病院総合内科では、個々の希望やキャリア志向に応じた柔軟なカリキュラムを提供しています。原則として3年間のプログラムで、うち最低1年間は外部医療機関での研修が必要となりますが、厳格な医局制度に基づく異動は行っておらず、研修先の選定も相談しながら決定していきます(外部研修の決定時期は、研修希望の前年夏までが目安です)。
たとえば以下のようなカリキュラムが可能です:
病院総合内科2年間 + 外部病院1年間の、異動の少ない設計
サブスペシャリティ志向を反映したカリキュラム(例:循環器・感染症などを強化)
育児・研究・復職に配慮した段階的なキャリア形成
過去にもさまざまな研修スタイルが実践されており、前例にとらわれず、その人らしいキャリアの実現を支援します。
臨床上の基本的な問題に確実に対応できる力をつけたい
内科専門研修中は、内科全般を体系的に学びたい
内科疾患を救急外来から退院支援まで一貫して診られるようになりたい
キャリアの選択肢を広げたい
サブスペシャリティはまだ決まっていないが、基本を固めながら将来を考えたい
サブスペシャリティは決まっているが、その前に急性期医療をしっかり学びたい
キャリアに戻りたい/やり直したい
研究や育児などで一度中断したが、内科医として徐々に復帰したい
一度は諦めた内科キャリアに、今度こそチャレンジしたい
以下に、これまでの専攻医による代表的な研修パターンをご紹介します。ライフステージやキャリアの方向性に応じて、柔軟に設計可能です。
構成例:病院総合内科 2年間 + 外部病院 1年間
特徴:
ローテートを最小限に抑えられ、育児・研究との両立や、負担を軽減した働き方を希望する方向き
時間外勤務は救急・集中治療科と連携しており、オンコールの負担を最小化できます
注意点:
白血病、脳腫瘍、SLEなど頻度が低い疾患については、計画的な症例収集が必要です
J-OSLER修了に向けた症例バランスの確認と早期からの対策が重要です
構成例:病院総合内科 1年間 + サブスペシャリティ 1年間 + 外部病院 1年間
特徴:
内科専門医取得後、サブスペシャリティ資格の取得にスムーズに移行しやすい設計
専門性を早期に深めたい方や、将来の進路がある程度明確な方に適しています
注意点:
一部のサブスペシャリティでは、J-OSLERの必須疾患を満たしにくい可能性があります
研修内容に応じた事前の計画立てと症例確保が必要です
構成例:病院総合内科在籍 + 他内科系診療科を複数ローテート(外部病院含む)
特徴:
各診療科をローテートすることで、J-OSLERの疾患群に幅広く対応できます
スペシャリストの視点にも触れながら、視野の広いジェネラリスト像を形成できます
注意点:
ローテートにより環境変化が頻繁に生じるため、一定の柔軟性と順応力が求められます
病院総合内科での一貫性ある育成とのバランスを意識することが大切です
ここまで紹介したのはあくまで一例であり、実際にはさらに多様な研修パターンが考えられます。病院総合内科では、専攻医一人ひとりのライフイベントや志向に応じて、柔軟にカリキュラムを設計しています。
幸いにも、当科は外部病院の選択に関して比較的自由度の高い立場にあり、これを活かして個々の希望に沿った研修を実現しています。例えば、
地域枠や僻地医療への対応が必要なケース
基礎研究や海外留学との両立
産休/育休復帰や再チャレンジ型のキャリア形成
といった、通常では調整が難しい事例にも数多く対応してきた実績があります。
私たちは、小規模でエッセンシャルな業務に特化した診療科だからこそ、意外と "できること" が多いと考えています。形式や前例にとらわれず、本音ベースの相談を歓迎します。どうぞ遠慮なくご相談ください。
あなたのキャリアパスを、私たちは全力で応援します。
病院総合内科で内科専門医を取得した後の進路は、多様かつ自由度の高い選択肢が広がっています。
臨床を続ける場合
ホスピタリストや家庭医など、ジェネラリストとして継続
サブスペシャリティ研修に接続し、スペシャリストとして専門性を深化
一度サブスペシャリティへ進み、その後ジェネラルに再シフト
アカデミアや教育の道へ進む場合
大学ポストで内科医としての研鑽を続ける、臨床/研究/教育のバランス型キャリア
疫学研究や研修センターなどで、教育や制度設計に貢献
医療界の外へ広がる選択肢
医師の経験を活かし、製薬企業や出版社など他業種への転身
ジェネラリストとしてのスキルを深めたい場合は、総合内科専門医(日本内科学会)に加え、救急医学会、老年医学会、病院総合診療医学会などの専門医や指導医の取得を目指すこともできます。超高齢社会においては極めて現実的な進路です。一方で、2040年以降の医師過剰や人口減少を見据えると、サブスペシャリティの資格取得による差別化も一つの戦略となるでしょう。また、将来的に臨床比重を減らし、研究や教育に重きを置く場合も、 "現場経験を伴った視点" は思考の深みをもたらす資産となります。ジェネラリストは、多面的な経験を活かして、新たな分野と柔軟に接続できるポジションにあるのです。