今回は入れ歯のお手入れについて説明します。入れ歯を良好な状態に保つためには、毎日のお手入れが不可欠です。
入れ歯をお口に装着していると、入れ歯の表面に汚れが付着します。この汚れは、歯に付着する歯垢と同じ細菌の塊で、歯肉の炎症や口内炎、虫歯や歯周病の原因になります。このようなトラブルを防ぐため、毎食後、入れ歯を外して、流水化で歯ブラシや入れ歯専用ブラシを使って清掃しましょう。特に、入れ歯の内側の留め金の部分は歯垢が付着しやすいので、丁寧に清掃してください。
お手入れの時に、研磨剤が含まれている一般の歯磨き粉の使用は厳禁です。研磨剤を使うと、入れ歯に微細な傷がつき、細菌の温床になります。
入れ歯の掃除と同時に、現在残っている歯の掃除も重要です。入れ歯を外した状態で、通常通りブラッシングをしましょう。特に、留め金のかかっている歯は丁寧に掃除する必要があります。
就寝時には、入れ歯を外す場合が多いですが、歯科医師の指示に従いましょう。外して寝る場合は、水を入れた容器に入れて保管しましょう。市販の入れ歯洗浄剤を使うのも効果的です。
入れ歯を長期間使用していると、かみ合わせが変化したり、粘膜と入れ歯の間に隙間ができたりする事があります。残った歯や歯肉のチェックも必要ですので、半年に一回は定期検診を受けましょう。
今回は歯磨き粉の使い方についてお話します。みなさんは歯磨きの際、歯磨き粉をどのように使っていますか?。今回取り上げるのは、正しい歯磨き粉の使い方です。気を付けてほしいポイントは次の3つです。
①歯磨きを1日2回以上行っているか?(就寝前を含む)・・・1日1回なのか2回以上なのかで、虫歯予防に大きな差が出ます。
②フッ素入り歯磨き粉を使用しているかどうか?※ただし、お子様の場合は、年齢により摂取できる適切なフッ素の量がありますので、お子様専用の低濃度フッ素の歯磨き粉の使用をおすすめします。
③うがいは少量で1回のみか?・・・少量とは、大さじ1杯ぐらいです。片手ですくえるくらいとイメージしてください。せっかく歯磨き粉を使っても、フッ素を水で流してはもったいないです。
以上の3点が、甘いものを控えること以上に、虫歯予防には重要になります。正しく歯磨き粉を使って虫歯予防に取り組みましょう☆彡
今回は「バイオフィルム」について説明します。バイオフィルムというと、浴槽や台所、排水口のヌメリなどを想像する方もいるのではないでしょうか?ヌメリの正体は微生物で形成する膜で、別名「菌膜」と呼ばれています。このバイオフィルム、みなさんのお口の中にも存在するんです。お口の中を舌で触ると、ヌルヌルザラザラした感じがあるのが、それです。
お口の中には、善玉菌や悪玉菌が混在しています。歯のある人の場合、悪玉菌は500~700種類とされ、歯を磨かない人はこれが1兆個にもなり、歯磨き後でも1000億個存在すると言われています。
歯磨き後8時間たったころから歯の表面に細菌が付着して仲間を増やし、48時間後には菌が急速に成長して72時間後には完全なバイオフィルムになります。
歯だけではなく、粘膜表面や舌、入れ歯、インプラントなど、さまざまなものの表面にバイオフィルムは生成されます。バイオフィルムを放置しておくと、虫歯や歯周病を引き起こす原因となり、さらには誤嚥性肺炎などを引き起こす事もわかっています。
厄介なことに、このバイオフィルムは、歯磨きでは取り除くことが出来ません。歯科医院で専用器具を使って取り除いてもらうしかありません。ただ、クリーニングをしても、3か月もすると、最近の繁殖が始まります。歯科医院で定期的な検診とクリーニングを受けることをお勧めします。
今回は、歯が生える時期に「歯が生えない」ことにフォーカスしたいと思います。歯が生えてこない理由は大きく分けて2つあります。生まれつき歯が存在しない「先天性欠如」と、歯はあるけれど生えにくい「萌出(ほうしゅつ)障害」です。
先天性欠如で生まれつき永久歯が少ないお子さんは約10人に1人はいます。1~2本から、10本以上少ない人もいます。
萌出障害で歯が生えてこない理由は、次のような理由があります。
①歯胚(歯の卵)の場所や向きに問題がある。②歯胚の生える先に妨げになるような歯がある。 ③歯が生えるための隙間がない。 ④骨と歯がくっついて動けない。 などです。
歯が生えてこない状態を長く放置しておくと、噛み合わせが悪くなったり、骨の中で歯の根っこが傷ついたり、顔の歪みを引き起こす可能性があります。歯が生えてこない原因は、お口の中を見ただけではわかりません。原因を把握し、治療が必要かどうかを調べるため、「パノラマX線撮影」という口の中全体を映し出すタイプの撮影をします。永久歯の場所や向き、数、余分な歯の存在などいろいろな情報を得ることができます。
お子さんの歯が生えてこないなど気になることがございましたら、歯科医院でご相談ください。
さまざまな原因で歯を失った時、失った歯を補う方法の一つに入れ歯があります。
入れ歯は、床、人口歯、クラスプで構成されています。床は入れ歯の大半を占める分九色のプラスチック部分で、歯ぐきに密着させます。人口歯は食べ物をかみ砕き、クラスプは歯にひっかける固定装置の事で、入れ歯が外れるのを防ぐ役割があります。クラスプは総入れ歯にはありません。
なぜ歯を失った時、入れ歯を入れるのでしょうか?理由は主に二つあります。まず第一に、歯が抜けたままでは、見栄えが良くありません。抜けた歯の隙間から息が漏れると発音にも支障が出ます。歯が抜けた部分では食べ物を噛むことも出来ません。
もう一つの大事な目的は、歯並びの維持です。抜けた歯の両隣の歯は、抜けた隙間に向かって徐々に倒れてきます。また下の歯が抜けた場合、噛み合わせの相方になる上の歯は、噛みあう相手を探すように下の隙間に降りてきます。この状態を放置すると、上の歯は支えを失ってグラグラし、最終的に抜けてしまいます。上の歯が抜けた時も同様です。これを抑制するためにも入れ歯は大事な役目を果たしているのです。
しかし、入れ歯は自前の天然の歯と比べ、かむ力が6分の1まだ落ちると言われます。異物感も大きいです。自前の歯に勝るものはありません。自分の歯をずっと使い続けるためにも、歯科医院での定期的な検診を欠かさないようにしましょう。