国際交流研究会
当研究室では現在、英国との国際共同研究プログラム(JRP-LEAD with UKRI)(2025年度から2027年度)の支援のもと、Kadodwala教授を中心にGlasgow大学とキラル光科学について交流を深めています。このプログラムの一環として、昨年度の小樽での開催に続き、今年度はGlasgow大学にて2日間の国際交流研究会を実施しました。
2026.7.20 - 2026.7.21
研究紹介記事
今年3月に東京科学大学で開催された第73回応用物理学会春季講演会で発表した招待講演の内容(軌道光学キラリティー)がNature Photonicsのeditorの目にとまり、取材内容を記事にしていただきました(以下、一部抜粋)。
Traditionally, chirality has been studied using circularly polarized light (CPL), which has spin angular momentum (SAM) of s = ±1 for right and left-handed CPL. However, Yoshito Tanaka of Hokkaido University reported on the interactions of chiral materials using optical vortex beams — beams which have a twisted wavefront and possess orbital angular momentum (OAM) that scales linearly with the amount of twist (L = lħ, where l = 0, ±1, ±2,...). “We believe that vortex dichroism reflects the geometric features of a material more strongly than circular dichroism. By using optical vortex beams, we expect to reveal hidden properties of chiral materials”, Tanaka told Nature Photonics.
Interestingly, for the (±1, 0) mode, the spatial distribution of the dichroism was nearly identical across different wavelengths; whereas for the (±1, ±1) mode, the spatial distributions at 775 nm and 875 nm differed near the centre of the excitation beam. Moreover, the polarity of only the differing regions was reversed depending on the sign of the OAM. “The fact that such dichroic spectra are obtained suggests that the observed response arises not from the SAM of light, but from dichroism associated with OAM”, Tanaka explained.
2026.7.3
論文掲載
修士課程2年生の小野寺 真輝くんの研究成果がJournal of the Optical Society of America Bに掲載されました。こちらは極微システム光操作研究分野の学生論文の第二号になります。本研究では、我々の研究室が注目してきた3次元キラルナノ構造であるねじれ金ナノロッドダイマーの極めて大きいg値の由来をナノ構造のキラリティーと異方性に分けて解析を行いました。円偏光基底のジョーンズ行列を実験的に求めることにより、本キラル構造のg値はナノ構造が大きな異方性を持つにも関わらずキラリティーのみによって生じていることを明らかにしました。この成果は、回転対称性が重要な役割を果たす2次元キラル構造のキラル光学応答と3次元キラル構造は本質的に選択則が異なることを示す重要な成果です。
Matrix-resolved circular dichroism in twisted gold nanorod dimers: strong intrinsic circular dichroism with suppressed circular conversion dichroism
Masaki Onodera, Shun Hashiyada*,Yoshito Y. Tanaka*
Journal of the Optical Society of America B, Vol. 43, C9-C17 (2026).
2026.5.18
論文掲載・プレスリリース
光で操る「マイクロドローン」を用いて、光の回折限界を超えたナノ空間で働く微小な力とトルクを3次元的に計測する全く新しい手法を開発しました。(北大JST共同プレスリリース)。この成果は『Nature Physics』に掲載されました。この手法を用いて、光の進行方向と垂直な軸まわりに回転が生じる「横方向光トルク」の観察に世界で初めて成功しました。この現象は、従来知られていた照射光の回転(角運動量)によるトルクとは異なり、光そのものが持つ「ねじれ(キラリティー)」によって引き起こされるものであり、光が物質に及ぼす力の新しい仕組みを示す重要な成果です。本成果は、光ナノ操作の精密制御のみならず、生体分子の複雑な回転運動の解明や量子力学的な力の検証など、これまで「見えなかった力」を読み取る新しい計測プラットフォームとして、広範な科学分野への貢献が期待されます。2020年に発表したプラズモニックナノモーター(Sci. Adv. 2020)の「駆動」に対し、今作は「計測・物理」に焦点を当て、構想から10年をかけて作り上げた自信作です。
Transverse Optical Torque observed at the Nanoscale
Ryoma Fukuhara, Tsutomu Shimura, Yoshito Y. Tanaka*
Nature Physics, DOI: 10.1038/s41567-026-03268-6 (2026).
