Mission:

Keywords:

認知運動制御,認知・運動学習,神経可塑性,ライフスパン,技能熟達,個体間協調,意思決定,時空間ダイナミクス,神経律動,ニューロインフォマティクス,脳イメージング,人工知能

研究テーマ

|認知運動制御|

認知運動を行う上で重要となる構成要素とこれを制御する脳情報動態を理解する研究を行っています。例えば,速さ-正確性トレードオフや知覚意思決定の特性をMRIや脳波で記録した神経活動を用いてモデル化し理解する,あるいは脳刺激(脳波-TMS同時計測等の統合的脳イメージング)を用いて,その因果性を検証します。


-Uehara et al. (2022) Modulation of cortical beta oscillations influences motor vigor: A rhythmic TMS-EEG study. Human Brain Mapping, 1-15

-Uehara et al. (2022) Precise motor rhythmicity relies on motor network responsivity. Cerebral Cortex. 1-16

|学習|

認知運動学習を支える脳神経基盤を理解する研究を進めています。特にライフスパンにおける学習と脳情報動態の関係性に興味があり,柔軟な脳ネットワークと学習初期に必要な探索的行動との関係について理解する研究を進めています。また,その背景に存在する脳神経系の興奮/促通バランス(E/Iバランス)を脳イメージングで推定し包括的に理解する研究に取り組んでいます。


|個体間協調|

私たちの日常生活において,人と人が協力・協調して目的を達成する場面は多くあります(大きなものを複数人で運ぶ,チームスポーツ,オーケストラ演奏等)。阿吽の呼吸という諺があるように人と人が共鳴し合う際に個体間を超えて人と人がどのような神経情報処理をおこなっているかを理解するために脳波ハイパースキャンニング脳機能計測を用いて理解する研究を行っています。

-研究費支援:2021〜2023年 科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業ACT-X AI活用で挑む学問の革新と創成研究領域「深層学習を用いたヒト間協調技能を支える脳情報特徴量抽出とその応用」(PI)

|技能熟達

トップアスリートや音楽演奏家等の技能熟達者はなぜ,我々を魅了する卓越した技能を生み出すことができるのかを心理物理計測,脳イメージング,神経生理学的アプローチを用いて紐解きます。また,技能熟達者特有にみられる技能喪失(例,ジストニア,イップス等)に関する研究にも取り組んでいます。※SONY CSL,生理研との共同研究


-Uehara et al. (2019) Distinct roles of brain activity and somatotopic representation in pathophysiology of focal dystonia. Human Brain Mapping 40, 1738-1749

-Furuya*, Uehara*  et al. (2018) Aberrant cortical excitability explains the loss of hand dexterity in musician’s dystonia. The Journal of Physiology, 596, 2397-2411 *共同第一著者

|神経生理学的研究|

非侵襲的脳刺激(経頭蓋磁気刺激,経頭蓋電気刺激),脊髄反射を用いて運動制御における大脳最終出力経路を担う皮質脊髄路,半球間抑制機構について研究をしています。ミリ秒単位で神経情報動態を定量化することが可能です。これらの研究で得られた知見は脳卒中等のリハビリテーションや身体教育手法の開発に利活用します。


-Uehara et al. (2015) Transcranial direct current stimulation improves ipsilateral selective muscle activation in a frequency dependent manner. PLOS ONE 10, e0122434

-Kubota, Uehara et al. (2014) Inter-individual variation in reciprocal Ia inhibition is dependent on the descending volleys delivered from corticospinal neurons to Ia interneurons. Journal of Electromyography and Kinesiology. 24, 46-51

-Uehara et al. (2014) Functional difference in short- and long-latency interhemispheric inhibitions from active to resting hemisphere during a unilateral muscle contraction. Journal of Neurophysiology 111, 17-25

|AI|

近年,ブラックボックスとされていたAIの判断根拠を可視化する技術が開発されています。私たちの研究室では,ヒト認知運動課題で得られる神経・筋生体情報を利活用することで,(1) AIが導き出した行動課題成績の予測や判別に寄与する判断根拠を神経活動操作や仮想的生体信号操作等のニューロインフォマティクスを駆使して因果に基づくExplainable AI(XAI)の信頼性を検証する研究に取り組んでいます。将来的に人間-AI協調が必須な医療におけるXAI技術実装の実現を視野に入れ,臨床データを用いて検証するシステムの開発に繋げます。


-研究費支援:2022〜2026年 科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業さきがけ 信頼されるAI基盤技術研究領域 「ニューロインフォマティクス活用で紐解く 信頼されるExplainable AI」(PI)

|DXを用いた身体教育技術の開発

私たちの研究室で得られた知見をもとにデジタル技術を用いた身体教育法の開発やリハビリテーション支援技術の開発に取り組みたいと思っています。過度な練習は身体や心の機能を低下させる恐れがあることは近年の研究成果で明らかになりつつあります。デジタル技術を用いて練習の「質」を支援し,効率的かつ効果的に練習を行える支援技術の開発に繋げます。基礎研究から開発までを循環し,一気通貫で行える体制を整えることで学際的で特色ある研究を目指します。具体的にはここ数年で脳活動データで駆動するニューロフィードバックシステムや学習を促進するユーザーインターフェイスの開発に取り組みたいと思っています。学生,共同研究者の方と開拓を進めていきたいと思っております。

開発研究に取り組んでいる研究者の方,これから取り組みたい学生さん,企業の方の参画を大歓迎いたします。