私ロクスケの指導理念は、特に重要な英語指導についての考え方で表すと、
「受験と関係ない英語力をつけさせること」
つまり、入試以外の場面で役に立たない「受験英語」ではなく、後々まで使える「本物の英語力」を身につけさせることを目標としています。
このように言うと、「受験というシビアな現実を無視した悠長な理想主義」に見えるかもしれません(実はわざとそう見える言い方をしました)。ですが、決してそうではありません。むしろ受験に真正面から向き合ってきたからこその結論です。なぜそう言えるかというと、
現在の入試英語は以前より実用的になっている
からです。
「入試の現状/親世代との違い」の章でもお話ししますが、まず共通テストではリスニングが配点の半分を占めるという大きな変化があり、またリーディングでも以前は40点を占めていた穴埋めや並べ替えなどのパズル的「文法問題」がなくなって全てが文章読解問題に変わっています。また私大入試でも文法問題が減り読解問題が増えている傾向があり、その逆の変化をした大学はほとんどありません。
その読解問題でも、多くの大学ではニュース雑誌や学術論文からの引用など、ネイティブ英語話者がネイティブ話者に向けて書いた文章が使われており、非ネイティブの英語学習者向けに書かれたいわゆる「教科書英語」のようなものは減っています(実際にはその「教科書英語」自体も昔より実用的になっています)。
そして、特に上位大では単純な英語力そのものだけでなく、文章に書かれた内容についてある程度の基礎知識を持っているかどうかでも差がつくことがあり、単なる単語と構文の丸暗記の英語では通用しなくなってきています。また国公立大や最上位私大ではテーマ英作文が課されることがあり、正確な文法理解、語彙力、そして幅広い基礎知識や社会常識が必要になるため、これも単なるパズル的な学習では太刀打ちできません。
さらに、最近では英検の級や得点で優遇が得られる入試が増えており、4技能(読む・聞く・書く・話す)が重視されています(英検も必ずしも実用的でないという批判はありますが)し、また準1級以上では一般の高校生にはなじみのない政治や経済に関して一般論を超えた現実社会の知識が問われます。
このように、現在の入試英語は(読み書きに偏っているものの)実用英語との差が小さくなっています。つまり、「実用性のない受験英語」という言説がもはや過去の話になりつつあるのです。そしてそこから
「受験のためだけの対策では受験に勝てない」
という逆説が生まれます。この「受験のためだけの対策」というのは、たいてい古い受験の古い成功体験に基づいて古い教材を使い続ける古い指導によるものですが、それで身につく英語力は、現在の入試で求められる力よりも「内輪」に収まったものになりがちです。しかし、変化し続ける入試の現実に即した指導をしようとすると、(少なくとも現在は)実用に耐える英語を教えなければならないということになるのです。
このように、私は過去の体験や古い情報に甘えることなく、現在の入試の現実や受験校の実際の出題に即した能力の養成を目指して指導を行っています。英語以外の教科では「実用性」という観点ではそれぞれ違いがありますが、常に最新の情報をチェックするとともに、生徒さんの志望校に合致した指導を行っております。
私ロクスケの指導方針は
「基礎の重視・徹底」です。
入試では「積み重ね」の成果が問われます。ですからそのための入試対策とは「積み重ねるもの」でなくてはなりません。しかしそれができている生徒さんは多くはありません。特に苦手科目では「積んでは崩す」学習になりがちです。
学校の定期テストでは点が取れるのに模試では振るわないという生徒さんがまさにそのタイプです。なぜそうなってしまうかというと、「定期テストは丸暗記でも乗り切れることがあるが、模試は丸暗記が通じない」からです。
なぜ定期テストでは丸暗記が通用するのかというと、定期テストでは前回のテスト後からそこまでの授業で扱った内容・範囲が出題され、それについて授業で聞いた解説が正解となる問題が出るからです(実際にはそこにプラスアルファがあることもありますが)。ですから、試験をそのようなものだと思っている生徒さんは、出題範囲のその説明を丸暗記して覚えた分だけ点を取り、そして試験が終わるとその内容を忘れます――その内容はその試験だけで通用するもので、次の試験とは直接関係がない(と思う)からです。それが「積んでは崩す」学習で、そこに「積み重ね」はありません。