2026.4.21
論文掲載・プレスリリース
軌道角運動量を持つ光渦ビームが独自の光学キラリティを有し、キラル物質とエナンチオ選択的に相互作用することを世界で初めて解明しました(北大プレスリリース)。この成果は米国光学会誌『Optica』に掲載されました。本研究は、2020年の東京大学生産技術研究所での着想(arXiv:2211.03422)に端を発し、北海道大学電子科学研究所への異動後、橋谷田助教と共に計測・理論解析法を高度化させたことで結実したものです。達成の鍵となったのは、過去6年間にわたり独自に積み上げてきた基盤技術の統合です。具体的には、10nm以下の3次元ナノ加工技術(APL Photon. 2021)、高精度な光渦二色性分光イメージング法(Rev. Sci. Instrum. 2024)、光・物質相互作用におけるスピン・軌道の角運動量損失に関する理論解析法(Phys. Rev. A 2020, Phys. Rev. Res. 2025)という三つの柱を融合させました。今回顕在化した「軌道光学キラリティ」は、従来の円偏光(スピン光学キラリティ)に基づく手法を拡張し、キラル物質の対掌性(左右)の識別のみならず、高次構造解析へと導く可能性を秘めた革新的なアプローチです。キラル光科学の新領域を切り拓くものとして、幅広い波及効果が期待されます。
Unveiling orbital optical chirality through multipolar chiral light–matter interaction
Shun Hashiyada*, An’an Wu, Yoshito Y. Tanaka*
Optica, Vol. 13, 353-361 (2026).
2026.2.17
Paula Laborda Lalagunaの研究室短期滞在
Glasgow大学からPaulaさん(博士研究員)が光渦二色性に関する共同研究のため2ヶ月間研究室に滞在します。
2026.02.09
論文掲載
修士課程1年生の渡邊柊人くんの研究成果がAPL Photonicsに掲載されました。こちらは極微システム光操作研究分野の学生論文の第一号になります。本研究では、金属と誘電体のハイブリッドナノ構造を用いることにより、周辺の屈折率変化に対する局在プラズモン共鳴の応答の空間分布をナノスケールでデザインできることを明らかにしました。これにより、周辺屈折率に応じてナノアンテナからの指向性光散乱の方向を逆転するという、従来の金属や誘電体単体のナノ構造では実現できない制御が可能になりました。本成果は、新奇プラズモニックナノセンサーや自律制御型プラズモニックナノアクチュエータなど幅広い応用展開が期待されます。
Shuto Watanabe, Ryuichi Ohta*, Tsukasa Katayama, Yoshito Y. Tanaka*
APL Photonics, Vol. 10, 126114 (2025).
2025.12.10
学部3年生の研究室配属
市村君、富澤さん、今川君の3名が新しく研究室に加わりました。
2025.11.13
論文掲載
Cantabria大学のPablo Albella教授との共同研究の成果がNanophotonicsに掲載されました。本研究では、シリンダー形状の誘電体内部に光圧ナノモーターを作製することにより、直線偏光照射では面内方向での運動を、ベッセルビーム照射では面直に押す方向と引く方向の運動を独立に駆動可能にしました。これにより、従来の2次元運動の駆動に限られていた光ナノアクチュエータを3次元へと拡張することに成功しました。
Guillermo Serrera, Yoshito Y. Tanaka, Pablo Albella*
Nanophotonics, doi.org/10.1515/nanoph-2025-0374 (2025).
2025.09.24
JSTさきがけ採択
太田准教授と橋谷田助教の研究課題がJSTさきがけ研究に採択されました。採択課題はいずれも田中研着任後に開始した研究になります。
太田准教授(「量子物質」領域):フォクソニック量子物質が拓くマクロな固体材料のレーザー冷却
橋谷田助教(「計測解析基盤」領域):“キラル光”二色性分光法のための光スピン・軌道角運動量制御技術の確立
2025.09.18
論文掲載
Glasgow大学のPaula博士研究員とKadodwala教授との共同研究の成果がNano Lettersに掲載されました。この成果は、現在滞在中のPaulaさんが博士課程3年生の昨年に2ヶ月間田中研に滞在した際に得た光渦二色性測定データを論文化したものになります。本研究では、構造化光を用いて、プラズモニックキラルナノ構造の光学活性をリアルタイムかつ非接触で動的に制御する手法を提案しました。 スピン・軌道角運動量を持つ光渦ビームにより、通常励起されない多重極子モードを選択的に励起し、二色性応答を可逆的に変調することに成功しました。 熱・機械・化学的刺激に依存しないこの技術は、高速・高効率なナノフォトニクス応用に新たな可能性を拓きます。
Optical Activity Modulation in Chiral Metasurfaces via Structured Light
Paula L. Lalaguna*, Shun Hashiyada*, Nikolaj Gadegaard, Jörg B. Götte, Stephen M. Barnett, Kayn A. Forbes, Yoshito Y. Tanaka*, Malcolm Kadodwala*
Nano Letters, Vol. 25, 12393–12398 (2025).
