Method
探究の方法
「問い」に気づく
言葉を覚えたばかりの幼い子どもは「なぜ」を繰り返す。それは世界の全てが未知であり、また自分の興味・関心の対象だからです。しかし、年を重ねるごとにあまりの不思議の多さと、それを聞くことが大人を困らせることに気づき、「そういうものなのだ」と様々な「なぜ」を抑え込むようになってしまいます。
探究において最も大切なことは自らの「なぜ」を再発見することです。気づかないうちに閉じ込めていた「なぜ」を救い上げ、忘れかけていた探究心を力に本当の学びへ一歩を踏み出してください。
まずは「当たり前」という考えを一度捨て払い、純粋な目で世界を見渡してみてください。きっとあなたの知らないことで世界はいたされているはずです。そして、その中から自分にとって最も興味をひく「なぜ」を探し出しましょう。
「なぜ」を集める
「当たり前」という考えを一度捨てて世界を見渡してみよう。自分の中のたくさんの「なぜ」に気づくはずです。そこで浮かび上がった「なぜ」を一つ残らず集めましょう。そして、その「モノ」や「コト」について自分はどんなことを知っていて、何を知らないのか。自分が興味・関心を引かれているのは一体何についてなのか。じっくり考えていくことが大切です。たくさんの「なぜ」を集める中で自分の興味が何に向いているのか、そのことにどれだけ没入していけるのかが少しずつ見えてくるはずです。焦らず、じっくりと自分と対話を行なっていくことが大切です。
探究テーマを設定する
関心のあるモノやコトが見つかったら、トコトンそれについて調べてみましょう。既に解明されていることの中で自分が一体どれだけのことを知っていて、何を知らなかったのか。ここからどんなことを探究していくことができるのかについてじっくりと考えていきましょう。
「ただなんとなく興味があったモノやコト」が「探究のテーマ」となるためにここでしっかりと下準備を行い、その上で、自分の本当にやりたいことかどうかの見極めを行ってください。
探究テーマ設定例
文献にあたる
自分の興味関心の対象が見えてきたら、文献調査を行いましょう。自分の求めている書籍がどのように分類されているのかを知ることで、文献にあたりやすくなります。
本を見つけたらまず目次を見ましょう。そこで必要な情報はどこに載っているかを予想をたて、そこから重点的に読み進めることをおすすめします。その際、どの情報がどこから集めたかをしっかりと記録として残すことが大切です。文献調査の記録はAPA方式でまとめましょう。
日本十進法分類
引用・参考文献の書き方
STではAmerican Psychological AssociationがつくったスタイルAPA方式をもとに作成した独自の形で参考文献を記録していきます。以下に様々な場合を分けて書き方を示します。
日本語図書
【書き方】著者名(出版年)『書名』出版社
〈ルール〉
図書の奥付からデータを記入する。
日本語図書の場合、書名は『』でくくる。副書名がある時は、本書名に続き「:」で繋いで書く。シリーズ名は( )を入れて記載する。
出版年は、最新の版が最初に印刷された年を書く。(版と刷の違いに注意)
著者名は、著者の場合は氏名の身を記し、編者は氏名の後に「編」、編著者の場合は「編著」をつける。
出版社は、株式会社、(株)などの表記は除く。
ページ数は、図書の全体から確認する。
日本語図書の場合、直接引用の場合引き出す部分を「」で囲む。
参考文献の並べ方について。著者名順で、日本語資料の場合、50音順で書く。英語資料の場合、アルファベット順で記す。
英語図書 :【書き方】Author, A. A. (Year of publication). Title of book: Subtitle. Location: Publisher.
