産学官が力を合わせて日本を蘇らせる人材育成を!
去る6月19日開催されたスーパー連携大学コンソーシアム2023年度定時総会・運営幹事会合同会議で、梶谷誠会長の後任として会長を仰せつかった長野大学学長の小林淳一と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。私は、この3月まで秋田県立大学の学長として本コンソーシアムに参加してまいりました。
本コンソーシアムは幾多の変遷を経て現在に至っています。2007年にコラボ産学官参加大学11校の間で産学官連携大学院の必要性が叫ばれ、「スーパー連携大学院(仮称)」設立準備会が発足したのがスタートです。その後2008年度に文部科学省の「戦略的大学連携支援事業」に採択されたのを機会に「スーパー連携大学院構想」を様々な角度から議論し、まとめ上げました。その間、中国深センや北欧3国の大学、関連機関の視察を行い、先進事例を研究しながら大学院博士課程の教育プログラムを企業との強力な連携をベースに作り上げました。「現役社長の講話」は社長自ら会社経営の強みや課題を講義し学生と議論する内容で、受講生からの反応が良く特徴ある科目として現在も続いています。2010年11月には「スーパー連携大学院コンソーシアム」設立総会を開催し、14大学、29機関および個人が入会しました。2011年4月には2011年度(第1期)受講生の募集および選抜を開始しました。さらに2012年9月には参加6大学による文部科学省平成24年度大学間連携共同教育推進事業「産学官協働ネットワークによるイノベーション博士養成と地域再生」が採択され、スーパー連携大学院教育プログラムを順調に実施してきました。卒業時には、各大学の卒業式の中でダブルディグリーとして「スーパー連携大学院サーティフィケート」の授与も行っています。
しかし、その一方、学生への受講負担が大きくなかなか進学者が増えず、またオンライン授業に加え受講生全員が集まる特徴ある教育を実施するためには、交通費や宿泊費がかさむため、競争的資金が切れると運営費の調達が難しくなってきました。また、大学院進学の動機づけは、学部教育の中で進めるべきであり、大学院のみを対象とする今の教育体制では、本質的に学生があつまらず、教育の主体を学部生に向けてはどうかとの議論を重ね、2019年6月には名称を「一般社団法人スーパー連携大学コンソーシアム」に変更し学部教育にも力を入れることにしました。学生が自ら考え将来イノベーションを起こせる人材育成を特徴とする教育プログラム「UNIICイノベーション・ネットワーク・カフェ(UNIIC INC)」を2018年10月に第1回を開催しました。このプログラムは梶谷前会長が自ら指導し、この7月には16回目が開かれました。参加大学からイノベーションにつながる教育プログラムの実施報告を学生中心に行い、討論を行っています。また大学院カリキュラムについては、さらに内容を精査し、また学びやすい環境づくりのためのワーキンググループを立ち上げています。
それぞれ場所や背景が異なる大学が連携することによって新たな価値が生まれる教育を目指して現在も模索しています。社会情勢の急激な変化やAI・データサイエンス技術の進展によって、従来のように実績をベースに将来を予測することが困難になってきています。このような時代の中で私たちはどんな力を身に着けて生き延びていけばよいのか、大きな課題が突き付けられています。正確な情報の下に自ら状況を判断し、進むべき方向性を見定め、それに向かって周りを巻き込み実現していく能力がまさに求められていると感じています。この趣旨に賛同される皆様と共にこの「スーパー連携大学コンソーシアム」を発展させていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
会長 小林 淳一