水晶はモース硬度と呼ばれる鉱物の硬さ(傷つきにくさ)の指標で7という比較的高い硬度を持っています。
この傷がつきにくいという特徴はレンズの材料として有利に働きましたが、その分加工も大変になります。
一方、硬さと割れやすさは異なる特性なので、割って石器に利用することは難しくはありませんでした。
そのため、水晶を玉などに加工する際には割って大まかな形を作る作業があったと考えられます。
現在では割る作業をカッコミ(欠っ込み)と呼んでいます。
カッコミによる原石の加工
硬い水晶を磨くためには水晶よりもさらに硬い研磨剤が必要です。
江戸時代の職業辞典『人倫訓蒙図彙』には金剛砂を用いて水晶を磨くと書かれています。
金剛砂とはガーネットの砂のことを言い、国内では大阪と奈良の県境にある二上山が産地となっています。
山梨に水晶研磨を伝えた弥助も京都から金剛砂を持参し、鉄板の上に撒いて水晶を研磨したと伝えられています。
現在では人工的に作られた研磨剤であるカーボランダムも金剛砂と呼ばれていますが、アメリカでカーボランダムが工業化されたのは1895年、山梨で導入されたのが1987年ですので、ガーネットの金剛砂とは異なります。
金剛砂で研磨した水晶玉
弥生時代以降、日本でも水晶製の玉が作られるようになります。
しかし、金剛砂の利用が弥生時代まで遡れるかどうかは定かではありません。
古墳時代の玉作遺跡からは石を磨いた道具として溝のある砥石が見つかっています。
砥石の石にはさまざまな種類がありますが、石英(水晶)が含まれているので同じ硬さの水晶を磨くことができます。
江戸時代の浮世絵師、西川祐信が挿絵を描いた『西明寺殿教訓百種』の絵本には玉屋が砥石を利用して水晶を磨いていると考えられる姿が描かれています。
次は古墳時代の道具で再現してみたいですね。
砥石で研磨した水晶玉
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