住まいと環境 東北フォーラムがめざすもの
Update 2025.11.14
住まいと環境 東北フォーラムがめざすもの
理事長 吉野 博
1992年 東北大学工学部・建築学科教授に昇任後、1997~2012年3月まで年東北大学大学院工学研究科 都市・建築学専攻教授。2012年4月より東北大学名誉教授。2014年4月~2018年3月東北大学教養教育院 総長特命教授。
2011年10月~2017年9月 日本学術会議会員。2013年5月~2015年5月日本建築学会会長。現在、研究活動の傍ら秋田県立大学客員教授、前橋工科大学客員教授、日本学術会議連携会員、日本サステナブル建築協会会長等を務める。ほか多数兼務。
2013年5月日本建築学会東北支部功労賞、同年月空気調和・衛生工学会井上宇一記念賞、2020年5月日本建築学会大賞等受賞。
2021年10月現在
快適で健康な住まいとは何か。そしてまたエネルギー消費や廃棄物などによって環境に負荷をかけないようにするためにはどうしたらよいか。このようなことを一緒に考えていこうというのが「住まいと環境 東北フォーラム」の目的で、この会は1992年6月に発足しました。今日まで、東北フォーラムは、公開シンポジウムや研究集会、見学会などの勉強会を通して、住宅における健康性・快適性・省エネルギー性を実現するための様々な情報を発信してきました。特に、シックハウス、ヒートショック、ハウスダスト、結露やカビなど健康を損なう問題や地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出削減の方策などに関して情報を共有してきました。その結果、東北地域における住宅の熱・空気環境から見た性能はかなり良くなってきたといえると思います。
2011年3月には東日本大震災が発生し、多くの人命が失われました。多くの方が仮設住宅での居住を余儀なくされ、引き続いて発生した原発事故による電力供給不足のために、夏、冬とも電力使用の抑制を強く要請されました。震災を契機として明らかになってきたことは多数あります。また、時間の経過とともに、住宅自体でエネルギーを供給することに対するニーズ、即ちゼロエネルギー住宅、プラスエネルギー住宅の必要性も高まりました。国の住宅政策においても、2020年までに新築の平均でネット・ゼロ・エネルギー住宅を目指すことが示されております。このような状況を見てみますと、住宅の室内環境やエネルギー性能において解決すべき問題や挑戦すべき課題は山積しています。
東北フォーラム会員には、工務店、設計事務所、ハウスメーカーの方々、エネルギー供給、設備関連、建築関連、情報産業などに関わる方々、大学、高専関係者などが参加されており、会員の方々との情報共有と、生活者や住宅建設関係の方々への情報発信を継続的に行っていく必要があります。幸い、大学・高専を含む会員は、様々な形で国や自治体が進めている事業に深く関わっております。最近では、受託事業により東北フォーラムの中に委員会を設け、「地域の特性を活かした省CO2型復興住宅の環境設計」や「みやぎゼロエネルギー住宅環境設計マニュアル」をとりまとめました。多くの関係者に参加していただき、健康で快適な住まいと環境を語る広場をめざし、各分野の専門家の方々と一緒に、これからの日本の住まいについて考えて参ります。