2025.10.25 多摩市グリーンボランティア講座初級

今期のグリーンボランティア講座も残すところ今日を入れてあと2回です。(あっという間!)

本日の実習場所は「一本杉公園」でした。ここにもグリーンボランティアのみなさんが保全・育成している雑木林があります。(ニワトリが放し飼いされており、講座中に鳴き声が響くにぎやかな場所でした◎)今日の実習で面白い話をひとつ聞いたので、「多摩のグリーン秘話」をまたひとつ溜めておきたいと思います。

今日は、雨の合間を見て「群落調査」を行いました。

群落調査は、雑木林の保全・育成のために大切な調査になります。どこに、どのような樹木の群落があるのか、里山全体のバランスを調査していきます。「一本杉公園みどりの会」のみなさまが手入れされている雑木林を班員と歩き、調査していくのですが、途中にしいたけのほだ木が置いてあるスペースがありました。このしいたけのほだ木は、他ならぬ「一本杉公園みどりの会」のみなさまが萌芽更新で伐倒した木に、しいたけ菌をコマ打ちしたものです。

しかし、まだ「一本杉公園みどりの会」が立ち上がって間もないころ、このほだ木のしいたけを早朝に採りに来ている住民の方がいたそうです。もちろんボランティアのメンバーではありません。声をかけると「どのような許可の上でしいたけを作っているのか」と聞かれたようです。グリーンボランティアは市との合意の上でみどりを手入れしているわけですが、特定の「しいたけ栽培の権利」をもらっているわけではありません。とはいえグリーンボランティアの命題である「里山の順応的保全・育成」は、自然に対して人間が上手く働きかけることで、循環を手助けする行為そのものを指しています。とすると、ほだ木でしいたけを育てることは、里山管理の一環になります。循環の営みを「権利」でとらえるのは、あまりにも相性が悪い。そう思う出来事です。

一つ疑問が生じます。ここは公園なので誰でも自由にアクセスができますし、公園はボランティアの持ち物でもありません。しかし住民の自然アクセスを支えている公園の手入れはボランティアが担っています。(もちろんすべてではないですが。)では「みんなの場所で、一部の人が育てたものはだれのものになるのか。(このしいたけはだれのもの?)」

なかなか難しいと思いつつも、私有を超えて〈共有〉としての自然を考えられないと捉えきれない問題です。近年では、多摩市でグリーンボランティアがみどりの順応的保全・育成をしていることを住民のみなさまが認識するようになり、先のようなコンフリクトは見られないと聞きました。もしかすると「コモンズとしての自然」の意識が多摩市民のあいだで共有されつつあるのか?などと考えた初級講座でありました。20年続くこのグリーンボランティアの時間は、多摩のみどりに大いなる影響を与えていることは間違いなさそうです。