ポンカンとは

 ポンカンは椪柑とも表記され、柑橘の分類学的研究で知られる田中長三郎博士の分類では、後生柑橘亜属ミカン区コミカン亜区・柑香類・大果亜類に属しています。
 英名はPonkan mandarin、学名は
Citrus reticulata Blanco。

 生育に理想的な年平均気温は20℃程度の無霜地帯といわれ、国内では高知をはじめ鹿児島県、宮崎県、愛媛県、和歌山県、静岡県などで栽培されています。高知県果樹振興計画では年平均気温16℃以上、最低気温−5℃以上、年間降水量1,500〜2,500mmが栽培に適する条件として示されています。
 品種や系統については不明な点が多く、葉の大きさで大葉種、小葉種、細長葉種に、果実の形で高檣(しょう)系、低檣(しょう)系に分類されています。高檣系は腰高の果実で果形指数(果実横径÷果実縦径×100)が120未満の品種・系統を、低檣系は果実が扁平で果形指数が120以上の品種・系統を指します。品種や系統の多くは生産者の姓であったり、選抜された地名を付けて呼ばれています。

 原産地はインド中西部のマハーラーシュトラ州ナーグプルと言われ、現在でも高品質なカンキツの名産地として知られているようです。ポンカンの名称は、同じくマハーラーシュトラ州のプネー(植民地時代の英名「Poona(プーナ)」)に由来していると言われています。日本へは明治29年に鹿児島県へ導入され、その後明治40年頃に高知県に導入されます。ただ、その頃は小果で園地というほどの生産ではなかったとのこと。昭和4〜5年頃、土佐市高岡の井上氏が台湾より、昭和5年頃安田町唐浜の西岡氏が台湾より苗木を移入し、それらが共に大果系で、品質がよかったことから注目され、園地としての栽培が広まったと考えられています。それらは井上系・西岡系と呼ばれ、昭和33年〜34年には高知県奨励系統となっています。
 一方、東洋町甲浦の徳村氏が大葉高檣系から選抜し、昭和11年頃から栽培していた優良系統がのちに徳村系と呼ばれるようになりました。

 県内では須崎市立目で発見された低檣系の森田ポンカンもありますが、多くは高檣系ポンカンが栽培されています。

 東洋町のポンカンは大半がユズ台ですが、徳村系はタターリーフウイルスを保毒してないことでカラタチ台との接ぎ木不親和がみられなかったことから、一部園地ではユズ台からカラタチ台へ更新されています。

 ※ カラタチ台(キコク台):矮性台木でユズ台に比べ樹はコンパクトで、着色が早い特徴があります