2025.08.06
Paula Laborda Lalagunaの研究室短期滞在
Glasgow大学からPaulaさん(博士研究員)が光渦二色性に関する共同研究のため2ヶ月間研究室に滞在します。
2025.08.04
物質・デバイス共同研究賞受賞
台湾国立陽明交通大学の杉山輝樹先生との共同研究「金属ナノ構造の局在表面プラズモンを用いた結晶多形の制御」が物質・デバイス共同研究賞に選ばれ、第13回 物質・デバイス領域共同研究拠点活動報告会で表彰されました(写真)。
2025.06.25
論文掲載・プレスリリース
光と物質との相互作用における光のスピン角運動量(SAM)と軌道角運動量(OAM)の保存則を理論的に導出した研究がPhysical Review Researchに掲載されました(北大プレスリリース)。従来のSAMとOAMの保存則はゲージを固定する必要性から横波成分のみに限られており、縦波を伴う物質系には適応できませんでした。そこで、電場と磁場の微分項を用いたSAMとOAMに着目することにより、横波と縦波を含めた物質系を伴うSAM保存則とOAM保存則を世界で初めて導出することに成功しました。これにより任意の光と任意の物質との相互作用に伴うSAM-OAM変換を定量的に解析することが可能なり、光の角運動量が関与する新奇現象の解明や新しい原理に基づくフォトニックデバイスの創出が期待されます。
Shun Hashiyada*, Yoshito Y. Tanaka*
Physical Review Research, Vol. 7, L022052 (2025).
2025.06.5
2025年第72回応用物理学会春季学術講演会
東京理科大学で開催された学会にスタッフ全員と四年生の渡辺君が参加しました。田中研一期生の渡辺君は、「周辺屈折率変化に応じて光圧方向を制御するプラズモニックナノ構造」について口頭発表しました。
2025.03.14 - 2025.03.19
ミニ研究会
2日間にわたって角運動量・キラルをベースとした光と物質の相互作用についての研究会を電子研で開催しました。活発な議論が行われ非常に有意義な時間になりました(写真)。
2024.12.21-2024.12.23
論文掲載
台湾国立陽明交通大学の杉山輝樹先生と東北大学の新家 寛正先生との共同研究の成果がCell Reports Physical Scienceに掲載されました。ナノ粒子光トラッピング誘起キラル結晶化現象について、エナンチオ制御挙動がナノ粒子の粒径によって逆転するという非常に興味深い現象を見出し、光のスピン軌道角運動量変換によりメカニズムを考察しました。
Enantioselectivity switch in chiral crystallization using optical trapping with gold nanoparticles
Hao-Tse Su, Hiromasa Niinomi, An-Chieh Cheng, Yoshito Y. Tanaka, Keiji Sasaki, Teruki Sugiyama*
Cell Reports Physical Science, Vol. 5, 102310 (2024).
2024.12.04
学部3年生の研究室配属
中村君、亀ヶ谷君、鈴木君の3名が新しく研究室に加わりました。
2024.11.19
電子研学術講演会
サバティカルで研究室に滞在中の杉山先生にLaser-based enantioselective crystallizationについて講演していただきました(写真)。
2024.10.15
マイクロナノ分野の著名な研究者の講演を世界中の学生が聞ける機会を与えるという趣旨で中国・北京大学のAlice Zhang教授が企画したオンライン会議で田中が依頼講演を行いしました。
2024.10.11
「キラル光物質科学」領域会議
田中が計画班として参加している学術変革領域研究(A)の領域会議が北大で開催されました。4年生の小野寺くんも参加しキラル光物質科学について活発な議論を行いました(写真)。
2024.10.5 - 2024.10.6
杉山輝樹先生とリュウ シャオユアンさんの研究室短期滞在
台湾国立陽明交通大学の杉山先生とリュウさん(修士課程2年生)がキラル結晶化のエナンチオ制御についての共同研究のため1ヶ月間程度研究室に滞在します。
2024.09.25
日本物理学会
北大で開催された学会に橋谷田が参加し「物質による光のスピン・軌道角運動量の散逸」について口頭発表を行いしました。
2024.09.16 - 2024.09.19
論文掲載
台湾国立陽明交通大学の杉山輝樹先生と神戸大学の杉本 泰先生との共同研究の成果がPhotochemical & Photobiological Sciencesに掲載されました。ナノ粒子光トラッピング誘起分子結晶化現象について、従来使っていた金ナノ粒子よりも、光熱効果の小さいシリコンナノ粒子の方が安定な結晶化促進が実現できることを明らかにしました。
Optical trapping-induced crystallization promoted by gold and silicon nanoparticles
Hao-Tse Su, Shao-Yuan Liu, Minoru Fujii, Hiroshi Sugimoto, Yoshito Y. Tanaka & Teruki Sugiyama*
Photochemical & Photobiological Sciences, https://doi.org/10.1007/s43630-024-00622-6 (2024).
