前のページでは大学入試の現状についてお話しましたが、そのような大学入試で必要なものをまとめると、
・情報収集
・計画性
・主体性
――の3つです。
全国に約800校もの大学がある中で、それぞれの特色やカリキュラムから生徒さんの夢や目標にあった大学を選び、入試の制度や科目や出題傾向に合わせて準備をするためには情報収集が欠かせません。
そのような入試を突破するには、やみくもに量だけを重視した勉強ではなく、収集した情報からやるべきことの取捨選択をし、自分の学力の現状を把握し、各教科・科目の学習を計画的に行う必要があります。
そして高校入試と違って大学入試は受験生それぞれでスタイルが大きく異なり、最終的には個々の「志望校対策」が必要になるため、自分の入試のための計画は人任せにせず自分が中心になって立てなければなりません。
ただ、「主体的」というのは「自分が中心になる」ことであって「自分だけでやる」ことではありません。ご家庭のサポートはやはり重要ですし、専門家のアドバイスも必要です。そこでは受験生が「選手兼監督」のようなものになり、家庭はマネージャー、教師がコーチです。監督だからといって全てに通じている必要はありません。スポーツでも個別の分野では監督より詳しく有能なコーチはいるものです。そこでは監督はマネージャーやコーチの助言を聞いて最終判断を行い、それを選手が実行します。ですから、有能な選手兼監督すなわち優秀な受験生とは、マネージャーやコーチの助言をもとに判断しその判断を実行できる受験生のことです。
そのようなチームが機能することによって、シーズンの最後に勝利が見えてくるでしょう。
大学入試には計画性が必要です。そこで私の指導経験から、
「中~上位の高校(偏差値55~)に通う、学校のテスト対策以外に受験勉強をしたことがない生徒」
を想定して、受験レベルに達するのに必要な期間の大まかな目安をお話しします。もちろんスタート時のレベルによって変わりますが、参考にはなると思います。
期間の長さについては、最小値は部活動を何もやっていない場合、最大値は部活動と並行して受験勉強を進める場合を想定しています。
塾や家庭教師を利用して本格的に受験勉強を始めるタイミングとして、実際に多いのは「3年の春」と「夏休み(部活引退後)」ですが、そのタイミングでは第一志望校に合格するのは困難です。私大の3教科型入試の場合、春からであれば間に合うこともありますが、夏休みからではものすごく頑張った生徒さんでも届くのは第二志望までということが多いです。まして、共通テストで6教科が必要となる国立大では、得意科目を持つことに加えて苦手科目を作らないことが重要になるため、どちらにしても各教科の学習量をどれだけ確保できるかが課題になります。
文系教科では、上の[スケジュール]表に示したように、特に「英語」と「古文」が形になるまでに時間がかかります。というのは、この2つの教科は学習量と得点が単純には比例せず、ある一定のレベルに達してから初めて得点が取れるようになるためです。そのため「得意」と「苦手」に明確に分かれやすく、特に苦手意識の強い生徒さんは苦手な教科に手をつけること自体に二の足を踏んでしまうことがよくあります。
ですから、英語が苦手なら2年の秋から、古文が苦手なら2年の春休みから基礎力養成を始めましょう。特に最初のうちは模試などの得点に一喜一憂しないことが重要です。勉強しても点が取れないうちは心理的にも苦しくなりますから、不安を取り除きモチベーションを維持するためにもプロのサポートを受けることをおすすめします。また、これらの科目が得意な生徒さんも、確実に得点源にできるよう遅くとも3年の夏休み前から本格化させるのが上策です。
そして、これらのタイミングに限らず、早ければ早いほど良いのは言うまでもありません。高校入試で利用した塾や家庭教師をそのまま入学後も続けるというご家庭・生徒さんは高校の授業で遅れることが少ないですし、目の前の定期テストだけでなく大学入試を見据えて計画的に取り組めるため、志望校を高く設定することができ、そのうえで余裕を持って受験勉強を進めることができます。
もちろん、そのような余裕がないご家庭・生徒さんでも夢や目標を精一杯追うことの大切さは変わりません。ですからどんな時期にご依頼があっても、私が時間の許す限り精一杯の指導を行い、持てる限りのノウハウを伝授します。ただ最後に後悔することのないように、目標や夢がぼんやりとでも見えてきたら、ためらうことなく走り始めましょう。