(注1)どうして式(1)を計算したい気持ちになったのか、その理由に興味があるかたは状態密度関数をごらんください。もしかしたら、このページをお読みくださっている皆さまも同じような状況に出会われることがあるかもしれません。例えば、式(2)はゲルファントのゼータ関数あるいは井草のゼータ関数と呼ばれるものですが、ゼータ関数は ( )^z の和や積分の形をしているため、ゼータ関数がでてくるところなら(つまり数学の多くの分野において)メリン変換や逆メリン変換が現れてきます。なお、リーマンのゼータ関数は積分を使って表すことができて
Γ(z) ζ(z)= ∫x^{z-1} / (exp(x)-1) dx
となっています。ここで Γ(z) はガンマ関数
Γ(z) = ∫x^{z-1} exp(-x) dx
です。すなわち、Γ(z)ζ(z) も Γ(z) もある関数のメリン変換として表すことができます。この ζ(z) がたくさんあるゼータ関数の中の起源であり、ラスボスでもあります。
(注2) もしかしたら、次のことを疑問に思われたかたもあるかもしれません。(a) 『 δ(t-x^6y^10) は (x,y) の超関数として well-defined なのか』。実際に t=0 では well-defined ではないです。しかし t>0 では t-x^6y^10=0 が特異点を持たないことから、この超関数は well-defined に定義することができます。より一般に δ(t-f(x,y)) はどんな f(x,y) に対して定義できるのか、という問題に関心があるかたは「サードの定理」を調べてみることをお勧めします。(b) 『(x,y) に関する超関数でパラメータ t を持つもの δ(t-x^6y^10) を t に関する超関数だと考えて先に t について積分してもいいのか』。積分されるのは普通の関数ではないので、Fubiniの定理で扱える対象ではありません。しかし、dxdy はそもそもルベーグ積分やリーマン積分ではなく、また δ(t-x^6y^10) の t に関する「積分」は、超関数の集合の上でのメリン変換(極限操作)を意味していて、それは超関数の位相で収束します(このケースでは、その結果は普通の関数 x^{6z}y^{10z} の積分で表される超関数となります)。見かけ上は以上のことが「積分の順番をかえている」ことに相当します。