学校の定期テストも本来は「積み重ね」になることを目指して作っているはずですが、そうはいってもカリキュラムの都合上、特に文系科目ではどうしても「土台からの着実な積み重ね」よりも「細く高く積み上げてあとは崩れるに任せる」ような学習の仕方のほうが目の前の定期テストでは点を取りやすい傾向があるので、中学時代にそうやって定期テストを乗り切ってきた生徒さんはその方法に頼ってしまうのです。
その結果、「定期テストでは点が取れて評定も高いが模試の判定が低い“優等生”」が指定校推薦の枠を争うということになり、一部の学校では「積んでは崩す」型の生徒さんに指定校推薦を譲るために、きちんと学力を積み重ねてきた生徒さんが諦めさせられる、ということも起こっているようです。実際の入試に向けて参考になるのは定期テストの得点や学校の評定よりも模試の得点・判定だということは、結局誰もわかっているのです。
中学でも、2年までの「定期テスト」では点を取れていた生徒さんが、3年になって「実力テスト」になると取れなくなってしまうことがあるのも同じ理由です。範囲が限定されず、初見の文章・問題に取り組まなければならない「実力テスト」は、高校入試に向けた模試の役割を持っていたわけです。
そのような模試で、そして入試で点を取るためには、「崩さず積み上げ続ける」学習が必要です。模試では授業で直前に扱った内容が出るとは限らず、それについての解説も事前にはありません。英語や国語ではそれまで読んだことのない文章を読まされ、説明されたことのないことが問われます。そこで得点を取れるのは、英語や国語の全ての文や文章に共通する単語や文法などの知識をそれまでに積み重ねておき、その知識の蓄積を使って自力で目の前の初見の文や文章を読む力でつけてきた生徒さんです。
また、「指導理念」の段でもお話ししたとおり、特に現在の大学入試は上位を目指すほど単なる丸暗記では通用しないものになっているため、英語では基礎の理解とその応用、また一般常識や世界/社会に対する幅広い知識が必要になります。そしてその傾向は一層進むことはあっても逆戻りする可能性は低いと考えられます。
そのため、私ロクスケは「基礎の重視・徹底」を指導方針としています。
そして私のもう一つの方針が
「独学できる力の養成」です。
家庭教師の指導を受けられるのはたいてい週に1回か2回、各2時間程度です。それ以外の時間は(学校を別にすれば)自習しなければなりません。ですから、単に解き方や答えを教わるだけの学習では、それ以外の自習の時間が「問題を解いて解説を待つ時間」になるため効率が悪く、学習の能率が上がりません。
自分で効率よく学習を進めるためには、問題を解いて答え合わせをした後、参考書や問題集の解説で理解が足りなかった部分を理解する必要がありますが、そのためには解説で使われる用語を十分理解している必要があります。その用語は英語でも国語でも基礎段階で学ぶものですが、それが身についている生徒さんはかなり少ないのが実情です。
私が指導方針の第一に挙げた「基礎の重視・徹底」もそのためです。基礎が重要なのは、応用が基礎の組み合わせだからであるのと同時に、「基礎用語の意味がわからないとその後の解説が理解できないから」です。一般の教科書や参考書ではそのような基礎は早い単元に置かれ説明されますが、一度説明されたらその後はもう完全に理解できたものとして、その後の説明の根拠として使われます。問題集の解説でもその基礎事項自体の説明はないまま解説の根拠とされます。そして不十分な基礎を学び直さないままで順を追って一方向に学習を進めようとすると、いずれ理解が追いつかなくなり、さしあたって目の前のテストのために仕方なく「積んでは崩す」型の対策をするしかなくなっていくのです。
ですから、これから本格的な受験勉強を始めようとしている生徒さん、またある程度受験対策を進めている方にも、一旦立ち止まって基礎を固め直してほしいと思いますし、自力では難しい生徒さんには「学び直し」のお手伝いをします。そうして「基礎を身につけ」「自ら積み重ねの学習を進める」ことができるようになれば、入試で発揮できる本物の学力が伸びてゆきます。そしてひいては大学での学びや研究、さらには生涯の学習に必要な「学ぶ姿勢」の下地ができあがるのです。