立大学)・大田省一(京都工芸繊維大学)・大貫俊夫(東京都立大学)・嵩井里恵子(京都府立大学)・片山伸也(日本女子大学)・勝田俊輔(東京大学)・加藤耕一(東京大学)・北河大次郎(文化庁)・黒木英充(東京外国語大学・北海道大学)・坂田奈々絵(清泉女子大学)・杉浦未樹(法政大学)・高嶋修一(青山学院大学)・高橋元貴(金沢工業大学)・中川理(神戸女子大学)・中島智章(工学院大学)・永山のどか(青山学院大学)・長谷川敬(慶応義塾大学)・長谷部史彦(慶応義塾大学)・藤崎衛(東京大学)・三枝暁子(東京大学)(敬称略、50音順)
運営事務局:(西日本)京都工芸繊維大学デザイン建築学系・赤松加寿江研究室、(東日本)上智大学文学部史学科・坂野正則研究室
日仏会館・日仏学術研究助成2022年度
「パリの歴史的建造物の建築再生ー日仏交流の視点からー」(研究代表者:中島智章)
日本カトリック大学・短期大学連盟カトリック学術奨励金「研究助成金」2022年度「「遺産」から読み解くカトリックの信仰と空間に関する学術研究プラットフォームの構築」(研究代表者:坂野正則)
上智大学 学術研究特別推進費 「自由課題研究」 2024~2026年度「歴史的ヨーロッパの宗教モニュメントに関するアーカイブズの構築 と世界遺産オーセンティシティの再考 」(研究代表者:坂野正則)
と連携