”汝自身を知れ”という古くからある哲学的な命題に対して、神経科学は現在の人類の科学が持つ最も有力なアプローチの一つです。私たちの研究室では、生物の脳が担っている情報処理の特徴をデータ駆動的にボトムアップなやり方で理解することを目指しています。今のところは基礎科学としての面白さを重視していますが、将来的には情報処理の破綻としての精神神経疾患の理解や、脳をヒントにした新しいAI開発のアイデアを社会に還元していくことを目指しています。具体的な研究トピックとしては、松井がこれまで長年関わってきた脳の視覚情報処理と自発的脳活動という2つのトピックに着目して研究を進めています(詳しくは下記)。
主要な研究手法は、マウスを用いた2光子/1光子顕微鏡を用いた脳活動イメージング(Ca2+, 脳血流信号 etc.)やヒト脳活動データの解析(主にfMRI)です。共同研究者と協力して病態モデル/データの解析や分子生物学的なツールのin vivo応用にも取り組んでいます.
視覚情報処理
私たちの研究室では生物の脳が行う情報処理の特徴を明らかにするため、特に視覚情報処理を研究しています。研究手法としては、脳の視覚野の神経活動を再現するようなAIモデル(デジタルツイン)を通して視覚野の振る舞いを理解するというアプローチをとっています。
大脳皮質視覚野ネットワークによる階層的情報処理
様々な深層学習のアーキテクチャーと生物の視覚野の比較神経科学
デジタルツインの解釈を通した視覚情報処理の理解
病態モデル・神経回路の可塑的変化のメカニスティックな理解
自発的脳活動
生物の脳は何もしていない安静時でも常に活発に活動しています。この自発的脳活動(安静時脳活動)の役割や動的構造については未だ謎が多く、活発な研究の対象です。私たちのグループでは、マウスでの実験と、ヒトでのデータ科学の両輪で研究を進めています。
自発的脳活動の複雑なダイナミクスとその生成メカニズムの理解
視覚情報処理に自発的脳活動が果たす機能の解析
自発的脳活動を利用した精神神経疾患のバイオマーカー探索
これまでの学位論文・卒業論文
学位論文タイトル
工事中
卒業論文タイトル
小林祐介「視覚野神経活動に基づく結合方向の推定とニューラルネットとの対応」(岡山大学理学部生物学科、2023年度)
森川琳太郎「深層学習で算出した画像のMemorabilityと脳活動の関係性の解析」(岡山大学理学部生物学科、2023年度)
河本賢史朗「カルシウムイメージングからニューロンの接続が予測可能かどうかのグレンジャー因果性を用いた分析」(岡山大学理学部生物学科、2023年度)
稗田健美「ヒト安静時脳活動からの性別及び知能スコアの解読」(岡山大学理学部生物学科、2022年度)
保坂祐輝「統計的帰無モデルとの比較による安静時脳活動の時空間構造解析」(岡山大学理学部生物学科、2022年度)