2024.09.06
META 2024 (14th International Conference on Metamaterials, Photonic Crystals and Plasmonics)
富山県で開催された国際会議に橋谷田と田中が参加し、それぞれ招待講演を行いました。学会後の飲み交流も通じて海外研究者と大いに関係を深めました(写真)。
2024.07.16 - 2024.07.19
交流飲み会
電子研の雲林院研究室と合同でお酒を片手にたこ焼きお好み焼きを作っていただきました。
2024.07.09
太田竜一が准教授に着任
太田竜一が極微システム光操作研究分野の准教授に着任しました。
2024.07.01
Paula Laborda Lalagunaの研究室短期滞在
Glasgow大学のPaulaさん(博士課程3年生)が光渦二色性に関する共同研究のため2ヶ月間研究室に滞在します。
2024.07.01
若手研究会
助教の橋谷田が大阪公立大加藤先生と分子研白男川先生と若手研究会を企画し、キラルな光渦とキラルな物質の相互作用の理解に向けた理論研究について活発な議論を行いました(写真)。
2024.05.22
論文掲載
極微システム光操作研究分野の第一号となる論文がReview of Scientific Instrumentsに掲載されました。キラル物質の高精度な光渦二色性計測に向けて、スピンと軌道の角運動量をもつ光渦のハンドネスを高速変調する新しい機構を理論的に提案し実験的に検証した研究になります。また、本研究成果はAIP Publishing Showcaseにも選出されました。
Shun Hashiyada, Yoshito Y. Tanaka
Review of Scientific Instruments, Vol. 95, 053101 (2024).
2024.05.01
Malcolm Kadodwala教授来研
Kadodwala教授とキラルナノ構造と光の相互作用とバイオセンシング応用について議論しました。また、電子研学術講演会を開催し、学生さんも参加して懇親会を行いました(写真)。
2024.04.19
2024年第71回応用物理学会春季学術講演会
東京都市大学で開催された学会に田中と橋谷田が参加しました。田中は2件の口頭発表と1件のポスター発表を行い、橋谷田は1件の口頭発表を行いしました。
2024.03.22 - 2024.03.25
シンガポールで開催された国際誌Light: Science & Applications主催の国際会議に田中が参加し招待講演を行いました。アジアを中心に現在活躍中の光研究者により非常にレベルの高い講演がなされました。PHOTOPTICS同様、インペリアル大学時からの親友と10年ぶりに再会し交流しました(写真)。
2024.03.06 - 2024.03.08
PHOTOPTICS 2024 NanoPlasMeta
ローマで開催された国際会議に田中が参加し、Keynote Speech(基調講演)を行いました。ナノフォトニクスに関する最新のトピックスが深く掘り下げて議論され、招待された夕食会も含めて充実したものでした(写真)。
2024.02.021 - 2024.02.23
日本光学会年次学術講演会(OPJ2023)
北大の学術交流会館で開催された講演会に参加しました。助教の橋谷田が光計測のセッ ションで一般講演を行い、田中はOPJとレーザー顕微鏡研究会とのジョイントシンポジウムで招待講演を行いました。
2023.11.27- 2023.11.29
学部3年生の研究室配属
小野寺君、横田君、渡邊君の3名が新しく研究室に加わりました。
2023.11.14
第10回光科学異分野横断萌芽研究会
小田原で開催された合宿形式の研究会に田中が参加し、チュートリアル講演を行いました。
2023.09.01- 2023.09.03
電子研ジンギスカンパーティー
電子研親睦会員、学生、及び北キャンパス事務部職員と野外でジンパを行い交流を深めました。
2023.07.07
Gordon Research Conference on Plasmonically Powered Processes
ロサンゼルスで開催されたゴードン会議に田中が参加し、招待講演を行いました(集合写真)。
2023.06.04 - 2023.06.9
電子科学研究所の一般公開
電子研一般公開に参加し、幅広い年齢層の方々と科学を通じて楽しく触れ合いました。
2023.06.03
橋谷田俊が助教に着任
橋谷田俊が極微システム光操作研究分野の助教に着任しました。
2023.04.01
田中嘉人が北海道大学電子科学研究所教授に着任
田中嘉人が北海道大学電子科学研究所の教授に着任し、極微システム光操作研究分野がスタートしました。
2023.04.01