雑誌記事・論文:【書き方】著者名(出版年)「記事・論文名」『雑誌名』巻号,掲載ページ
新聞記事 :【書き方】著者名「記事名」『新聞名』掲載年月日(朝刊夕刊),面
Webサイト :【書き方】著者名(更新年)「ページタイトル」『Webサイト名』<URL>(参照年月日)
データベース :【書き方】著者名「記事名」『データベース名』サイト名<URL>(参照年月日)
探究の方法
観察
観察はすべての研究の基本です。対象に向き合い、「ただ見る」だけではなく、以下に様々な視点から「視る」ことができるか工夫しましょう。
測ってみる
匂ってみる
断面を見てみる
触ってみる
環境をみる
いろんな角度からみる
時間差で見る etc
実験
問いに対して自分なりの予想(仮説)をたて、その考えが正しいのか間違っているのかを検証していく手法が実験です。実験においては今までどんな部分が明らかになっていて、どこからが未知なのかをしっかりと確認した上で、どんな実験を行うのか、どんな準備が必要なのかなどを考えます。しっかりと設定が出来上がったら、やっと実験開始です。ここまでの計画や準備はできるだけ入念に行いましょう。
実験がスタートしたら様々な条件を試しましょう。また、一度の成功にとらわれず、再現性を確かめましょう。実験が自分の仮説に反した結果になっても構いません。仮説に反した理由をしっかりと解明することが、次への足掛かりとなります。
現地調査
探究者自身が現地に赴き、調査を行うことを現地調査といいます。行った先でインタビューや資料集などを主に行います。足を運ぶことでしかわからないこと、現地に行って初めて見えてくる情報をキャッチし、探究に活かしてください。その際、写真やメモを必ず残すように気をつけましょう。生の情報を集め、蓄積することでしか見えてこないことがきっとあるはずです。
アンケート調査
特定の情報を得るために質問が記載された用紙やオンラインページを用い、複数の人に同じ質問を行い分析することをアンケート調査といいます。探究したいことをしっかりと吟味し、質問を練り、年齢層、性別、地域、人数などの計画をたてる必要があります。準備を怠ったアンケートでは分析がうまく行うことができず、回答が意味を持たなくなってしまうので事前の準備をしっかりと行ってください。
【アンケート調査の特徴】
多数への調査が行える
多くの情報を集めることができる
質問の仕方によってデータの集まり方が変わる
結果を分析する知識が必要になる
インタビュー調査
1対1(もしくは少数)で行われる面接や対話を通して情報を得る方法をインタビュー調査といいます。やり方としては、あらかじめ質問を決めて行うものと、相手の回答から質問を構成していく方法があります。自分のテーマと照らし合わせ、どのような方法で行うのかを考えてください。また、インタビューはリアルタイムで行うものなので記録を取りながら対話を進めていく力が必要です。
伝達の方法
プレゼンスライドの作成
①表紙
ー1 発表タイトル
ー2 名前
ー3 学校名・学年
②アウトライン
・省略可
③探究の背景・意義
・「探究テーマ」とそこにいたる経緯
・「探究」の意義
④探究手法
・どのような手法を用いて探究したのかを具体的に示す
⑤結果・考察
・結果を示す際は、言葉の定義や図表で用いられたデータの引用元や参考元を示すようにする
⑥結論・考察
・「探究テーマ」に対する結論を述べ、新たに生じた問いや、答えの出なかったものが今後どう展開していくのかを述べる
⑦引用参考文献
・APA方式で示す
論文のまとめ方
今までの探究をまとめ論文の形にすることは、次の探究の足掛かりとなるだけではなく、同じようなモノやコトに興味をもった人にとって先行研究として蓄積されるという意味をもちます。
1表紙
論文のタイトル/所属先・氏名
2要旨
内容の主要な点を短くまとめたもの
3動機・背景
背景・目的・意義・動機などをまとめたもの
4研究(探究)手法
なぜその手法を選んだのか 読者が再現できるように記述する
5結果・考察
結果:分析されたデータ 結果の説明・要約
考察:結果によって生じた新たな問い
6結論・展望
研究(探究)の問いに関しての答えと当初の目的に対してどうであったかを記述する
7引用・参考文献
APA方式で記述する