日本における外国人女性のライフキャリア
――多様な生き方から問い直す「わかりあい」――
日本における外国人女性のライフキャリア
――多様な生き方から問い直す「わかりあい」――
開催概要
日時|2026年10月31日(土)16:00~17:20
形式|対面開催
会場|神田外語大学 7号館2階 クリスタルホール
研究チーム
奥村 キャサリン
所属:青山学院大学 国際政治経済学部 准教授
専門:教育学、外国語教育、移民研究
所属:神田外語大学 外国語学部 講師
専門:異文化コミュニケーション学、韓国語教育
所属:お茶の水女子大学 基幹研究院 准教授
専門:人文地理学
施 利平
所属:明治大学 情報コミュニケーション学部 教授
専門:家族社会学
陳 予茜
所属:流通経済大学 共創社会学部 助教
専門:家族社会学
根橋 玲子
所属:明治大学 情報コミュニケーション学部 教授
専門:異文化コミュニケーション学
所属:神田外語大学 外国語学部 准教授
専門:異文化コミュニケーション学
報告要旨
近年、日本では高度外国人材の受け入れが進む一方、外国人女性のキャリア形成については、国籍やジェンダーによって一括りに捉えられ、その内部にある多様な経験が十分に明らかにされていない。本企画では、「日本における外国人女性のライフキャリア」を共通テーマとして、職業上の経歴だけでなく、移住、家族形成、生活経験、将来展望を含む広義のキャリアを、3つのセッションから議論したい。
第1セッションでは、日本への留学を経て就職した未婚・高学歴の中国系女性に着目し、彼女たちのキャリア形成に影響を及ぼす要因をマクロ、メゾ、ミクロの3つのレベルから分析する。また、彼女たちがこれらの多層的な条件のもとで、周囲との関係や制度的制約をどのように調整・交渉しながら、キャリアを選択して形成しているのかを考察する。
第2セッションでは、既婚・高学歴の中国系女性を対象とし、教育、移住、就職、結婚、出産・育児といったライフコースの展開に伴って、キャリアがどのように形成・再編されるのかを検討する。国際移動によって獲得した専門性や経験を生かしたキャリアを追求する一方で、配偶者の仕事、家事・育児、親族によるケア支援などと、どのような調整や交渉を行っているのかを捉える。これにより、職業的キャリアと家族形成を別々に扱うのではなく、両者が相互に影響し合いながら展開する過程を明らかにする。
第3セッションでは、日本で働く外国籍女性研究者に焦点を当てる。彼女たちが研究者としてのキャリアをどのように築き、その過程でどのような困難を経験しているのかを明らかにする。さらに、「女性であること」「外国籍であること」「研究者であること」という複数のアイデンティティがどのように関わり合っているのかを考察する。
上記の3つのセッションを通じて、「外国人女性」というカテゴリーの内側に、婚姻状況、職業、家族関係、人生設計の異なる、多様なライフキャリアが存在することを示したい。また、キャリアを個人の能力や努力だけに還元せず、社会環境、制度、組織、ネットワーク、家族関係などとの相互作用として理解する必要性を提起する。多文化社会における「わかりあい」とは、相手を既存のカテゴリーに当てはめることではなく、一人ひとりの語りに耳を傾け、それぞれの選択を支え、あるいは制約する社会的環境まで含めて理解しようとする営みである。外国人女性の多様な生き方とそれを取り巻く多層的な条件を理解することは、外国人女性のみを対象とした課題解決にとどまらない。本企画では、国籍、ジェンダー、家族状況、職業上の立場などにかかわらず、誰もが自らの可能性を生かし、よりよく生きられる社会を実現するための手がかりを探りたい。