令和4年9月11日
2011年3月の東日本大震災は相馬地方の住民の生活を根底から破壊し、津波被害・原子力発電所の事故によって尊い人命が多く失われたことは記憶に新しい。災害後、故郷をやむなく離れ生活再建の途をさぐりつつ懸命の努力を続けている人々がおり、一方で地域を再生すべく日々復興活動が続いている。しかしながら、再興は途未だ半ばであり、特に人々と地域の結びつきを示す文化財等の保全や、近隣住民同士の心の結びつきの再構築は困難をきわめている。さらに、2019年、2020年と未曽有の洪水被害が相馬地方を襲い、2021年、2022年には震度6規模の地震により大きな被害が発生した。多くの住民の生計や住居の維持が困難となり、生活再建への意欲も失いかけている状況が見受けられる。
度重なる災害は多くの市民の生活に影響を与えただけでなく、長年にわたり地域の人々によって受け継がれた文化の保全・継承にも危機をもたらしている。特に地震による建物の破損・崩壊の例は多く、民間に残された貴重な有形・無形の文化財等の存続・維持が困難な事例が頻出している。この状況に対して、地域の文化財の被害状況と現状を客観的・学術的な観点から調査し、保護・保管に向けて取り組むことの緊急性は増している。
以上のことから、「そうま歴史資料保存ネットワーク」を設立し、資料の所有者の依頼にもとづいて各種行政機関、学術・研究団体および各地の歴史資料保存を目的とする諸団体と連携をはかり、地域の人々の暮らしと生業を現代および未来に伝える文化財等の保全・継承を目的として活動することとした。
会の活動は会員のボランティアによるものであり、営利を目的とした活動はけっして行わない。
調査は所有者の依頼と同意に基づいて行われる。資料の搬出・保管先についても同様に所有者の依頼と同意によるものとする。
調査は客観的かつ学術的に行うこととし、連携する「歴史資料保存ネットワーク」を通じて専門分野の研究者等の指導・助言を受けるものとする。
所有者の個人情報の保護には最大限配慮し、活動上知り得た情報のうち客観的・学術的なもののみを共有し公開するものとする。公開・広報にあたっては必ず所有者の同意を得るものとする。
会の拠点は相馬市に置き、原則として相馬野馬追など歴史的背景を同じくする旧中村藩を中心とした地域を対象として活動を行うものとする。
・鈴木龍郎(代表、日本画家)
・阿部浩一(ふくしま歴史資料保存ネットワーク代表、福島大学)
・岩崎真幸(みちのく民俗文化研究所代表)
・草野清貴(相馬商工会議所会頭)
・齋藤善之(宮城歴史資料保全ネットワーク代表、東北学院大学)
・藤原一良(相馬郷土研究会代表)
・相馬商工会議所
・相馬市観光協会
・相馬郷土研究会
・ふくしま歴史資料保存ネットワーク
・宮城歴史資料保全ネットワーク