課題研究
令和6年9月8日(土)13:00~15:30 (対面のみ)
令和6年9月8日(土)13:00~15:30 (対面のみ)
【課題研究】第1分科会 2A304教室
テーマ:「伝統の継承と文化の創造」の場としての特別活動
グローバル化が進む現代、世界共通価値の創出や地球規模課題に取り組むための
教育機会の充実が求められている。また、共通言語として英語力の向上も期待され
ている。一方で、世界の文化的多様性を考えるとき、日本の伝統文化もその一翼を
担っている。日本の伝統文化は世界の文化的な豊かさや多様性を支え、同時に日本
の独自性を守っていく重要な要素であると言えよう。しかし、日本語や日本の伝統
文化は意識的に守らなければ今日、存続が難しい状況にある。
ともすると、伝統文化、古典などは子どもたちには難解で遠い世界のように思わ
れがちであるが、上記のような状況のなかで、学校教育現場でも少しずつ「伝統の
継承と文化の創造」を念頭においた教育実践が試みられるようになってきている。
そこで、本分科会では、日本の伝統文化のなかでも世界的に評価が高く、ユネス
コの無形文化財としても登録されている、「世界最古の舞台芸術」とも評される「能
楽(狂言)」の事例を通して、「子どもたちの世界」からみたとき、子どもたちがそ
のような活動をどのように受け止めているか、それは子どもたちの成長や学びにど
のように寄与し得ると考えられるか。「能楽(狂言)」を手掛かりに、「子どもたち
の世界」を念頭におきながら、「伝統の継承、文化の創造の場」としての特別活動
の在り方について考えてみたい。
コーディネーター:田中マリア(筑波大学) 柴崎直人(岐阜大学)
「報告1」
学校教育活動の継承と創造の実践史
―奈良女子高等師範学校附属小学校を事例として―
板橋雅則(明治学院大学)
「報告2」
伝統文化に触れる子どもの視点からの喜び・楽しみ
―小学校における取り組みの対比と実際―
齋藤眞弓(つくば国際大学東風小学校)
「報告3」
能楽師狂言方からみた子どもたちの学び
―学校狂言やワークショップでの実践を通して―
大藏教義(能楽師狂言方大藏流)
【課題研究】第2 分科会 2A309教室
テーマ:シティズンシップ教育としての特別活動
シティズンシップ教育とは、市民として社会に参加し、他者と協働しながら課題
解決を図って、望ましい社会を創造するのに必要な能力の育成を目指した教育のこ
とである。シティズンシップ教育では、市民自らが社会の課題を見つけ、それを解
決するために主体的に社会と関わることを重視するが、この考え方は、学校教育の
使命とされる「持続可能な社会の創り手の育成」にも通ずるものである。
本課題研究では、このような性格を有するシティズンシップ教育が、特別活動の
理念なり方法なりを、どのように変革しうるのかを、具体的な取り組みを参照しな
がら、検討することに主眼を置く。特別活動をシティズンシップ教育の観点から捉
え直せば、その目的を社会の形成に主体的に参加する市民の育成と考えることも十
分に可能である。シティズンシップ教育としての特別活動の特徴は何か。どのよう
な実践が期待されるのか。シティズンシップ教育は、特別活動にどのような変革を
迫るのか。望ましい特別活動の在り方は何か。参会者とともに考えてみたい。
コーディネーター:唐木清志(筑波大学) 小原淳一(大阪公立大学)
「報告1」
みんなでつくるメールメイキング
-ルールメイキングプロジェクトの取り組みを中心に-
河内勇貴(つくば市立竹園東小学校)
「報告2」
主権者意識の醸成を目指した学校教育活動
-「放課後ホットタイム」の構想-
長瀬基延(愛知県江南市立布袋中学校)
「報告3」
卒業生の語りから探るシティズンシップ教育としての特別活動の可能性
-県立高校における校則見直しと空き家問題の取り組みの事例分析を通じて-
山村向志(千葉県立東金高等学校定時制)
【課題研究】第3分科会 2A409教室
テーマ:特別活動を通した児童生徒のキャリア発達
「キャリア教育」は、一人一人の社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる
資質・能力を育み、キャリア発達を促す教育であり、その担い手は教師を中心とす
る大人である。一方で「キャリア発達」は、社会の中で自分の役割を果たしながら、
自分らしい生き方を実現していく過程を意味し、その担い手は子どもである。した
がって、大人による子どもの人生への介入であるキャリア教育と、子どもの主体的
な役割の選択・遂行であるキャリア発達には相反する面もある。
教師の支援を前提としつつも、子どもの自主性・実践的な活動を重視する特別活
動には、この矛盾を乗り越える機能があるのではないだろうか。例えば、2020 年
に導入された「キャリア・パスポート」は、子どもの自身の手によってキャリア発
達を可視化し、教師と共有することでキャリア教育の充実につなげることが期待さ
れている。しかし現実には、記入に終始しており記録に基づく対話が不足するなど、
特別活動の特質が活かされていない実態も散見される。さらに、キャリア教育の要
としての特別活動は「キャリア・パスポート」に限定されるものではなく、自治的
活動である生徒会活動・学級活動や、子どもが集団の中で役割を果たす学校行事も
射程に入れる必要がある。これらの活動は、多様な社会的背景や個性をもつ子ども
の人生において、いかなる意味をもっているのだろうか。
本分科会では、「子どもの世界」を意識するために、あえてキャリア教育ではな
くキャリア発達という視点から、特別活動のもつ可能性とそれを引き出す実践方策
について、校種を越えた連続性をふまえつつ検討してみたい。
コーディネーター:清水克博(名古屋学芸大学) 村瀬 悟(みよし市立三好中学校)
「報告1」
特別活動における「キャリア・パスポート」の活用とキャリア発達
藤田晃之(筑波大学)
「報告2」
神栖市における小・中・高をつなげるキャリア教育~NEXT10 の取り組み~
野口真隆(神栖市立神栖第四中学校)
「報告3」
高等学校の学校行事を通した生徒のキャリア発達
林 幸克(明治大学)
【課題研究】第4分科会 2A410教室
テーマ:エジプトの子どもからみた日本型教育Tokkatsu
本分科会では、日本特別活動学会重点課題研究の2 つのプロジェクト「エジプト
国における特別活動等のデイプロマの研究」「グローバル・スタンダードとしての
日本型教育モデルの開発」の1 年目の成果を報告する。
両プロジェクトのメンバーは、令和5年度文部科学省「日本型教育の海外展開
(EDU-Port ニッポン)」調査研究の助成を得て、「非認知能力の育成に向けた特別
活動の国際化と質保証に関する研究~日本型教育先進地エジプトにおける
Tokkatsu の効果検証~」(研究代表・京免徹雄)を実施している。昨年の12 月末
には現地に渡航し、エジプト日本学校(EJS)における学級会の参与観察、Tokkatsu
の影響に関する参加型評価、児童・教師・指導主事に対するインタビューなどを行
った。その結果をふまえながら、①Tokkatsu の海外展開を推進してきたキーパー
ソン、②特別活動の実践者、③特別活動の研究者、という異なる視点から、エジプ
トの子どもと教育からみたTokkatsu について、描き出してみたい。
Tokkatsu という「異物」に対してエジプトの子どもはどのように向き合い、い
かなる思いで活動に参加しているのか。また、教師をはじめとする大人の支援は「子
どもの世界」にどう作用しているのだろうか。そこから、日本は何を学べるだろう
か。エジプトの現実に触れながら、日本の子どもにとっての特別活動の意味につい
て、国際的な視野で議論する。
コーディネーター:田中光晴(文部科学省) 平田幸男(至学館大学)
「報告1」
エジプトに導入された日本型教育とTokkatsu
杉田 洋(國學院大學)
「報告2」
エジプトの子どもからみたTokkatsu-日本での実践と比較しながら―
平野 修(尚絅大学) 小泉琢磨(深谷市立藤沢小学校)
土屋 愛(熊谷市立久下小学校)
「論点の提案」
エジプトのTokkatsu 実践からみえた日本の特別活動への示唆
相庭貴行(筑波大学大学院生)添田晴雄(大阪公立大学)
林 尚示(東京学芸大学) 山田真紀(椙山女学園大学)